連日のように報じられる「住宅ローン金利の上昇」。不安を煽るニュースに押され、「いまのうちに安心の固定金利へ借り換えるべきか」と思案するビジネスパーソンは少なくない。
しかし、「金利が上がるから固定が正解」と慌てて方針を転換するのは早計だ。専門家の高橋健一朗さんは「先々の金利を完璧に見通すことは不可能。そのため、金利を当てにいくのではなく『家計がどこまで耐えられるか』を基準にすべきです」と指摘する。
「変動は危険、固定は安全」という単純な二元論だけで判断してはならない。
本記事では、「変動か固定か」という二択を超えて、繰り上げ返済や借り換えの落とし穴、不動産を資産として捉える際の注意点まで、金利上昇時代に必要な住宅ローンの判断基準を高橋氏に伺った。
○「金利が上がるから固定へ」は危ない?
金利上昇のニュースが続く現在でも、新たにローンを組む人の約7割は「変動金利」を選んでいる。これは金融のセオリーに照らし合わせた明確な合理性があるからだ。
「ただ、合理的なのは変動金利です。現在、住宅ローンの金利が上がって来たと言っても、まだ低い水準です。低いうちに残債を減らせば、将来金利が上がっても少ない残債に対して高い金利になるだけなのでトータルは安くなることのほうが多いです。今は住宅ローンが上昇しているけども、バブルの時のように4%~5%になることは考え難い。ちなみに7割の人が変動金利を選んでいるのもその観点だと思います」(高橋氏、以下同じ)
つまり、金利が低いうちにハイスピードで借金の元本を減らしてしまえば、将来金利が上がったとしても影響を受ける残額が少なくなっている。
ただし、変動金利には見落としやすい盲点がある。
多くの変動金利商品には、金利が急上昇しても「5年間は毎月の返済額が変わらない(5年ルール)」や「上がってもこれまでの1.25倍までにする(125%ルール)」という激変緩和の仕組みが用意されている。
これらは一見すると利用者を守る安心な制度に思える。しかし、注意しなければならないのは、こうしたルールはあくまで「増えた負担の支払いを後回しにしてくれる」だけで、「増えた利息を免除してくれる」わけではないという点だ。
住宅ローンの毎月の返済額は「元本」と「利息」で構成されている。金利が上昇すると、引き落とされる合計額は「5年ルール」などで据え置かれたとしても、内訳の中で「利息」に充てられる割合だけが大きくなってしまう。
その結果、残りの「元本」に充てられる金額が減り、「毎月予定通り払っているのに、借金の元本の減り幅が小さくなり、実質的に返済が延びてしまう(想定通りのペースで返済が進まない)」という事態が起きる。
さらに金利上昇が進むと、毎月の返済額を「発生した利息」が上回ってしまうこともある。この払い切れなかった分は「未払利息」としてどんどん蓄積され、決して帳消しにはならない。最終回の支払いで一括請求されるなど、将来的に家計を破綻させかねない危険性すら秘めているのだ。
したがって変動金利を選ぶなら、漠然と不安がる前に「実際に適用されている金利は何%か」、「自分のローンは『5年ルール』と『125%ルール』の対象か」、そして「返済額が変わらなくても、裏で未払利息が膨らむリスクを理解しているか」をまず確認しておく必要がある。
○損しても固定金利を選ぶべき人。焦った繰り上げ返済の副作用
では、総支払額が高くなりやすい「固定金利」を選ぶ意味はないのだろうか。結論から言えば、毎月の支出増に耐えられない家計にとって、固定金利は十分に価値のある選択肢となる。
「逆に固定金利がよい人は、金利上昇を気にしなくていいので、単純に毎月のローンが払えるかどうか?で判断します。例えば3000万円の住宅ローンを0.5%で組むと大体返済は月額8.9万ほどです。しかし、1.5%になると10.3万(月額1.4万アップ)、2.5%になると11.9万(月額3万アップ)です。月の返済額が上がるのが厳しい人、金利の上下を気にしたくない人は安心料として固定金利を選ぶのが安全策かなと」
このシミュレーションが示す通り、固定金利は「得をするための金融商品」ではない。家計のブレを抑え、精神的な平穏を買うための「保険」として捉えるのが自然な見方だ。
ここで気をつけたいのが、金利上昇の不安から手元の貯金を切り崩して「繰り上げ返済」を急いだり、慌てて固定へ「借り換え」たりする動きだ。これらには明確な副作用が伴う。繰り上げ返済は将来の利息を確実に減らす一方で、いざという時に家族や生活を守るための手元資金を一気に失ってしまう。
借り換えに関しても数十万円単位の手数料が発生するため、結果的に損をするケースも珍しくない。
○「持ち家=資産」は都市部のみ。金利予測より大切な防衛策
最後に、不動産を「資産」として考える際の注意点にも触れておきたい。「持ち家は資産になるから買ったほうが得だ」という声は根強いが、その実態は地域によってまったく異なる。
「たしかに、10年前に首都圏でマンションを買った人は、昨今の価格上昇で利益が出たケースも多いです。結果的に『持っていたほうが得だった』と言えるでしょう。ただ、それは都市部に限った話です。地方で戸建てを買った場合、売却価格がローンの残債を下回ってしまうケースも珍しくありません」
高橋氏が語るように、都市部での成功体験が全国どこでも通用するわけではない。地方では、いざ家を手放そうとしたときに、売値よりも借金が多く残るリスクが十分にある。
こうして見ていくと、住宅ローン選びにおいて一番大切なのは、得をする金利をギャンブルのように当てることではないとわかる。金利がどう動こうとも、自分と家族の暮らしが脅かされない「仕組み」を作ることだ。
地に足のついた判断が、どんな時代にあっても揺るがない真の資産防衛策となる。
西脇章太 にしわきしょうた 1992年生まれ。三重県出身。県内の大学を卒業後、証券会社に入社し、営業・FPとして従事。現在はフリーライターの傍ら、YouTubeにてゲーム系のチャンネルを複数運営。専門分野は、金融、不動産、ゲームなど。公式noteはこちら この著者の記事一覧はこちら











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