イチロー氏が歩んだ軌跡は多くの人々の胸に刻まれている(C)Getty Images

 2025年の米野球殿堂入りが現地21日(日本時間22日)に発表され、資格1年目のイチロー氏(マリナーズ会長付特別補佐兼インストラクター)が、日本人初の殿堂入りの快挙を達成した。

 MLB史上2人目、野手史上初の満票での殿堂入りが期待されたが、得票率99.7%とわずか1票届かない形となった。

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 イチロー氏はオリックスからポスティングシステムを利用してメジャーに挑戦。2001年のルーキーイヤーに打率.350、56盗塁の成績で首位打者と盗塁王に輝くと、当時、メジャー史上2人目となる新人王とシーズンMVPの快挙を成し遂げた。

 その後も2004年にはMLBのシーズン最多安打記録となる262安打をマーク、この記録は現時点でも破られていない。

 さらに1年目から10年連続で200安打、ゴールドグラブ賞を受賞。球団はマリナーズから始まり、ヤンキース、マーリンズ、最後は再びマリナーズに戻り、通算19年プレー、メジャーでは3089安打を記録、日米通算4367安打、まさに前人未踏、メジャーでも確固たる足跡を残した。

 そんなイチロー氏だけにマリアノ・リベラ以来、史上2人目の満票得票なるかが、開票前から大きく注目を集めた。ほぼ確実とも見られていたが、フタをあけてみれば、わずか1票届かず。投票資格は全米野球記者協会に10年以上所属する記者となる。得票資格のある394人中、393人から票を集めたとされる。

 イチロー氏自身はこの点に関して「1票足りなかったのはすごく良かった」と前向きにとらえ、寛容な姿勢を示すも、本人とは裏腹に収まらないのは米球界に関わる人々だった。

 前人未踏の記録の重さを知るだけに取材に関わる米記者の間からは、開票結果がわかると同時に『FOXスポーツ』のアナリスト、ベン・バーランダー氏は「イチローに投票しなかったのは誰だ?」と疑問の声をあげるなど、未だに波紋を拡げている。

 黙っていなかったのは地元紙にもある。

 イチロー氏が入団からキャリアを築いたシアトル・マリナーズの地元紙『シアトルタイムズ』ではマイク・ボレル記者が今回のイチロー氏の米野球殿堂入りに関して「満場一致ではありませんでした」として、米球界内の空気を伝えた。

 記事の中では、今回の投票に関わった全米野球記者協会の規定に触れるとともに「イチローを除外した人は永遠に匿名のままかもしれません」とし、今回投票しなかった人物に関して「ほとんどすべての人の怒りを買いました」と記す。

 さらに米メジャー専門局『MLBネットワーク』で、長年司会を務めたボブ・コスタス氏の発言も紹介。

 「彼または彼女(イチロー氏に投票しなかった人物)は前に出て説明しなければならない。私はただあなたの理由が聞きたいだけだ。なぜなら私には理由が一つも分からないからだ」と同氏が語ったこともあわせて、紹介された。

 所属していたマリナーズではイチロー氏の51番が永久欠番となることも発表された。多くの人々に鮮烈な記憶を残したイチロー氏の偉業の価値をめぐっては引き続き、論争が続きそうだ。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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