一般社団法人 日本金融教育支援機構が主催する、中高生を対象とした金融教育動画コンテスト「第3回FESコンテスト」の授賞式が11月29日に行われた。全国897人の応募者の中から選ばれた10組の受賞者が日本科学未来館に集い、小学生審査員の前で作品が発表された。
○「FESコンテスト」とは
「FESコンテスト」は、大学生が運営し、中高生が応募する、小学生のための金融教育動画コンテスト。中高生はお金に関する「使う・稼ぐ・納める・貯める・備える・贈る・借りる・増やす」の"8つの力"から一つを選択し小学生に向けた1分以内の動画を作成する。今年で3回目の開催となり、今年は家計管理や税制度、キャッシュレス決済、投資、保険といったテーマに加えて、近年社会問題となっている闇バイトや103万円の壁に関する作品も多く寄せられたという。
授賞式での作品発表では、10組の受賞者がそれぞれ制作への思いや、制作の過程でどのような学びを得たのかなどについて3分間のプレゼンテーションを行い、来賓審査員と約30名の小学生が審査した。
○越智聖矢さんチーム「正しく税金が使われる社会に!」
1番目に発表したのは愛媛県立松山中央高等学校2年の越智聖矢さん。
動画制作において工夫したこととして「親近感を持ってもらうために小学生も毎日行う学校でのゴミの分別の話から始めた」ことや、「ちょっとぐらいという気持ちが大きな無駄につながってしまうことを強調した」と話した。動画内では自分たちが教室で話している様子を撮影し、「分別をしないと税金の無駄遣いになっちゃうよ」「日本全国の年間のごみ処理費用は2兆円にもなるんだよ」といった話がコミカルに伝えられた。
審査員からは「"これくらいなら大丈夫"の思いが無駄に繋がっていくんだという語りかけもあって、すごく学びになった作品だと思います」とコメントがありました。
○竹田陽響さん「いろいろな支払い方」
2番目に登場したのは、大阪府立長野高等学校3年の竹田陽響さん。
発表では、「世界中の人々が縦型動画を最後まで見続けるかどうかを決めるのにかけている時間はたった3秒」だと話し、「私はこの3秒に命をかける勢いで動画を作らせていただきました」と説明。
動画では「実はお金の支払い方って現金だけじゃないんだよ」「最近では、現金や財布がなくても買い物ができるようになっているんだ。そういう手段のことをキャッシュレス決済っていうんだよ」とキャッシュレスについて小学生にもわかりやすくイラストを使い解説。
○藤川海七美さん「貯める力を育てよう!」
3番目に登壇したのは大和青藍高等学校3年の藤川海七美さん。「忘れられない思い出があります」と語り始めた藤川さんは、妹と共にお金を貯めてお母さんにプレゼントをしたエピソードを披露。「お金を貯める幸せ」について問いかけた。
「お金を貯めるコツが小学生にも伝わるように楽しくわかりやすいワクワクを意識した」と話し、動画ではわかりやすく3つのポイントに分けてそのコツを伝授。審査員からは「丁寧さが素晴らしい」と評価されていた。
○森本陽仁さん「教えておじいちゃん!」
4番目に登場したのは、大手前高松中学3年の森本陽仁さん。森本さんは「証券会社と聞いてもイマイチ何をやっている会社なのかわかりにくい」と話し、中学生の自分ですらわかりにくいのだから、小学生はもっとイメージしにくいと考えたと説明。とくに「株」と聞いても野菜の「かぶ」をイメージするのでは? という仮説から、まずは株や証券会社に興味を持って身近に感じてもらいたいと動画制作に挑んだと話しました。
動画ではおじいちゃんと小学生の女の子が会話する様子をアニメーションで表現。審査員は、動画のおじいちゃんの声を森本さんが担当したことについて「おじいちゃんの声が素晴らしかったです」とその表現力にも注目していた。
○ローズ栄凛さん「ジョンと考える貯金」
5番目に登場したのは、筑紫女学園高等学校1年のローズ栄凛さん。
動画ではお小遣いを1,000円もらったジョンがステイシーをお祭りに誘ったものの、お祭りまでの間にお金を使いきってしまい、「未来の自分のためにお金を残すべきだった」と悔やむ様子を表現しました。
審査員からは「感情を描いてるところがぐっと掴まれた」と心を捉える構成への評価に加え、「この動画はどうやって作ったんですか?」と聞かれる場面も。普段から動画を作り慣れているというローズさんは「昔の映像が自由に使えるサイトから素材を集め、ミックスした」と説明しました。
○廣瀬稜さん「お金を借りることについて!」
6番目に登場したのは同志社香里高等学校3年廣瀬稜さん。ローンについて動画を作ろうと考えた廣瀬さんは、「情報をまとめるのはAIでもできる」と身近な人にアンケート調査を実施。
日常的にお金を借りることについてやローンの仕組みを知っているかなど、150人から回答してもらったのだそう。その結果、多くの人がローンについて知らないと感じ、「計画的に利用することが大事」だと伝える動画に決定。小学生にも伝わるように、「車1台は80円のアイス32,500個分」など表現を工夫したとのこと。
審査員からは「AIがなんでも答えてくれる時代に身近な人のアンケートを取り、実際に皆が何を不安に思っているかを明確にした上で動画の構成を考えたところが素晴らしい」と評価されていた。
○姫野栞奈さんチーム「お金を貯めるってかっこいい」
7番目に登場したのは福岡市立福岡西陵高等学校2年の姫野栞奈さんチーム。
動画では小学生にもわかりやすいようにお金を貯める3つのポイントを表現した。審査員からは「自分たちの経験からお金を貯めることについて伝えようという思いが伝わる素晴らしい動画だったと思います」とコメントがあった。
○伊藤隆さん「納税のすゝめ」
8番目に登場したのは、成田高等学校付属中学校2年の伊藤隆さん。「絵を描くことが好き」だと話す伊藤さんは、自らアニメーションを制作。
「SNSで税金に対する批判が目立つな」と感じた経験から、税金の重要性や納税の大切さについて伝える動画をテーマに選んだと話した。アニメーションで表現することでインパクトと見やすさを狙ったと話し、動画では白・黒・赤の3色のみを使う表現方法で視聴者を引き付ける独自性を光らせた。審査員からは「色彩を絞ったり、音声なしで音楽のみで表現したことが非常に個性的」と驚かれていた。
○西川実穂さんチーム「闇バイトダメ!! 絶対!!」
9番目に登場したのは志学館高等部1年西川実穂さんチーム。「稼ぐ」というキーワードから闇バイトについて「毎年被害が拡大していることから、自分たちなりに学んで動画にしてみようと思った」と説明、実際にあった事件を参考にストーリーにまとめたと話した。
小学生でも闇バイトの求人が目に入る可能性があると考え、動画では闇バイトをするとどうなるかをストーリー仕立てで表現。審査員からは「実際に闇バイトに手を出してしまったら誰に相談すれば良いか、といったことも入れてほしかった」と要望があったが、「闇バイトに手を出してからでは遅い、と明確に伝えたかった」と堂々と意図を説明していた。
○中下心結さん「たかが買い物 されど買い物」
最後に登場したのは、大手前丸亀高等学校1年の中下心結さん。当初は投資をテーマにしたいと考えていた中下さんですが、「自分の思いを乗せたいい買い物がその会社の業績を上げ、またいい取り組みができる」ことに気づいたのだそう。「この応援は投資の考え方に近い」と考えたことから、小学生にとって身近な買い物から伝える方法を模索したと話す。
小学生に見てもらうために「適度な倍速と複数回視聴が良い」と知った中下さんは、動画の最後をタイトルで締めて最初に戻る構成にし、自然と無限ループできる動画にする工夫も実施。動画では「良い商品を選んで買うことで、その会社の良い取り組みを応援できるよ」と語りかける構成を取り入れた。
審査員からは「クイズを交えたり、買い物と投資との関係性をうまく引き出したり、記憶に残る工夫がされている」とコメントがあがった。
○表彰式では
全ての発表が終了後、審査員により各賞が決定し、表彰式が行われた。
ゆうちょ銀行賞には「貯める力を育てよう!」の藤川海七美さんが選ばれた。
奨励賞には「正しく税金が使われる社会に!」の越智聖矢さんチーム、「お金を貯めるってかっこいい」の姫野栞奈さんチーム、「闇バイトダメ!! 絶対!!」の西川実穂さんチームが選ばれた。
クリエイター賞には「ジョンと考える貯金」のローズ栄凛さんが選ばれた。
審査員特別賞には「教えておじいちゃん!」の森本陽仁さんと、「お金を借りることについて!」の廣瀬稜さんが選ばれました。
三菱みらい育成財団賞には「納税のすゝめ」の伊藤隆さんが選ばれました。
J-FLEC理事長賞には「たかが買い物 されど買い物」の中下心結さんが選ばれた。
そして頂点となる、文部科学大臣賞には「いろいろな支払い方」の竹田陽響さんが選ばれた。
さらに、オーディエンス賞には「納税のすゝめ」の伊藤隆さん・大学生特別賞には「ジョンと考える貯金」のローズ栄凛さん・小学生審査員賞には「闇バイトダメ!! 絶対!!」の西川実穂さんチームが選出された。
会場で審査を行っていた小学生からは「闇バイトはいつでもやってはいけないと改めて思いました」「怖さを知れて勉強になりました」「バイトを始める前に母と父に1回相談してからやるかを決めようと思いました」などコメントが伝えられ、西川さんたちは「小学生に向けた金融教育動画ということで、こうやって小学生たちに表彰してもらえて本当に嬉しいです。こんな可愛い子たちから選んでもらえて泣きそう」と感極まっていた。
最後に、金融経済教育推進機構(J-FLEC)理事長の安藤聡氏は、「中高生の皆さんが小学生のために分かりやすい動画を作成するというコンセプトは非常に重要だと思っています。さらにコンテストの運営が大学生の方のボランティアで成り立っていることも素晴らしいです。また、中高生の皆さんが、いかにお金が自分たちにとって大事なのかを意識して動画を作成されていることも素晴らしいと感じました。動画は非常に分かりやすく、短いコンテンツで十分な学びが得られます。金融経済教育推進機構としてももっと動画を使った金融経済教育の機会を増やしていく必要があると実感しました」と総評を述べた。











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