韓国の新興スマートフォンメーカーであるALTが2026年2月12日、シニア向けスマートフォン「MIVEケースマ」で日本市場への進出を発表しました。折りたたみタイプでボタンを備えるフィーチャーフォン(ガラケー)タイプの端末ながら、中身はAndroidスマートフォンというMIVEケースマですが、非常に保守的な傾向が強いフィーチャーフォン利用者のシニアの心をつかむことはできるのでしょうか?
シニアと子どもに特化し韓国で成長するALT
世界的にも市場が飽和し、一部の大手でなければメーカーが生き残るのさえ難しくなっているスマートフォン市場。
その1つが、2026年2月12日に日本への進出を発表した韓国のALTという企業になります。ALTという名前は聞いたことがない人がほとんどかと思いますが、それもそのはずで、同社は2017年に設立された新興のスマートフォンメーカー。しかも、スマートフォンはこれまで韓国のみで展開しており、今回が初めての海外進出となるようです。
韓国には、スマートフォン大手のサムスン電子以外にも、かつてはLGエレクトロニクスやパンテックなど、いくつかのスマートフォンメーカーが存在していました。ALTには、そうしたメーカーや、韓国の通信会社でモバイル通信関連事業に携わってきた人たちが多く参加しており、スマートフォンやセットトップボックス、AIロボットなどを提供しています。
ただ、スマートフォンは市場がすでに飽和し、規模が強く求められるビジネスとなっていることから、新興メーカーが大手企業に正面からぶつかっても勝ち目はありません。そこで同社は、ニッチ市場に特化して製品を投入する戦略を取っており、スマートフォンでもシニアと子ども向けに特化したモデルのみを手掛けています。
日本でも、シニアや子どもに向けた端末はいくつか存在しますが、こうしたターゲットを絞ったモデルは、幅広い層をターゲットにしたい携帯電話会社から高いニーズがある一方、効率を重視する大手メーカーが手がけにくい領域でもあります。そうしたことからALTでは、大手メーカーが手がけないニッチな領域に特化することにより、支持を得て成長しているようです。
そのALTが日本参入第1弾として打ち出したのが「MIVEケースマ」。最大の特徴は折りたたみタイプで、ボタン(テンキー)が付いた従来型のフィーチャーフォンスタイルでありながら、純粋なAndroidスマートフォンだということです。
「見た目はケータイ、中身はスマホ」の難しさ
実際MIVEケースマは、本体を開くとキーを備えた一般的な携帯電話のスタイルで操作することが可能。電話やSMS、カメラといった基本的な操作はキー入力でこなすことができ、スマートフォンに馴染んでいない人でも操作しやすくなっています。
日本で利用する人に向けたカスタマイズもいくつか施されており、日本語の入力に関してはオムロンデジタルの「iWnn IME for Android」を搭載。日本でなじみのある予測変換などにもしっかり対応し、日本人が利用しても不便のない環境を整えています。
その一方で、OSにはAndroidの軽量版である「Android 14 Go」を採用しており、ディスプレイもタッチ操作に対応した4.3インチの液晶ディスプレイを搭載。「Google Play」もプリインストールされているので、さまざまなスマートフォン向けのアプリをタッチ操作でこなすことも可能です。
ただ、スマートフォンとしての操作や見やすさを重視し、折りたたみ端末としては大きめのディスプレイを採用している分、日本で一般的なフィーチャーフォンと比べるとサイズはかなり大きめ。また、一般的なAndroidがベースとなっているだけに、日本で従来販売されてきたフィーチャーフォンとはボタン配置やインターフェースに違いがあると感じてしまいます。
あえてAndroidベースのMIVEケースマを投入した理由について、ALTの日本法人であるALT JAPANのCOOである金希哲氏は、「(フィーチャーフォン利用者に)スマートフォンへ乗り換えるきっかけを1つ、選択肢として提供できればと思う」と話していました。フィーチャーフォンを利用し続けていても、多くの人が利用している「LINE」は利用したいという人は少なからずいるだけに、こうした端末を投入することでスマートフォンへの乗り換えを後押しする狙いがあるようです。
ただ、Androidベースのモデルにこだわるのには、もう1つ、ビジネス面での影響も少なからずあると考えられます。FCNTが大手企業のレノボ・グループ傘下となったにもかかわらず、2025年に「らくらくホン F-41F」を投入した際には、部材調達などさまざまな面で苦労したと話していたように、スマートフォン全盛の現在、フィーチャーフォンタイプの端末を開発するのはとても難しくなってきているのです。
それだけにALTとしては、スマートフォンと共通の部材を可能な限り利用できるAndroidをベースに端末開発するのが得策と判断しているのでしょう。ALTのCEOである李尚洙氏は「韓国では子ども向けスマートフォンもAndroidベースに変化している」と話していただけに、他の国でも韓国で展開しているAndroidベースの端末を横展開し、スケールメリットを出していきたい狙いも大きいのではないでしょうか。
ですが、各種調査を見てもシニアのスマートフォン普及率が9割を超えている現状、フィーチャーフォンを利用しているシニアは従来の端末から使い勝手を変えたくないという、強いこだわりを持つ人に限られるだけに、AndroidベースのMIVEケースマがどこまで受け入れられるかは未知数です。金氏も、そうしたシニアの傾向は「承知している」と話す一方、フィーチャーフォン利用者はまだ数百万規模に上るとしており、2026年は3月末にNTTドコモの3Gの終了も控えていることから、まだ商機があると見ているようです。
開発が難しくなっている折りたたみタイプの端末を継続的に販売していくうえで、Androidベースのスマートフォンにしていくことはビジネス上欠かせないといえますが、現在もフィーチャーフォンを使い続ける人は非常に保守的な傾向が強く、従来と異なるインターフェースを受け入れてくれるかは分かりません。ALTが日本のニッチ市場で定着し、存在感を発揮していくうえでは、製品とユーザーニーズとのギャップをいかに埋められるかがとても重要になってくるでしょう。
佐野正弘 福島県出身、東北工業大学卒。エンジニアとしてデジタルコンテンツの開発を手がけた後、携帯電話・モバイル専門のライターに転身。現在では業界動向からカルチャーに至るまで、携帯電話に関連した幅広い分野の執筆を手がける。 この著者の記事一覧はこちら











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