ボールが動けば世界が動く――。今やサッカーは、ピッチの上だけで語れるスポーツではなくなった。
この記事では、サッカーを動かす巨大な潮流を「地政学」という切り口で読み解いた『サッカーと地政学 - ゴールの先に世界が見える -』(木崎伸也/ワニブックス)から一部を抜粋してご紹介、今回のテーマは『「スペイン撃破」が証明した”日本式ボトムアップ”の力』。
○「スペイン撃破」が証明した”日本式ボトムアップ”の力
2022年カタールW杯スペイン戦(第2戦)の2日前、鎌田大地が所属していたフランクフルトがEL準々決勝でバルセロナを破ったときの守備法を提案。森保一監督はそれを採用することに決めた。
立ち上がりからすべてがうまくいったわけではなく、日本は先制を許してしまう。だが、そこから選手は見事に自分たちで修正する。
当初のプランではスペインのアンカーのブスケツを1トップの前田大然が背中側に置いて無効化するプランだったが、ブスケツのポジショニングが巧みで彼へのパスコースを消し切れない。そこで守田英正らボランチが前に出てブスケツに圧力をかけ、それによってフリーになるスペインのインサイドハーフを谷口彰悟ら3バックが前に出て捕まえるというやり方に変更した。
日本は前半を1失点で凌ぐと後半に2点を奪ってスペインに勝利し、グループステージの首位通過を決めた。
惜しくも決勝トーナメント1回戦でクロアチアにPK戦で敗れてしまったが、グループステージにおけるドイツ戦とスペイン戦の勝利は世界中で快挙として報じられた。
日本はユーラシア大陸の東の端に位置する島国で、地理的にヨーロッパの名監督を呼ぶのが簡単ではない。ヨーロッパの名監督からすると、日本行きはどうしても都落ちのイメージがある。
日本人指導者がヨーロッパへ進出するのはさらに困難だ。言葉の壁があり、選手たちをまとめられるか未知数で、欧州主要リーグで監督を務めた日本人はまだ誰もいない。クラブとしてもわざわざ日本人監督を雇うインセンティブがない。
「ヨーロッパを知る選手」vs「ヨーロッパを知らない監督」の構図は今後も長期間続くだろう。
だが、地理的ハンデを嘆く必要はない。すでに解決策は示されている、選手たちが意見を出し合ってチームづくりに参加する――互いを尊重する実に日本らしいやり方だ。ヨーロッパのサッカー界にはない発想である。
日本がW杯で飛躍し、世界中から「日本式マネジメント」が注目される日が来ても不思議ではない。
○『サッカーと地政学 - ゴールの先に世界が見える -』(木崎伸也/ワニブックス)
ボールが動けば世界が動く――。今やサッカーは、ピッチの上だけで語れるスポーツではなくなった。日本代表の快進撃、W杯招致の舞台裏、スター選手の移籍、FIFAの腐敗と癒着、オイルマネーによるイメージ・ロンダリング──そのすべての背景には、国家の思惑や経済、移民、人材育成といった“見えない力”が働いている。本書は、サッカーを動かす巨大な潮流を「地政学」という切り口で読み解く試みだ。











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