製造業を中心とする人材派遣・人材紹介事業を展開するUTグループは、1月21日から23日まで東京ビッグサイトで開催された「製造業 人手不足対策EXPO」に出展した。
そのブース内で、グループ会社のUTエイムは、自動車工場の未経験者が早期に職場へ適応するための教育手法として、VRを活用した研修コンテンツ「モーターVR」を紹介。
○UTエイムが導入したVR研修の狙い
モーターVRの特徴は、いわゆる座学的な教育にとどまらず、「工場の中で何が起きるのか、何をするのか」を身体感覚として理解できる点にある。最初のコンテンツとして「工場の歩き方」といった安全対策が用意されており、仮想空間の中で工場敷地内を歩くところから体験が始まる。横断歩道を渡る前の左右を確認しないと車両に接触する、工場内ではフォークリフトと接触する危険性といった、現場で起こり得るリスクを疑似体験できる。危険を知識として学ぶだけでなく、実際に体験する内容だ。
さらに、エンジンの取り付け作業を想定したコンテンツでは、インパクトレンチを使ってボルトを締める一連の動作をVR上で再現。上を向いた姿勢での作業や、角度によって締め付けがうまくいかない感覚まで表現されており、実際の現場に近い体験ができる。ボルト締めや、製造業でよく行われる「紐かけ」といった基礎作業を繰り返し練習できる訓練用コンテンツも用意され、作業手順やスピード感を身につけることができる。
また、ライン作業を想定し、一台の車を完成させるまでの複数人による作業分担を、ロールプレイ形式で体験できるコンテンツも用意されている。テールランプの取り付けといった比較的簡単な工程から、工程が複雑なリアスポイラーの取り付けまで5種類が用意されており、役割分担やチームとしての動き方を学ぶことができる。
このVR研修は、派遣先メーカーでの基本研修に入る前段階として活用されている。事前に工場の環境や作業の流れを理解しておくことで、未経験者であっても現場への心理的ハードルを下げられる狙いがある。
当初は研修センターを設けて教育を行う構想もあったが、現在はVRを活用した仮想空間での研修を全国各地で実施できる形へと移行している。
筆者も実際にエンジンの取り付け作業を体験したが、仮想空間内で工場の内観を確認できるほか、ボルトの取り付け位置や角度、締め付けが強すぎた際のインパクトレンチの挙動など、作業のイメージを具体的に掴める点が印象的だった。
試験運用を含め、この取り組みは約2年前からスタートし、これまでに数百人が体験してきた。UTエイムでは、こうしたVR研修を通じて、作業や安全対策を事前に体感することで、現場配属後のギャップを減らし、スムーズな立ち上がりにつなげていく狙いだ。
小野口 輝紀 この著者の記事一覧はこちら











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