2025年は、携帯電話業界にとってどのような年だったのか。まずは携帯電話会社(通信キャリア)の1年を振り返りたいと思うが、インフレを受けての料金値上げや、新規獲得より既存顧客重視の姿勢を強めるなど、各社の戦略転換が相次いだ印象が強い。
携帯料金にも値上げの波、小容量プランは姿を消す
2025年の携帯電話業界は、非常に多くの出来事があった年だった。なかでも最も大きな動きとなるのは、やはり携帯電話料金の値上げではないだろうか。
政府の意向もあり、携帯電話業界はこれまで料金引き下げを余儀なくされてきた。だが、昨今急速にインフレが進んでいるだけに、料金引き下げを続けていては今後のインフラ整備に大きな影響が出る可能性があるし、政府が求めている従業員への給料や、パートナー企業への報酬を上げることもできなくなる。
それゆえ、インフレに応じた料金値上げを求める声は、2024年より携帯電話会社の側から挙がっていたのだが、2025年はついにその値上げに踏み切る携帯電話会社が相次いだ。NTTドコモは「ドコモ MAX」などの新料金プランで実質的な値上げを図ったほか、KDDIも「auバリューリンクプラン」などでそれに追随しただけでなく、「au」「UQ mobile」の既存プランを直接値上げするに至っている。
一方、あえて値上げをしないことで顧客獲得を強化する戦略に舵を切った企業もある。ソフトバンクは、サブブランドの「ワイモバイル」で実質値上げとなる新料金プラン「シンプル3」を導入したが、メインブランドの「ソフトバンク」では現在に至るまで値上げの動きを見せていない。
楽天モバイルも、現行の「Rakuten最強プラン」をあえて値上げしないと宣言。2025年内の1000万契約獲得を目指していたこともあって、あえて値上げせず顧客獲得に重きを置く戦略を取っている。
そしてもう1つ、値上げに関連した動きとなるのが、通信量が少なく、それでいて低価格の料金プランが相次いで姿を消したこと。
その背景にあるのは、低価格のプランで店舗でのサポートを維持するのは難しいというコスト的な問題に加え、それらプランが新規契約時のキャッシュバックなどを目的として携帯電話会社を短期間で乗り換える「ホッピング」行為の踏み台とされている実情も、少なからずあるようだ。実際、NTTドコモやKDDIは、irumoの0.5GBプランやミニミニプランの短期解約率が非常に高いことを明らかにし、大きな驚きをもたらしていた。
新規顧客獲得重視から既存顧客重視の高付加価値戦略に転換の動き
2026年を見据え、各社の料金戦略には変化も出てきている。KDDIやソフトバンクは、従来の新規顧客獲得重視の戦略を転換し、上位プランの魅力を高めて移行を促進したり、自社系列のサービスを利用してもらったりするなどして、既存顧客からの売上を高める戦略に切り替えることを明確に打ち出してきている。
そこに大きく影響しているのは、すでに市場が飽和してしまっていること。どれだけ契約獲得にお金をかけても、獲得できるのは定着率が非常に悪いホッピング目的の人ばかりとなっているため、それならば既存顧客に重きを置いた方が売り上げを伸ばせる、と判断したようだ。
既存顧客重視の傾向は、各社の新料金プランからも見て取ることができる。NTTドコモの「ドコモ MAX」は、スポーツ映像配信の「DAZN for docomo」などをセットにしてお得感を高めることにより、上位プランの魅力を高め下位プランからの乗り換えを促す戦略に注力。2025年11月には、自社の映像配信サービス「Lemino」などをドコモ MAXに加え、さらにWOWOWと提携してLeminoのコンテンツを大幅に強化する方針を打ち出すなど、コンテンツを軸にドコモ MAXの強化に重きを置く姿勢を見せている。
ちなみに、NTTドコモは金融サービスでも大きな動きを見せており、2025年10月に住信SBIネット銀行を子会社化して念願の銀行業を獲得。すでに傘下となっているマネックス証券らとの連携強化も徐々に進めてきており、2026年にはドコモ MAXやそれに関連するプランに、金融サービスとの連携を取り込む可能性が考えられる。
KDDIも、2024年にコンビニエンスストアのローソンに経営参画し、「auじぶん銀行」を完全子会社化したことから、新料金プランではこれら2社の利用を促進する施策を強化。auバリューリンクプランには、ローソンなどでお得な特典が利用できる「Pontaパス」をセットしているし、「auバリューリンク マネ活2」ではauじぶん銀行の残高に応じてキャッシュバックが受けられる仕組みなどが導入されている。
だが、より驚きがあったのは楽天モバイルであり、映像配信サービス「U-NEXT」をセットにした上位プラン「Rakuten最強U-NEXT」の提供を2025年10月より開始した。「シンプルなワンプラン」であることに重きを置いてきた楽天モバイルが、その方針を覆して上位プランの提供に至ったことには驚きがあったが、同社も黒字化のためには、よりお金を多く支払ってくれる優良顧客を獲得したいというのが本音なのだろう。
ネットワークに明暗、2026年は楽天モバイルの正念場に
では、携帯電話会社の要となるネットワークはどうか。2023年、NTTドコモが通信品質を著しく低下させて以降、通信品質に対する関心が高まっており、その評価指標として注目されているのが英OpenSignalの「モバイル・ネットワーク・ユーザー体感レポート」なのだが、2025年もこのレポートで高い評価を獲得していたのはKDDIだった。
それだけに、KDDIは先のauバリューリンクプランでも、混雑した場所でよりつながりやすくなる「au 5G Fast Lane」など、自信を持つネットワークを付加価値として前面に打ち出しているし、5Gの進化を発揮できるスタンドアローン(SA)運用への移行も競合に先んじて進めている。
それに加えてKDDIは、衛星とスマートフォンとで直接通信できるサービス「au Starlink Direct」を2025年4月に開始。2025年8月にはそれをデータ通信にも対応させるなど、衛星通信でも優位性を発揮している状況にある。
そのKDDIに追いつこうとしているのがソフトバンクだ。同社も5G SAへの本格移行を打ち出しており、積極的なエリア拡大を進めているほか、5GのIoT向け通信規格「RecCap」や、5Gのネットワークだけで音声通話ができる「VoNR」など、5G SAに移行しないと利用できない技術の導入を、2025年秋に相次いで打ち出している。KDDIと比べ大容量通信に強い周波数帯がまだ少ないというデメリットは依然あるものの、2026年にKDDIを上回る品質評価を得られるかが注目される。
一方で、そうした競合の動きに乗り遅れているのがNTTドコモである。同社は、先にも触れた通信品質の著しい低下からの改善に取り組んでいるものの、もともとのネットワーク設計思想の違いなどもあって、依然として競合に並ぶ評価を得るには至っていない。
それゆえNTTドコモは、現在も多額のコストをかけてネットワーク改善に取り組んでいる最中で、それが同社の業績を悪化させる要因の1つにもなっている。加えて、同社からは5G SAへの移行やネットワークの高度化などに向けた具体的な計画などが明らかにされておらず、2社と比べ新技術の導入も明らかに遅れが目立っていることが、今後の競争を見据えるうえでも非常に気になるところだ。
では、楽天モバイルはどうか? インフレの影響や2024年からの割引施策などもあって、契約回線数は順調に伸びており、2025年12月末に大台の1,000万に達したのだが、その影響もあって最近は楽天モバイル回線の品質低下を指摘する声が増えている。
それに加えて2026年9月末には、地方を中心に活用しているKDDIとのローミングが切れる予定で、その後のエリア整備計画が見えていないことも非常に気になる。人口が少ない地方のエリアを自社単独で整備するには大きなコストがかかるだけに、黒字化実現のためにもコストをあまりかけられない楽天モバイルが取る手としては、ローミングを再延長するというのが現実的だろう。
ただ、ソフトバンク 代表取締役社長執行役員兼CEOである宮川潤一氏は、自社でエリア整備をせずに料金値上げをしない楽天モバイルの姿勢に疑問を呈する声を挙げている。同様に、競合から地方のエリア整備をローミングに頼ることを疑問視する声が増えるようであれば、今後の契約に影響が出てくる可能性もある。
ローミング契約終了後の楽天モバイルの動きは、2026年、さらにその先の競争環境を見極めるうえでも、非常に重要なポイントとなってくるだろう。
佐野正弘 福島県出身、東北工業大学卒。エンジニアとしてデジタルコンテンツの開発を手がけた後、携帯電話・モバイル専門のライターに転身。











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