AIが社会を大きく変え、未来の予測がますます難しくなるこれからの時代。情報があふれ、多くの親御さんが「何が正解なのだろう」とプレッシャーを感じています。
「幸せになる力」は、日々の暮らしの中で育てられる
私たちはつい、「良い学校に入り、良い会社に就職すれば、子どもは幸せになれるはず」と考えてしまいがちです。しかし、どれだけ恵まれた環境にあっても、本人が幸せを感じられなければ意味がありません。本当の幸せとは、環境によって決まるのではなく、物事をどう捉え、何に「悦び(JOY)」を見出すかという心の「感じ方」で決まるのです。
そして嬉しいことに、この「自分で自分を幸せにする力」は、生まれ持った才能ではありません。日々の"習慣と関わり方"によって、どんなご家庭でも後天的に育てることができます。それはまるで、心の筋トレのようなものです。この力さえあれば、子どもは人生のどんなときも、誰といても、自分の心の中心に立ち戻り、柔軟に幸せを感じながら生きていくことができるのです。
AI時代にこそ育てたい"3つの幸せ力"とは?
では、具体的にどのような力を育めばいいのでしょうか。これからの時代に特に重要となるのが、次の3つの力です。
1. 身の回りの美しさに気づく「感じる力」
AIがどれだけ進化しても、道端に咲く花の可憐さに心動かされたり、夕焼けの美しさにハッとしたりする「感じる力」は、人間にしか備わっていません。これは、日常に散りばめられた小さな幸せをキャッチする"心のセンサー"のようなものです。
このセンサーが鈍っていると、同じ体験をしても、その豊かさを十分に味わうことができません。例えば、レストランで食事をしても、ただ「お腹を満たす」という作業になり、浜辺へ行っても、波の音や砂の感触を味わうことなく「ただそこに行った」という事実だけが残ります。
私たちは日々、スマートフォンを見たり、マルチタスクをこなしたりする中で、頭ばかりが働く「思考優位」の状態になりがちです。しかし、それでは幸せも感動も、どこか味気ないものになってしまいます。このセンサーの感度を磨くことで得られるのは、日々の体験が色鮮やかになるという、人生の豊かさそのものです。
五感を意識すれば、レストランでの食事は、香りや彩り、活気ある音や味わいそのものを楽しむ豊かな時間に変わります。この感度を磨くには、まずは親が「きれいだね」「いい匂いだね」と感じたことを言葉にして子どもと共有することが大事です。お風呂で「あたたかくて気持ちいいね」と語りかけたり、食事の時に「このお野菜、甘くて美味しいね」と伝えたり……。そんな五感を意識したやりとりが、子どもの感性を豊かにし、人生を深く味わう土台となります。
2. 気分に頼らない「自律する力」
やる気やモチベーションといった、その時々の気分に頼っていると、「気分が乗らないからやらない」というように、行動が不安定になります。「自律する力」とは、気分の波に振り回されず、「決めたからやる」という確立した強さのことです。
この強さは、厳しいルールで子どもを縛ることではなく、むしろ心地よい生活リズムを整え、それを淡々と続ける「習慣」によって育まれます。朝、決まった時間に起きる。遊んだおもちゃを元の場所に戻す。こうした家庭の中の "お決まり"は、子どもに「ここは安心できる場所だ」という安心感を与え、心の安定につながります。
3. 「そのままで大丈夫」と思える"安心できる土壌"
子どもがのびのびと挑戦するためには、良い時も悪い時も、ありのままの自分は受け入れられているんだ、と感じることができる"心の安全基地"が不可欠です。
親からの無条件の肯定、つまり「安心できる土壌」があるからこそ、子どもは自信を持って外の世界へ一歩を踏み出すことができます。「大好きだよ」という言葉やハグはもちろん、「あなたのことを信じているよ」という温かいまなざしも、強力なメッセージになります。たとえ何かを叱る時でも、「その行動は良くなかったけれど、あなたのことは大好きだよ」と、行動と存在を切り離して伝える。そうしたわかりやすい愛情表現の積み重ねが、子どもの自己肯定感を支え、挑戦する勇気を育みます。
親にできる、いちばん大切なこと
これらの力は、特別な英才教育や高価な教材で育まれるものではありません。日々の暮らしの中での、親子のあたたかな関わりで育まれていきます。下にまとめます。
五感を意識する声がけ: 「わぁ、お花がきれいだね」「この風、気持ちいいね」といった、親が感じたことを言葉にして子どもと共有する。
心地よい基本的生活習慣: 決まった時間に起きる、使ったものを元の場所に戻すといった、当たり前の日常を丁寧に繰り返す。
わかりやすい愛情表現: 例えば「大好きだよ」と声に出して伝えたり、ぎゅっと抱きしめたり。そうしたスキンシップや言葉、そして優しいまなざしで、愛情をストレートに伝える。
そして、最も重要なのは、親である私たち自身が、自分の人生を楽しみ、悦びに満たされている姿を見せることです。親が自分の機嫌を整え、心穏やかでいること。その穏やかな空気感は、花の香りがふわりと広がるように、子どもの心にも自然に届きます。子どもは親の言葉以上に、その生き方から学びます。親が幸せそうにしていること、それが子どもにとって最高のロールモデルであり、「自分で自分を幸せにする力」を育む一番の近道なのです。
中内玲子 なかうちれいこ グーグルなどシリコンバレーの企業に勤める親たちから人気の日英バイリンガル幼稚園Sora International Preschool創設者。日本では、つくばにも「そらインターナショナルスクール」を開校。2男1女の母でもあり、シリコンバレーでの生活は20年以上になる。独自の「Soraメソッド」と呼ばれる教育は、シリコンバレーのトップ企業に勤める親たちからも支持を得ている。スタンフォード大学やTEDxでの講演で注目を集め、活動の舞台は世界へと広がっている。著書に『シリコンバレー式 世界一の子育て』、『JOY活 親も子も、今日から変わる新習慣』(フローラル出版)がある。 この著者の記事一覧はこちら











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