すむたすはこのほど、実家じまいに関する意識調査の結果を発表した。調査は2025年11月20日~12月6日、親世代(60歳~89歳)102名、子世代(30歳~59歳)110名を対象に、インターネットで行われた。

○親子間の話し合いの実施率は32.5%

実家の処分について親子間で話し合ったことが「ある」と回答した人は32.5%だった。2025年7月実施の前回調査(27.9%)と比較すると4.6ポイントの微増となったが、依然として7割近くの家庭では話し合いが行われていない。 話し合っていない理由としては、親世代(63.1%)・子世代(43.6%)ともに「まだ具体的に考えていないから」が前回同様トップとなった。

また、話し合いをした家庭における話題の中心は、引き続き「自身/親が逝去後の住まいの処分について(62.3%)」が最多となっている。

○「話し合いの頻度」親子間の意識ギャップも

この1年での「話し合いの頻度や内容の変化」について尋ねたところ、親世代と子世代で認識に大きな乖離が見られた。 子世代の約半数(50.0%)が「頻度が増した(内容の変化有無含む)」と回答しているのに対し、親世代の81.1%は「変化はない」と回答している。 子世代としては帰省等のタイミングで意識的に話題に出しているつもりでも、親世代にとっては「実家じまいに対する具体的な相談」として認識されていない、あるいは日常会話の一部として流れてしまっている可能性がある。

○準備への意識差

今後の住まいや処分について、親が子に協力してほしいことのトップは「わからない/特にない(76.5%)」だった。親世代は実家じまいについて、まだ身近な課題として捉えていない様子がうかがえる。 対して、子が親に準備しておいてほしいことの上位は「不用品の整理・処分(43.6%)」「重要書類の整理(33.6%)」といった具体的な作業だった。 子側は「親はまだ元気だから大丈夫」と楽観視せず、また親側も「自分にはまだ関係ない先の話」とネガティブに捉えず、あくまで備えとしてすり合わせが必要と言える。

○帰省頻度と「話し合いの深化」は比例しない

帰省頻度別に話し合いの変化を分析したところ、年に4回以上帰省している場合でも、親世代の多くは「変化はない」と感じており、子世代も「頻度は増したが内容は変わらない」という回答が目立った。
単に顔を合わせる回数が多いだけでは、実家じまいの話は進展しにくいことがわかる。

○重要書類の保管場所、子世代7割超が「把握していない」

実家の売却や相続手続きにおいて必須となる「権利書(登記識別情報)」や「実印」などの保管場所について、76.4%の子世代が「把握していない」と回答した。いざ相続や売却が必要になった際、書類が見つからないことは手続きの遅延や紛失に伴うコスト増に直結する。不用品の片付け等はハードルが高くても、「大切な書類の場所だけは聞いておく」ことが、リスク管理として重要となる。
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