ショート動画プラットフォームの競争がスマートフォンの枠を超え、リビングルームに拡大している。米Instagramは12月16日(現地時間)、ショート動画機能「リール(Reels)」をテレビの大画面で視聴できる新アプリ「Instagram for TV」のテスト開始を発表した。
テレビ向けアプリでは、最大5つのアカウントを登録できる。これまでスマートフォンでの個人視聴が中心だったリールを、家族や友人と共有しながら楽しめる体験として再設計している。アカウントごとにパーソナライズされたリールを楽しめる一方、テレビでの視聴専用の新しいアカウントを簡単に作成するオプションも用意されている。
利用方法は、Amazon Fire TVデバイスにアプリをインストールし、Fire TV上でアカウントにサインインする。モバイルアプリのブックマークからテレビアプリを直接開くことも可能である。
リールは、新曲、スポーツのハイライト、おすすめの旅行先、トレンドといったテーマ別チャンネルに整理され、ユーザーの興味関心に応じて表示される。再生は自動で進むため、スマートフォンのように画面をスクロールする必要がなく、テレビを見る感覚でシームレスに視聴できる。加えて、検索を使って、お気に入りのクリエイターを探したり、リール中心のプロフィールをチェックしたり、興味のある様々なコンテンツを自由に探せる。
今後の機能拡張として、スマートフォンをリモコンとして使用する機能、より直感的なチャンネル切り替え方法、友達との共有フィード、お気に入りのクリエイターを一括して管理しやすくする仕組みなどの導入を検討している。
背景には、インターネットに接続されたテレビ、いわゆる「コネクテッドTV」を巡る市場の拡大がある。近年、コネクテッドTV向けの広告支出は、ソーシャル動画広告全体の成長率を上回るペースで拡大しており、ソーシャルメディア各社にとって新たな収益機会として注目されている。
この分野ではYouTubeが先行して取り組みを強化しており、ショート動画機能「ショート(Shorts)」の視聴時間もテレビ上で伸びているという。また、12月11日にPinterestがコネクテッドTV広告プラットフォームを手がけるtvScientificの買収を発表、リビングルームへのリーチ拡大を図っている。Instagramの責任者であるアダム・モッセリ氏も10月、Bloomberg Screentime 2025カンファレンスにおいて、動画視聴行動のコネクテッドTVへの移行を注視していると述べていた。











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