Bluetoothのヘッドホンが変革期にある。2019年のBluetooth 5.2で定義され、2022年7月に仕様が確定したLE Audio対応のヘッドホンが昨年あたりから製品化され始めた。


今回は、LE Audio関連の情報と今後のBluetooth LEの方向性を見ることにする。
LE Audioとは

現在Bluetoothには、BR/EDR(Basic Rate/Enhanced Data Rate)と呼ばれるBluetooth 3.0とLE(Low Energy)に対応するBluetooth 4.0~6.xの大きく2種類がある。BR/EDRとLEには互換性がないが、現状、PCやスマートフォンは両方のハードウェアを搭載(デュアル・スタックなどという)しており、Bluetoothデバイスがどちらでも対応が可能になっている。

2025年から、Bluetoothの基本スペック(Bluetooth Core specification)は、年2回更新されることになっており、2025年11月にBluetooth Core 6.4が発表されている。

BR/EDR側で実装された機能(Bluetoothプロファイル、プロトコルなど)とLE側の機能には違いがある。その1つがオーディオ機能だ。LE Audioとは、Bluetooth LE(Low Energy)上に作られたオーディオ機能である。従来のBluetooth 3.0までのBR/EDRに対応したオーディオ機能とは完全に異なり、新規に実装された。

Bluetoothの当初の目的は、携帯電話に有線接続される機器のワイヤレス化であった。しかし、当時のコントローラーの性能から、オーディオの送受信には、ハードウェアが併用されるなどして、オーディオの伝送は特別扱いされていた。具体的には、HSP(Head Set Profile。最初に作られたモノラル・ヘッドセットのワイヤレス化)、HFP(HSPの改良として作られたHands Free Profile。
モノラル音声)、A2DP/AVRCP(ステレオ音声の伝送と再生機能の制御。Advanced Audio Distribution Profile/Audio/Video Remote Control Profile。現在主流のBluetoothステレオ再生機能)などは、現在でもBR/EDRを使っている。LE Audioの追加にあたって、これらをClassic Audioと呼ぶことになった。

LE Audioは、その名のとおり、Bluetooth LEを使う。LE Audioは、Bluetooth 5.2で追加された機能を利用するため、オーディオ機器、ホスト側ともにBluetooth 5.2以上を採用している必要がある。

LE Audioは、接続にLEを使うため、Classic Audioよりもより低電力で動作できる。また、完全独立ヘッドホンのような機器では、ホスト側から左右のユニットに直接接続することが可能になる。Classic Audioでは、左右のユニットは、個々のメーカー、機種独自の方法で接続が行われていた。

また、LE Audioは、LC3と呼ばれる圧縮アルゴリズムを採用した。LC3は、Classic AudioのBSCと比較して、同サイズならばより高音質の音声を伝送できる。なお、Bluetooth LEは、現状2MBPSまでとなっているが、将来的には8MBPSまでの向上が検討されている。


AuraCastは、LE Audioのマルチキャスト技術。マルチキャストとは、1つのオーディオソースを多数の機器で同時再生すること。公共施設などでのアナウンスや動画の音声配信などに利用できる。この機能などLE Audioの機能を利用することで、補聴器にさまざまなソースからの接続が可能になってきた。現状の補聴器のBluetooth対応は、Classic Audioをベースとしており、スマホ内の音楽再生や設定変更などの限られた機能しか利用できなかった。

なお、現状のLE Audio対応ヘッドホンは、Classic Audioにも対応するデュアルスタックとなっている。
LE Audioを使うためには

必要なハードウェアとしてはLE Audio対応のヘッドホンと、Bluetooth 5.2以上に対応しているPCやスマートフォンが必要になる。

まず、ヘッドホン側だが、これはいまのところ簡易な判別表現やロゴなどがないため、製品説明に「LE Audio」が含まれているかどうかで判別する。LE Audioヘッドホンは、昨年ぐらいから登場し、たまに「LC3コーディック」などのキーワードで区別しているオンラインショッピングサイトもある。

なお、ヘッドホンの場合「Bluetooth 5.2」やそれ以上のBluetoothバージョンに対応しているからといって、必ずしもLE Audio対応ではない点には注意が必要だ。

LE Audio ヘッドホンの接続先となるWindowsマシンやスマートフォンのBluetoothホストインターフェースが、5.2以上に対応している必要がある。ソフトウェアは、Windows 11の場合、最低でもVer.22H2以上、できれば最新版の25H2が搭載されている必要がある。
Windows 11マシンがLE Audioに対応している場合、「設定アプリ ⇒ Bluetoothとデバイス ⇒ デバイス ⇒ デバイスの設定」に「使用可能な場合はLEオーディオを使用する」(写真01)という表示が行われる。

Androidスマートフォンの場合、Android 13以降でLE Audioに対応可能となる。ただし、実際にスマートフォンがLE Audioに対応できるのかどうかは、個々のスマートフォンごとに仕様を調べる必要がある。

今回のタイトルネタは、笹本祐一の「ブルー・プラネット 星のパイロット 4」(2000年 ソノラマ文庫、2022年 創元SF文庫)である。星のパイロットシリーズの大団円になる話。個人的には、最後の展開に至る理由があっけなさ過ぎて楽観主義を感じてしまう。かといって、バッドエンドが読みたいわけではないのだが……。
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