福間香奈女流五冠の棋士編入を懸けた棋士編入試験は、0勝2敗で迎えた第3局の生垣寛人四段戦が3月27日(金)に関西将棋会館で行われました。得意の先手中飛車を用いて果敢に攻めた福間女流五冠ですが、生垣四段の鋭い指し回しの前に惜しくも88手で敗北。
2度目の挑戦となった試験は0勝3敗の不合格に終わりました。
○3か月ぶりの再戦

生垣四段は兵庫県出身の22歳。居飛車と振り飛車を使い分ける対抗形党で、昨年10月のデビュー以降は出口若武六段や黒田尭之五段を破るなど8勝2敗と実力を示しています。福間女流五冠の先手で始まった本局は先手中飛車対居飛車舟囲いの急戦形に。昨年12月に行われた両者の対局と類似の戦型ですが、早めに右桂を跳ねたのがこの日の生垣四段の作戦。

中飛車の5筋の位をめぐって戦いが始まります。銀取りを放置して5筋に飛車を回ったのが生垣四段の強気の対応で、直後の角切りとのコンビネーションで中央の勢力を奪還することに成功しました。福間女流五冠としては角が戦線離脱している間に玉頭で戦いが始まってしまったのが痛く、居飛車側の金銀の厚みを切り崩すのに一手遅れている印象です。

○新四段が実力示す

形勢容易ならずと見た福間女流五冠は左辺で飛車を捕獲するB面攻撃で泥沼化を図りますが、主導権を握る生垣四段は鋭い指し手でリードを拡げにかかります。戦列を離れた飛車のことは見捨てて敵陣への垂れ歩に期待したのが大局観を見せた一手で、先手の飛車と玉を同時に攻める展開となっては大勢決しました。以降は生垣四段の寄せを見るばかりとなりました。

終局時刻は16時9分、最後は攻防ともに見込みなしと認めた福間女流五冠の投了で生垣四段の勝利が決定。
中盤の入り口で鋭い角切りから中央の勢力を奪った生垣四段の快勝譜となりました。局後、生垣四段は「人生をかけて臨まれていたと思うのでこちらも誠心誠意指した」、福間女流五冠は「一生懸命やった結果なので仕方ない、実力が足りなかった」と語りました。

水留啓(将棋情報局)
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