JA共済連が全国に派遣するドライビングシミュレーター搭載車両「きずな号」が10月からリニューアルした。より本物の車に近いシートベルト付きのドライバーズシートに変わったほか、高齢者の「運転技能検査」を考慮した体験コースや「高速道路の合流」、「夕方」、「夜間」などリアルな運転シーンのコースも加わった。

○全国を巡回し、自動車安全運転診断を行う「きずな号」

JA共済連が全国に派遣するドライビングシミュレーター搭載車両「きずな号」は2008年から全国の交通安全啓発イベントなどに派遣。4台で累計2,808回利用(2024年度末時点)されている。

10月のリニューアルでは車両デザインも一新。「1人でも多くのドライバーの皆さまに交通安全の大切さを実感していただけるよう、トラック背面に『シートベルト着用』を呼びかける啓発デザインを施しました」と担当者は話す。走行中にきずな号を見かけたドライバーにも訴えかける要素を加えたという。

○リニューアルでさらにリアルさがアップ

以前のドライビングシミュレーターでは、体験者から「実際の車と感覚が異なる」と意見があったこともあり、10月のリニューアルではより実車に近いシートベルト付きのドライバーズシートを搭載、よりリアルな運転環境に近づけた。

○体験者の運転事情に合わせて選べるコースに刷新

リニューアルではコースも刷新。体験者の普段の運転環境や運転頻度などに合わせコースを選択できるようになった。さらに重大事故につながりやすい「高速道路の合流」のシーンや「夕方」「夜間」「雨」「霧」での運転コースを新設。

さらにシミュレーターではゲームなどでも使用される高性能なゲームエンジンUnreal Engine 5を採用、ハイクオリティな3DCGによるリアルな映像表現が実現した。より没入感が高く、一層現実に近い運転環境で運転技能をチェックすることができるように。

交差点で後ろからバイクが車体すれすれを走ってきたり、見通しの悪い場所があったりとかなり実際に近いことが何度も起きることで、危険予測と安全確認の重要性を体験できる。
機械の診断だけでなく教習所などで指導をしている専門の指導員の方からは「法定速度は30㎞ですよ~」…など随時指導もあり、気づかぬうちに速度オーバーしていることに気づく。自分は何にどのように気をつければよいかを直感的に学習できた。
○運転技能検査における「技能課題」にも対応

さらにリニューアルでは、運転技能検査における「技能課題」を考慮したコースにも対応。近年の高齢運転者による交通事故対策として、2020年の道路交通法改正により、高齢者の運転免許手続において新たに「運転技能検査」が導入され、75歳以上で一定の違反歴がある場合には運転技能検査に合格しなければ免許更新ができなくなっている。

きずな号のコースでも指示速度走行ができているか、一時停止しているか、右折・左折時に中央線からはみ出していないか、信号通過時に停止線の手前で確実に停止しているかを確認する要素が加わった。

体験終了後には自分の運転がA~E判定で表示され、注意すべきポイントなどもわかりやすく画面で解説。指導員の方からも「こういうことに気を付けた方がいいですね~」と自分の運転のクセや注意すべきポイントをわかりやすく教えてもらえる。この解説は印刷され持ち帰ることが可能だ。裏面には自動車の安全な乗り方について「危険予測の6つのポイント」が掲載されている。

新しくなった「きずな号」を交通安全イベントなどで見かけたら、ぜひ体験してみてほしい!

松本果歩 まつもとかほ インタビュー・食レポ・レビュー記事・イベントレポートなどジャンルを問わず活動するフリーランスライター。コンビニを愛しすぎるあまり、某コンビニ本部員となり店長を務めた経験あり。日本酒・焼酎・発酵食品が好き。
Twitter: @KA_HO_MA この著者の記事一覧はこちら
編集部おすすめ