本連載「ネットショップの始め方」では、開業準備から売上アップのコツ、そして実際に成功している事業者の事例まで幅広く紹介してきました。
ネットショップは、開設しただけでは売れません。
最終回となる第6回では、ネットショップ運営を続けるうえで欠かせない“10の必須施策”を解説します。数字を見て改善を繰り返す仕組みづくりや、SNS・口コミの活用、決済手段の整備など、今日から取り組める基本の型をチェックしていきましょう。
○1.アナリティクスを必ず確認する
ネットショップを運営するうえで大切なのは、勘や思い込みに頼らず、数字を根拠に判断すること。
数字を見れば、サイトのどこに課題が潜んでいるかが浮かび上がります。例えば、アクセス数は多いのに売れないなら、商品ページや導線を見直す必要があります。反対にアクセスが少ないなら、集客施策の強化が必要です。
連載第2回目「ネットショップ運営のコツ:売上アップとファンづくりのために大切なこと」でも触れましたが、押さえたい基本指標は3つです。
アクセス数:訪問者がどれくらい来ているか
CVR(購入率):そのうち何人が購入したか
カゴ落ち率:カートに入れたのに購入に至らなかった割合
最初は週に一度、決まった時間に10分だけでも確認する習慣をつけましょう。「改善した点」「悪化した点」をメモに残すだけでも、数か月後には改善のポイントや効果的だった施策などが見えてきます。
○2.SNSで存在を知ってもらう
ネットショップは、ただ作っただけでは見つけてもらえません。そこで活躍するのが、SNSです。
効果的なSNS活用のポイントは「宣伝」ではなく「共感」をつくること。商品のこだわりや制作過程、運営者の日常などを発信することで、人柄や世界観に惹かれたフォロワーがファンへと変わります。
活用例としては、
Instagram:写真やリールで商品の魅力を伝えるだけでなく、実際の使用シーンを見せることで「自分が使う姿」を想像してもらいやすくなります。
X(旧Twitter):リアルタイムなつぶやきや裏話、速報的な告知を通してショップの“今”を届けられます。
TikTok:短尺動画で使い方や利用シーンを直感的に見せることで、商品の雰囲気や便利さをリアルに伝えられます。
○3.実店舗があるならネットショップへの導線を作る
実店舗を持つショップは、店頭のお客様をネットショップへ誘導する工夫が重要です。ショップカードやレシートにネットショップのQRコードを入れる、ネットショップで利用できるクーポンを配布する、POPで「ネットショップでも買える」ことを示すなど、小さな仕掛けがリピーターをネットショップに呼び込みます。
実店舗とオンラインを組み合わせることで、来店客をリピーターに育てたり、遠方の顧客にもアプローチできるようになったり、販売機会を大きく広げられます。
○4.口コミ・レビューを最大限に活用する
初めて購入するお客様にとって、最も安心できるのは実際に買った人の声です。
レビューや口コミは「きちんと届くのか」「写真と実物に差はないか」といった不安を解消してくれます。
一方で、ショップ側は「どういった反応が返ってくるのか不安」と感じることも少なくありません。けれども、ポジティブな声だけでなく率直な意見も、商品の改善やサービス向上のための大切な材料になります。
そのためには、商品到着後にレビュー依頼メールを送る、投稿した人に特典を用意するなど、自然に口コミが集まる仕組みを整えることが重要です。集まったレビューは販促に役立つだけでなく、改善点を知るヒントにもなります。
5.決済手段を充実させる
購入直前で離脱される大きな理由の一つが「使いたい決済方法がない」こと。
クレジットカードやコンビニ払いに加え、スマホ決済やAmazon Payなど主要な手段を揃えておくと安心して購入できます。
選択肢を広げれば購入のハードルが下がり、結果としてコンバージョン率(CVR)の改善につながります。
○6.カゴ落ち対策を行う
「カートに入れたのに購入されない」これは多くのショップが直面する課題です。原因は、送料がわかりにくい、入力フォームが複雑、といった小さな不安や手間にあります。
改善のポイントは、商品ページの段階で送料や到着目安をしっかり明示すること。さらに、ゲスト購入や住所自動入力などを導入して入力の負担を減らすと、スムーズに購入まで進んでもらえます。
また、離脱後にリマインドメールでカート内容を知らせるだけでも、購入率は大きく改善します。加えて、家族や友人など身近な人に実際にショップを操作してもらい、購入体験についてフィードバックを得るのも効果的です。自分では気づけない課題を第三者の視点で見つけられるので、改善のヒントになります。
○7.メルマガやLINEで購入後のフォローを続ける
売上を安定させるにはリピーターの存在が欠かせません。購入されたら「終わり」ではなく、継続的に接点を作ることが重要です。
例えば、新商品の案内や季節のおすすめを届ける、誕生日クーポンを送るなど“また買いたい理由”を提供しましょう。
売り込み一辺倒ではなく、スタッフの体験談や使い方のコツを交えれば、読み手が自然と惹き付けられるコミュニケーションに変わります。
○8.FAQ・ガイドを整備する
FAQは問い合わせ削減だけでなく、購入直前の不安解消にも役立ちます。配送や返品の条件、サイズ感など“迷いやすい情報”を整理して、誰でもすぐに見つけられるようにしましょう。
FAQが充実すると安心感が高まり、購入完了までスムーズに進めます。実店舗での接客に近い役割を果たすのが、ネットショップにおけるFAQです。
○9.顧客データを活用してパーソナライズする
購入履歴や閲覧履歴を活かせば、一人ひとりに合った提案が可能です。消耗品なら補充のタイミングで案内を出す、アパレルなら過去に買った商品と合わせやすいアイテムを提案する、といった工夫で自然にリピートが生まれます。
過度な押しつけ感を避けつつ、顧客に「自分のために提案されている」と思ってもらえる仕組みを整えることで、ファン化にもつながります。
○10.改善は“小さく・継続的に”
ネットショップ運営は終わりのない改善の積み重ねです。
写真を差し替える、FAQを1項目追加する、メルマガの件名を変える――こうした取り組みを週1回でも続ければ、半年後には大きな違いとして表れます。継続こそが最大の武器です。
○まとめ
ネットショップ運営に近道や魔法のような裏技はありません。大切なのは、日々の積み重ねです。今回紹介した10の施策はどれも派手さはないかもしれませんが、実践すれば必ず成果につながる“基本の型”です。
数字を確認し、小さな改善を繰り返すこと。SNSや口コミを通じて信頼を育てること。購入後のフォローやFAQ整備で安心感を高めること。こうした地道な取り組みが、やがて売上アップやファンづくりにつながります。
「数字を見る」「小さく改善する」この2つを習慣にできれば、ショップは必ず成長していきます。今日からできることを一つでも取り入れて、長く愛されるネットショップを育てていきましょう。
よむよむカラーミー編集部 よむよむカラーミーは、ECサイト構築サービス「カラーミーショップ byGMOペパボ」の公式Webメディアです。ネットショップ運営に役立つノウハウや成功事例、最新トレンドをわかりやすくお届けします。https://shop-pro.jp/ この著者の記事一覧はこちら