身体を大きく使った独特のフォームから伸びのある真っすぐを投げる工藤。その胸のすくようなボールに野球ファンも関心を寄せている。
虎の怪腕が球界で小さくない注目を集めている。阪神の工藤泰成だ。
堂々たる投げっぷりは目の肥えた虎党、ひいてはプロ野球ファンをも唸らせている。昨年に育成ドラフト1位で阪神に入団した工藤は、春季キャンプから伸び上がるストレートを投げ込み、首脳陣へのアピールに成功。3月5日に甲子園で行われた中日とのオープン戦で本拠地初登板を果たすと、2死無塁の局面で石伊雄太に右前安打を許したが、1回(19球)を投げ、2奪三振、被安打1、無失点と危なげなく竜打線をねじ伏せた。
【動画】ロマンしか感じない!育成ドラ1工藤が見せた圧巻ピッチング
とりわけ圧巻だったのは、工藤の“十八番”でもある快速球だ。
先頭打者の辻倫太郎のバットをへし折りもしたこの日は、全19球のうち15球が4シーム。そのすべてが150キロを超え、最速は157キロ、平均は154キロを計測した。それこそ藤川球児監督の現役時代を彷彿とさせるスピンの効いた伸びる真っすぐは、球場内をどよめかせ、明らかな異彩を放った。
公式発表によるサイズは177センチ、82キロだが、鍛えぬいた筋骨隆々の肉体は数字以上の大きさや厚みを感じさせる。平均球速の凄まじさの納得といったところだ。
すでにSNS上では「球児(藤川監督)みたい」「日本人離れした体格」「ストレートえぐすぎる」「メジャーリーガーみたい」といった賛辞が殺到。
ここまで制球が大きく乱れる様子はなく、投球に一定のまとまりもある。さらにスライダーなどの変化球が生きるようになれば、幅も広がり、レギュラーシーズン中に“即戦力”として一定の活躍ができるという期待も膨らむ。
日々熾烈な競争が続く中で声価を高め、背番号も「127」から「24」に変わった工藤。すでに先発、中継ぎともにタレントが居並ぶ藤川阪神だが、そんな「投手王国」に独立リーグからやってきたハングリーな怪腕が戦力として加わるとなれば、まさに鬼に金棒。その起用法を含めて大いに興味を引きそうだ。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]