伊藤忠テクノソリューションズは9日、LGBTQ+に関する社内向け啓発イベント「カラフルなランチタイム ~食べて、学んで、楽しみながら交流する~」を開催した。会場にはLGBTQ+の当事者である東郷潤さん・結香さん夫婦を迎え、トークやLGBTQ+に関するクイズなどを実施。
トークやクイズでLGBTQ+への理解を深める
LGBTQ+への取り組みの評価指標「PRIDE指標」で2020年から6年連続でGOLDを取得している伊藤忠テクノソリューションズ。同社では2020年のダイバーシティ基本方針策定以来、人権週間(12月4日から10日まで)にあわせて、エンジニアがITでの社会課題の解決について考えるイベントや、ゲストを招いて社会課題解決につながるプロジェクトを紹介するイベントなどを実施してきた。今年は、マグロ屋を営む潤さんと美容師の結香さんのご夫婦が、明るく軽妙なトークでイベントを盛り上げた。
戸籍上は女性として生まれて現在は男性として生きる潤さんは、“いつから(自身の性的指向・性自認に)気付いたのか”という問いかけに対して、「ボクは物心ついた頃からでした」と話す。女の子なんだから、と母親にスカートをはかされることにずっと違和感があり、七五三では「お父さんのようなネクタイをしたい」と反発して家の外まで逃げ回ったというエピソードを明かす。
一方、性的指向としてはクィアと呼ばれる概念に属している結香さん。MCから、改めて自身の性について問われると「人間、って思ってます」と笑う。
LGBTQ+についての理解を深めるためのクイズ企画では、「トランスジェンダーの人は皆、性別適合手術を受けて性別を変更する?」という問題が出題された。正解はバツ。MCを務めた株式会社アカルク代表取締役社長の堀川歩氏は「そもそも性別を変更できる国、できない国があります。日本では2004年から正式に性別を変更できるようになり、5つの条件が定められました。
潤さんは2016年に国内で性別適合手術を受けた。その分野ではタイが先進国とされているが、仕事もあり、海外に渡航するほど長い休みがとれなかったという。「ただ、国内で手術を受けると、美容整形の扱いになるんですね。(受けたのは)胸をとる手術だったんですが、術後に目が覚めると『はい、それでは本日はお帰り下さい』という感じでした。まだ管が刺さっている状態で、点滴スタンドのようなものをガラガラいわせながら近所のビジネスホテルに向かいました」と苦笑い。付き添った結香さんは「麻酔が覚めて、彼のひとこと目が『やっと戻れた』だったんです。だから彼にとって、胸がない状態が正常だったんだなぁ、と思って」としみじみ振り返っていた。
当事者が明かす悩み
LGBTQ+に関しては、まだ世の中の理解が追いついていない部分が多い。身近なところでは、男女どちらのトイレに入ればよいのか迷うケースもある。実際、潤さんは女子トイレに入った際に通報され、警察に事情を聞かれた経験があるという。結香さんは「そんなこともあったので、一緒に女子トイレに入るようにしていました。
クイズの最後の問題「日本では法律上結婚できるかどうかは、戸籍上の性別で決まる?」の正解はマル。戸籍上で男性になったことを機に、潤さんは結香さんとの結婚を考えるようになったと話す。それでも、お互いの親を説得するまでに時間はかかった。
結香さんは、潤さんの父親と交わした会話をいまでも鮮明に憶えている。「『結香さんは選べる立場だぞ、わざわざうちの子どもを選ばず、ほかの男性を選んだほうがいいんじゃないか』と何度も聞かれました(笑)。でも、『おたくのお子さん、そんなに問題があるんですか、ギャンブルとかアルコールの依存症ですか』と尋ねると『そういうものは何もない』っておっしゃっていて。結婚すると不幸せになる、と繰り返し言われるので『私は一緒にいられるだけで嬉しいんです、それでも反対されるならすごく悲しいです』と伝えました」。
潤さんは「うちの母親には、トランスジェンダーをカミングアウトしたときも、『小さい頃から男の子っぽかったので、あなたの話を聞いて全部つながったわ』『いままで気づいてあげられなくてごめんね』『これからの人生、あなたの好きなように生きなさい』と言ってもらえたんですが、父親には最後まで『何を馬鹿なことを言っているんだ』『お前の気の迷いだ』『女で良かったって思える日が来る』という感じで、受け入れてもらえませんでした」と話す。ただ、そんなことを言っていた父親も、いまでは一番の味方になってくれているそう。「時間はかかりましたが、時間が解決してくれました。この結香のキャラもあったから、父親の理解も得られたんだと思います」。
ランチを食べながら、身近な話としてLGBTQ+について理解を深めることのできた60分間だった。最後に、潤さんは「ボクはこれまで、家庭で、学校で、職場で、『女の子なんだから』と言われ続ける人生でした。世の中に『みなさんの周りにもLGBTQ+の人たちがいるんだよ』っていうことを知ってもらうだけで、当事者としては1つの安心材料になります」とし、結香さんは「悪気なくLGBTQ+を傷つけてしまう人を減らしたい、と思っています。深い知識を得よう、とまでしなくてもいいんです。間違えた知識のまま傷つける側にまわって欲しくない、と言いますか。普段、そんな思いでメディアにも出ています。当事者ならではの目に見えないしんどい部分がみなさんにも伝わるとともに、LGBTQ+で悩んでいる小さな子たちの気持ちも救われれば、と思っています」と話していた。
近藤謙太郎 こんどうけんたろう 1977年生まれ、早稲田大学卒業。出版社勤務を経て、フリーランスとして独立。通信業界やデジタル業界を中心に活動しており、最近はスポーツ分野やヘルスケア分野にも出没するように。日本各地、遠方の取材も大好き。趣味はカメラ、旅行、楽器の演奏など。











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