「名画」と呼ばれる絵画には、思わず誰かに話したくなるような物語が存在します。本記事では、世界中の名画の“裏話”を紹介した『ムンクは何を叫んでいるのか?』(井上馨 著/サンマーク出版 刊)から、一部を編集・抜粋してお届けします。
○作者:ジャン=フランソワ・ミレー/所蔵:オルセー美術館
この作品はミレーの傑作の1つとされている。
しかし初めて見た人は困惑するかもしれない。
一見、何の変哲もない田園の風景。手前で腰をかがめて何かを拾う3人の女性。奥で農作業をする人々。ただそれだけが描かれた絵だからだ。
劇的な場面もない。神話の神々もいない。
なのになぜ、この地味な絵が「傑作」と呼ばれるのだろうか?
実は、この何気ない風景には「神への信仰」が隠されている。
3人の女性たちをよく見てほしい。彼女たちが拾っているのは、収穫後に畑に落ちている麦の穂だ。
彼女たちの正体は夫に先立たれた寡婦、つまり日々の暮らしに困窮する最も貧しい女性たちである。
ミレーの暮らしたバルビゾンでは、秋の収穫後、寡婦が落ちた穂を拾い集めることが認められていた。
これは2000年以上前の聖書の教えに基づく風習だった。
『旧約聖書』「レビ記」にはこう記されている。
「あなたがたの地の実のりを刈り入れるときは、畑のすみずみまで刈りつくしてはならない。またあなたの刈入れの落ち穂を拾ってはならない。(中略)貧しい者と寄留者とのために、これを残しておかなければならない」
(『旧約聖書』「レビ記」19:9−10 )
つまり落穂拾いは、神が命じた「聖なる慈善」なのだ。
よく見ると、背後で農作業をする集団と、手前の女性たちは一切交わっていない。
彼女たちは、そっと残されたものを拾うだけ。
それが彼女たちに許された、唯一の生きる糧だった。
しかしミレーは、この貧しい女性たちを惨めには描かなかった。
むしろ堂々とした体格で、大地にしっかりと根を下ろし、静かな威厳さえ感じさせる。
この絵が描き出しているのは、単なる貧しい女性たちの姿ではない。
貧しくとも、信仰と共に力強く静謐に生きる人間の姿。
それこそが、見る者の心に深く訴えかけるのだ。
何気ない風景の中に、信仰が作り出す美しい世界を描き出した。それこそが、この絵が150年以上も人々の心を打ち続ける理由である。
Summary
落穂拾いは、神が命じた「聖なる慈善」であり、当時の貧しい女性たちの唯一の生きる糧だった。
○『ムンクは何を叫んでいるのか?』(井上馨 著/サンマーク出版 刊)
ムンク『叫び』、フェルメール『真珠の耳飾りの少女』、ゴッホ『ひまわり』、モネ『睡蓮』など……
誰もが知っているあの名画のときにせつなく、ときにミステリアスで、ときに驚きに満ちた、誰かに思わず話したくなる物語。
世界には、数えきれないほどの絵画がある。
その正確な数は、誰にもわからない。
ただ、1つだけ確かなことがある。
それは、描かれた絵の数だけ描いた人の人生があり、そして、絵の中にいる人物の数だけ語られていない物語がある、ということだ。
そして、我々はそのほとんどを知らない。
知らないまま、「美しい」「考えさせられる」と言い、分かったつもりで絵を見ているのだ。
だが、額縁の外に目を向けると、そこにはときに、せつなく、悲しく、目を背けたくなるほど壮絶な物語やときに愚直で、切実な愛の物語が隠れている。
ノルウェーの画家・ムンクが描いたかの有名な『叫び』もそのひとつである。
多くの人は、あの絵はムンク自身が頬に手を当てながら叫んでいる絵だと思っている。
ところがあの絵に描かれたムンクは何も叫んでいない。
あれはムンクが耳を塞ぐ様が描かれた絵なのだ。ムンクは叫んだわけではなく、聞いたのである。彼にしか聞こえない「何か」を……。
本書で紹介するのは、そんな絵には描かれていない48の謎に満ちた物語だ。
作者が背負っていた運命。言葉にできなかった思い。
そして、描かれた人物たちが、その一瞬を迎えるまでに歩んだ時間。
それらを知ったとき、あなたはもう以前と同じようにそれらの絵を見られなくなるだろう。
まったく違う絵に見えることすらあるかもしれない。
そしてその話を、あなたは誰かに話さずにはいられなくなるはずだ。
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