中国オッポは2025年12月16日、ハイエンドスマートフォンの新機種「OPPO Find X9」を国内で発表しました。価格が高く販売数が見込めないハイエンドモデルながら、FeliCaを搭載するという国内向けのカスタマイズを施して販売することを打ち出したオッポですが、その狙いはどこにあるのでしょうか?
2年連続でハイエンドモデルを日本に投入
2025年は、年末に入ってもスマートフォンの新機種発表が相次ぎました。
実際、同社は2025年12月16日に新製品発表会を実施し、ハイエンドモデルのスマートフォン新機種「OPPO Find X9」の国内投入を発表。オッポは2024年に「OPPO Find X8」を投入してハイエンドモデルを復活させており、今回はその第2弾というべきものとなるようです。
OPPO Find X9はハイエンドモデルだけにその性能は高く、チップセットには台湾メディアテック製のハイエンド向けとなる「Dimensity 9500」を採用。バッテリーは7025mAhという非常に大きな容量を備えながら、重量は約203gに抑えられているなど、利便性との両立もしっかり図られています。
Find Xシリーズで力を入れているカメラも、Find X8と同様にスウェーデンの老舗カメラメーカーであるハッセルブラッドと共同開発し、すべて約5000万画素のイメージセンサーを採用した3眼構成のカメラを採用。望遠カメラに「W型プリズム」構造を継続して採用し、カメラ部分のバンプ(出っ張り)を抑えているのに加え、新たにもう1つ「マルチスペクトルカメラ」を搭載、9つの光を個別に読み取ることで、複雑な光の環境下でも自然な色合いを実現できるようになっています。
それに加えて、昨今注目されるAIに関しても、グーグルとの協業により強化されたクラウドベースのAIに加え、チップセットの高い性能を生かしたオンデバイスでのAI技術も活用して強化。新たに左側面の「Snap Key」を長押しして音声や画面などを記録し、AI技術を活用して後から必要な場面に応じて情報を取り出せる「AIマインドスペース」などの新機能などが追加されています。
このように、OPPO Find X9はハイエンドモデルにふさわしい機能・性能を備えていることは確かなのですが、一方で価格は直販サイトで149,800円と、ハイエンドにふさわしく10万円を超える高額となっています。それゆえ、冒頭で触れたOPPO A5 5Gや、オッポの主力モデルとなっているミドルクラスの「OPPO Reno13 A」など、より低価格のモデルと比べると販売数は少ないものと考えられます。
日本のハイエンド市場の隙を突く
それにもかかわらず、OPPO Find X9はFeliCaを搭載し、「おサイフケータイ」などが利用できるという国内向けのカスタマイズがしっかり施されています。オッポはこれまで、OPPO Find X9のように高額で販売数が少ないハイエンドモデルでは、国内向けカスタマイズを最小限にとどめFeliCaを搭載してこなかっただけに、今回の動きは非常に大きな変化といえます。
OPPO Find X9はOPPO Find X8とは異なり、多くの販売が見込める携帯大手の一角を占めるKDDIの「au」ブランドから販売されることが決まっているので、コストをかけてFeliCaを搭載したのでは?と思われる人もいるかもしれません。実は、オッポのFind Xシリーズは、これまでauブランドからいくつか販売されていたものの、FeliCaは搭載されていませんでした。
実際、2020年発売の「OPPO Find X2 Pro」、そして2021年発売の「OPPO Find X3 Pro」は、ともにauブランドから販売したものの、FeliCaには対応していません。それが、なぜ現在のタイミングで、しかも以前よりスマートフォンの価格が大幅に上昇して販売数が減少している状況にあって、FeliCaを搭載するに至ったのかは非常に気になるところです。
オッポの日本法人であるオウガ・ジャパンの専務取締役である河野謙三氏は、その理由について、まず消費者に安心感を与える狙いが大きいと答えています。スマートフォンでのFeliCa利用率が必ずしも高いわけではありませんが、日本では機能が搭載されていないと評価が下がり、顧客に選ばれなくなる傾向にあるだけに、使われるかどうかにかかわらず「FeliCaが入っている」という安心感を与えるためにも、FeliCaの搭載に踏み切ったようです。
そしてもう1つ、OPPO Find X8の販売実績も大きく影響したようです。河野氏によると、OPPO Find X8は「我々の想定を超える販売台数」だったそうで、これにより日本でもオッポのハイエンドモデルに対するニーズがあることが実証されたとのこと。それだけに、日本でのハイエンドモデル販売を加速するうえでも、OPPO Find X9にFeliCaを搭載するという判断に至ったといえます。
とりわけ現在の日本市場は、価格高騰の影響による販売低迷を受け、国内メーカーを主体にハイエンドモデルの投入を見送る動きが強まっており、魅力的なハイエンドモデルの選択肢が減少傾向にあります。
それだけにオッポとしては、市場に空いたハイエンドの隙間を狙い、FeliCaの搭載などによって製品の魅力を高め、販売を拡大することで日本市場での知名度やブランド認知を向上させたいのではないかと考えられます。その狙いが上手くマッチするかどうか、まずはOPPO Find X9の販売動向を見守りたいところです。
佐野正弘 福島県出身、東北工業大学卒。エンジニアとしてデジタルコンテンツの開発を手がけた後、携帯電話・モバイル専門のライターに転身。現在では業界動向からカルチャーに至るまで、携帯電話に関連した幅広い分野の執筆を手がける。 この著者の記事一覧はこちら











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