すべてのMQL(Marketing Qualified Lead)が商談化するわけではなく、すべての商談が成約するわけでもありません。成約の前に立ちはだかる2つの関門があり、前回は第一の関門であるMQLの商談化について述べました。
第一の関門:MQLが商談(=SQL:Sales Qualified Lead)へと転換するか
第二の関門:商談化した案件が成約するか
前回に続き、今回はその先のステップである第二の関門、商談が成約に至らない理由と対策について深掘りします。
マーケティングやインサイドセールスが精励恪勤(せいれいかっきん)して作り上げた商談が、現場で放置され、消えていく。これほど切ないことはありません。
「パスしたリードが、放置される」「ヒアリングや商談の質が低い」「フォローアップのスピードが遅すぎる」「CRMはフォロー中とだけ書かれているが、実際は何もしていない」......。
商談が成約されない3つの理由
B to Bの世界では一般的に、商談は3分の1が成約されると言われます。この勝率はかなり良い方だと思います。しかし裏を返せば、実に3分の2の商談が成約されません。その理由は、以下の4点が考えられます。
1.そもそもの商談の質が低い
2.セールスのスキル不足によって、案件が進捗しない
3.競争に負けてしまう
4.顧客の都合でプロジェクトが中止や延期になる(これはある意味どうしようもないので、ここでは述べません)
1.そもそもの商談の質が低い
インサイドセールスが目標件数を追うあまり、BANT(Budget:予算、Authority:決裁権、Needs:必要性、Timeframe:導入時期)が揃っていない、形だけの商談を量産しているケースが考えられます。この場合、顧客側にとりあえず話を聞く程度の意欲しかなく、営業が訪問しても具体的な検討に進みません。
この場合の対策は、前回ご紹介したように、インサイドセールスとセールス間のSLA(Service Level Agreement:品質水準)を徹底します。特に、ニーズについてしっかり掘り下げてヒアリングすることが重要です。
さらに筆者のおすすめは、営業による簡単なミニ・ワークショップをこの時点で開くことです。商談の裏に別の商談が隠れていたり、商談そのものが十分に補足されていなかったりする可能性があります。そのため、業界のトレンドを説明して、トレンドを実現するための課題を共有して、そのケースを説明します。
商談をカバーする形で幅広いテーマをぶつけます。そのミニ・ワークショップの中で、顧客の課題を再度探っていくのです。インサイドセールスがパスしたリードは、あくまで顧客との会話のきっかけとして位置付けるのです。
2.セールスのスキル不足によって、案件が進捗しない
これは、顧客の課題を深掘りせず、自社製品の機能説明(ピッチ)に終始してしまうパターンです。顧客から「検討します」と言われた後の追い方や、決裁ルートの把握、反対勢力への対応ができていないため、案件が停滞します。まぁ、いろいろな理由があります。
一般的な対策は、セールスイネーブルメントを強化して、トップセールスの商談プロセスを"型"化し、ロールプレイングやスクリプト(トーク集)で組織全体のボトムアップを図ります。また、商談ごとに、CRMに活動ログをしっかり入れて、それを常にレビューすることも大事です。
3.競争に負けてしまう
顧客の意思決定基準を自社に有利な形に誘導できていない(チャレンジャー・セールスができていない)状態です。価格競争に巻き込まれるか、競合他社が得意とする機能で比較されて敗北します。よくあるパターンです。これは2.のセールスのスキル不足にも関連します。
しかし、実は上流に課題がある場合も多いです。前回述べたようにB to Bでは顧客はベンダーに声をかける前に、購買プロセスの57%を終えていると言われます。つまり、セールスが商談を開始した時点で、すでに競争に巻き込まれています。
しかも、見込み顧客は、解決策も、ベンダーの製品の強み・弱みも把握しているのです。セールスが後追いで介入しても、手遅れなことが多いのです。おー怖っ。
モデル変革のための2つのポイント
セールスとマーケティングは、抜本的にモデルを変革する必要があります。
・マーケティングが、顧客の気付いていない課題について、マーケティングメッセージで刺しにいく
・オペレーションモデルを、自社の提案プロセスではなく、顧客の購買プロセスに変える
マーケティングが、顧客の気付いていない課題について、マーケティングメッセージで刺しにいく
顧客にインサイトを提供し、現状の認識に挑むのです。既存の認識を揺さぶるインサイトであり、これが差別化にならないといけません。このためには、書籍『隠れたキーマンを探せ! データが解明した 最新B2B営業法』(実業之日本社 著者:マシュー・ディクソンら)で紹介されているSICモデルをベースにコンテンツを作成します。SICとは、以下の略です、コンテンツの在り方が変わります。
・Spark 着火・注意喚起: 型破りなアイデアで顧客の思考に刺激を与える
・Introduce 紹介・証拠提示:証拠を含め、詳しく説明して、顧客の思考の枠を破る
・Confront 直面・自分事化:顧客が"変わらないことの痛み"が、"変わる痛み"より大きいことを実感させる
コンテンツは、量ではなく、質が要求されます。Content is Kingです。
オペレーションモデルを、自社の提案プロセスではなく、顧客の購買プロセスに変える
多くのベンダーのファネルモデルは、自社の提案プロセスで構築されています。ここで特長を刷り込むとか、ここで提案したとか、とても内部的です。これは、リードが起点にあるモデルです。
これからのファネルモデルは、顧客の成功までの道筋を顧客視点で作り上げる必要性があるのです。これは、上記にも関連します。
プロジェクトが始まっていない段階から顧客の支援を先手必勝で開始して、プロジェクトが立ち上がり、完了するまで伴走するのです。英語でよくいわれるTrusted Partner(信頼されるパートナー)になるのです。なかなか難しいことですが、これができないと、3分の1の呪縛からは解き放たれないです。
顧客のインサイトを突き、商談化の前段階から「自社が選ばれる理由」を刷り込んでいく戦略的なアプローチこそが、第二の関門を突破する鍵となります。顧客の購買プロセスに寄り添い、インサイトで選ばれる存在になれたとき、成約率3分の1の壁は静かに崩れ始めます。
北川裕康 キタガワヒロヤス 現在は独立して、経営・営業&マーケティングのコンサルティングサービスを上場企業やベンチャー企業、および外資日本法人に提供している。2025年3月末までAI inside株式会社の執行役員CPO(Chief Product Officer)。38年以上にわたりB to BのITビジネスに関わり、マイクロソフト、シスコシステムズ、SAS Institute、Workday、Infor、IFS などのグローバル企業で、マーケティング、戦略&オペレーションなどで執行役員などを歴任。大学は計算機科学を専攻して、富士通とDECにおいてソフトウェア技術者の経験もあり、ITにも精通している。前データサイエンティスト協会理事。マーケティング、テクノロジー、ビジネス戦略、人材育成に興味をもち、学習して、仕事で実践。











![[USBで録画や再生可能]Tinguポータブルテレビ テレビ小型 14.1インチ 高齢者向け 病院使用可能 大画面 大音量 簡単操作 車中泊 車載用バッグ付き 良い画質 HDMI端子搭載 録画機能 YouTube視聴可能 モバイルバッテリーに対応 AC電源・車載電源に対応 スタンド/吊り下げ/車載の3種類設置 リモコン付き 遠距離操作可能 タイムシフト機能付き 底部ボタン 軽量 (14.1インチ)](https://m.media-amazon.com/images/I/51-Yonm5vZL._SL500_.jpg)