Xは11月14日(現地時間)、新たなメッセージ機能「Chat」の正式提供を開始し、ダイレクトメッセージ(DM)機能を段階的に置き換え始めた。iOSアプリとWeb版から利用可能となり、Androidアプリにも近日中に提供される予定である。


Chatは、メッセージの内容(リンク、メディア、ファイルを含む)の「エンドツーエンド暗号化(E2EE)」をサポートしている。暗号化されたメッセージへのリアクションも暗号化される。これにより、送信者と受信者以外の第三者はもちろん、X側でもメッセージの内容を閲覧・解読することはできない。

ただし、Xのサポートページによると、この暗号化にはいくつかの制限も存在する。「誰が」「いつ」メッセージを送受信したかといったメタデータは暗号化されない。また、現時点では前方秘匿性が備わっておらず、秘密鍵が侵害された場合、過去のメッセージまでさかのぼって解読される可能性が残る。Xは今後、鍵管理の改善などにより前方秘匿性をある程度確保できる仕組みを導入する方針である。

ユーザーは新たに「Chat」タブから登録を行うことで、端末ごとに暗号化に必要な鍵(公開鍵・秘密鍵)のペアが生成される。Chatは従来のDM機能を置き換えるよう設計されており、過去のメッセージ履歴はそのまま引き継がれる。

暗号化ダイレクトメッセージを利用するには、以下の条件を満たす必要がある。

送信者と受信者の両方が暗号化ダイレクトメッセージに対応するXアプリ(iOS、Android)、またはWeb版のXを使用していること。
受信者が送信者をフォローまたはサブスクライブしている、以前に送信者へメッセージを送ったことがある、もしくは送信者からの暗号化ダイレクトメッセージを承認したことがあること。


ChatはE2E暗号化に加え、送信済みメッセージの編集・削除、一定時間経過後に自動で消える「消えるメッセージ(Disappearing messages)」、スクリーンショットを撮影した際の通知やスクリーンショット自体をブロックするオプションなど、プライバシー保護を強化する機能を備える。また、音声通話・ビデオ通話にも対応し、今後はボイスメモ機能の追加も予定されている。

Xは2023年にDMへ暗号化機能を限定的に導入したが、2025年春に改善を目的として提供を停止していた。今回のChatは、その再設計版にあたり、名称変更も含めメッセージ機能全体を刷新する大規模なアップデートとなる。
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