ダイキン工業はこのほど、「子世代から見た自身と親の暖房に関する意識調査」の結果を発表した。調査は:2025年11月18日~11月20日、首都圏在住の子世代20~60代の男女500名を対象にインターネットで行われた。

○暖房器具のメインはエアコンが最多、電気代への意識も高い

冬場の暖房器具として最も使われているのはエアコンで、子世代の自宅では49.0%、親世代が住む実家では42.0%と、約半数に達する結果となった。

一方、両世代のうちエアコン以外の暖房器具をメインにしている人は、その全員が「電気代の高さ」からエアコンの使用を避けていることが分かった。また、エアコンをメインに使う割合が高い子世代でも、75.1%は「電気代を意識してエアコンの使用を控えたい」と回答している。

また、エアコンをメインに使っている子世代の多くは、フィルター掃除や部屋の断熱対策、スイッチのオン・オフを控えるなど、エアコンを効率的に使うための工夫を意識している人も多いようだ。

これらの結果から、エアコン暖房が他の暖房器具より光熱費がかかるという意識を持っていることがうかがえる。

○定期的なフィルター掃除が不十分な可能性も

エアコンは、使用する環境や使い方によって消費電力量が変わる。なかでも、エアコンを効率的に使うための基本的なポイントとして挙げられるのが、2週間に1回を目安としたフィルター掃除。フィルターにホコリが溜まったままにするとエアコンの消費電力は増加してしまう。

今回の調査では、子世代の61.4%は実家にあるエアコンの掃除ができていると認識していない結果となった。多くの親世代の家庭では、エアコンが無駄な電力を消費してしまっているかもしれない。

○実家のエアコン掃除は「実用的な親孝行」にも

今回の調査では、普段から親孝行したいと思っている子世代は92.2%にのぼる一方、58.4%は「親孝行ができていない」と感じていることが分かった。また、実家のエアコン掃除を手伝った経験がある子世代は27.2%に留まったものの、「手伝ったことがある」「手伝いたい」を合わせると4人に3人にあたる74.4%に達する結果にもなった。


高齢になるとエアコンの掃除が難しくなるという声も聞かれる。実家のエアコン掃除を手伝いたいと考える子世代が多いのは、こうした親世代の実情を踏まえた結果かもしれない。実家のエアコン掃除は、節電につながる帰省シーズンの実用的な親孝行のひとつと言えそうだ。

なお、エアコンは使い方によってはフィルターの奥にある熱交換器まで汚れてしまい、嫌なニオイの原因になることもある。熱交換器まで掃除する場合は専門業者に依頼する必要がある。
○「ヒートポンプ」を知っている子世代は約21%

エアコンの使用を避ける理由として第1位は「電気代がかかるから」だった。また、第3位には「他の暖房器具で良いから」が挙げられている。

実は、暖房の光熱費を抑えるには暖房器具を上手に使い分けることも大切。暖房器具には様々な種類があるが、一部の範囲を暖めるなら電気カーペットやこたつ、空間全体を暖めたいときはストーブやエアコンが向いていると言われている。特に屋外の空気中から集めた熱を使って暖房する「ヒートポンプ」と呼ばれる仕組みを持つエアコンは、効率的に空間を暖められるのが特長だ。

今回の調査で「ヒートポンプ」を知っているかを尋ねたところ、ヒートポンプの仕組みまで知っていると答えたのは子世代のうち21.4%に留まった。多くの人が電気代を気にしている反面、こうした事実があまり知られていない可能性が浮き彫りとなった。


冬場に寒さを感じるのは空気中の「熱」が少ないから。暖房器具は主に、室内の空気中にある「熱」を増やすことで室内を暖かくしている。一般的な電気ヒーターは電力をそのまま熱に変えるため、「1」の電力で「1」の熱をつくる。一方、ヒートポンプは、電力を使って屋外の空気中から熱を集める仕組みで「1」の電力で「3~7」の熱を生み出す。また、石油やガスを燃焼させる暖房器具と比べてCO2排出量が少ないことも特長だ。エアコンは多くの電力を消費する機器ではあるが、様々な暖房器具と比べると、実は自宅の光熱費や地球への環境負荷を抑えられる優れた仕組みを持っている。冬の帰省時、こうした暖房の仕組みについて話すことも親孝行につながる有意義なコミュニケーションになるかもしれない。

一般的なエアコンは、屋外の空気中から集めた熱を室内に送り込み、室内の熱を増やすことで部屋を暖かくしている。空気中の熱を集めるのが室外機で、室外機から送られてきた熱を室内に放出するのが室内機である。

同社が、エアコンを上手に使って電気代を抑えるための「基本的な節電ポイント」と「エアコン暖房時の節電ポイント」を解説する。
○1.フィルターにホコリをためない

エアコンの室内機は部屋の空気を吸い込み、暖かい空気にして送り出すことで部屋を暖めている。エアコンのフィルターにホコリがたまっていると、熱交換器を通る空気の量が減り、熱を送り出す効率が下がる。
その分、電気代がかかってしまう。空気の通り道をふさがないよう、2週間に1回を目安にフィルターの定期的な掃除を行うことが推奨されている。エアコンのフィルターを1年間掃除しないと、消費電力が約25%も無駄になると言われている。

○2.室外機まわりをスッキリさせる

空気中の熱を集める室外機にとって、空気の通り道は大切。室外機周辺の障害物で吸込口や吹出口がふさがれてしまうと、熱を効率的に集めることができず、無駄な電力消費につながる。障害物がない場合も、冬は室外機の周りに雪が積もって吸込口や吹出口をふさいでしまうこともある。室外機の周辺は余計なものを置かず、障害物を取り除き、すっきりとした状態を保つことが大切となる。

○3.スイッチのオン・オフは控えめに

エアコンはスイッチを入れた後、圧縮機を勢いよく動かして多くの熱を運ぶ。その後、室温を維持できる程度に力を落として運転を続ける。室温が下がってくると圧縮機はまた動きを強める。スイッチのオン・オフを繰り返すと、圧縮機への負荷が高まる頻度が増え、その分、電力消費につながる。同社が実験した条件では、30分程度の外出なら「つけっぱなし」の方が節電につながる結果となった。
このため、エアコンの頻繁なオン・オフは控えることが望ましいとされている。

○4.「風量自動」で効率的に運転する

風量を弱めにしていると室内に送り出す熱の量が減り、室内が暖まるまで時間がかかってしまう。その分圧縮機に負担がかかり、余計な電気を使ってしまう。風量を自動にしておくとエアコンはすばやく部屋を暖めて、必要な分だけ室内の熱を増やしたら、あとは室温を維持するための安定運転を続ける。風量自動は、より効率的な運転で圧縮機の負担を減らすとされており、同社はエアコンの使用において基本的に「風量自動」を心掛けることを推奨している。
○1.風向はできるだけ下向きにする

暖かい空気は上昇する性質があり、暖房中は天井付近と床付近の温度に差が出る「温度ムラ」が起こりやすくなる。室内機で吸い込んだ空気の温度から室温を判断しているエアコンは、天井に暖気がたまっていると「設定温度に達した」と判断して、床付近が肌寒くても運転をゆるめてしまう。エアコンの設定温度を上げれば足元の肌寒さも和らぐが、その分消費電力は増加してしまう。そのため、少しでも温度ムラを抑えるには、風向は「下向き」にするのがおすすめだという。

○2.空気清浄機などを活用して空気を撹拌する

風向を下向きにしても、時間とともに温度ムラはできてしまう。より温度ムラを抑えるには、空気清浄機やサーキュレーターなどの活用が有効とされている。エアコンと向かい合わせに置き、天井方向に風をおくる。
室内の空気をかきまぜれば、さらに温度ムラがやわらぐ。気流をコントロールすることで、無駄な電力消費を抑える効果も期待できる。

○3.設定温度を上げる前に部屋の湿度を上げる

空気には、温度が上がると湿度が下がる性質があり、エアコン暖房で部屋を暖めたときも湿度は下がる。湿度が低いと体感温度が下がり、同じ温度でも寒さを感じやすくなる。エアコンの設定温度を上げれば暖かくなるが、消費電力の増加につながる。洗濯物を部屋干ししたり、加湿器や加湿機能付き空気清浄機を使ったりして、室内の湿度を40%~60%程度に保つことが推奨される。

○4.窓から熱を逃がさないよう部屋の断熱性を高める

熱は暖かいところから冷たいところに移動する性質があり、暖かい室内から寒い屋外へ、少しずつ逃げて行ってしまう。熱がたくさん逃げるほど、エアコンはより多くの熱を運ぶ必要があり、結果として消費電力の増加につながる。室内の熱が逃げやすいのが窓。カーテンでひと工夫するのもポイントとなる。断熱性の高いものを選んだり、上部や下部にすきまができないよう、天井から床いっぱいまでたっぷりと垂らしたりすると保温効果が高まる。
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