今永の活躍は周知のとおりだ(C)産経新聞社
アマチュア野球の選手にとっては、新たな門出となるプロ野球のドラフト会議。そこには、このような格言があります。
「ドラフトの評価は10年後にならないと分からない」
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ドラフト会議の直後、メディアの中には12球団の採点を行い、「勝ち組」「負け組」のレッテルを貼るところもあります。しかし、競合を繰り広げたドラフト1位の選手が成功するとは限らないし、名もなき下位指名の選手がスターダムに躍り出るのもまた、ドラフトの妙味と言えるでしょう。
それでは格言に従い、10年前…2015年のドラフト会議を振り返ってみたいと思います。
真の「勝ち組」はいったいどのチームになるのでしょうか。
まずは当時のおさらいです。この年のドラフト会議で1位の競合になったのは3選手。中日、日本ハム、ソフトバンクによる3球団の競合の末、ソフトバンク入りした県岐阜商の高橋純平と、地元の楽天とロッテによる競合の末、ロッテ入りした仙台育英の平沢大河内、そして阪神とヤクルトによる競合の末、阪神に入団した明治大学の高山俊です。
高山を巡っては金本知憲監督と真中満監督が抽選に臨み、先にくじを開いた真中監督が渾身のガッツポーズ。しかし、実は「交渉権確定」だったのは金本監督だったという迷シーンも、語りぐさになっています。
そして、この3選手の現在地はというと――。
高橋は、2019年こそ45試合に登板して存在感を示しましたが、通算4勝で2023年限りで現役引退。
平沢もロッテでは通算打率.190と本領発揮ならず、現役ドラフトで西武へ移籍。
高山は1年目の2016年こそ134試合の出場で規定打席に到達し、打率.275、136安打、8本塁打、65打点の好成績をマーク。セ・リーグ新人王に輝きましたが、その後は苦しみ、2023年シーズン限りで戦力外通告。現在はイースタン・リーグのオイシックスで再起を図っています。
一方、この年の出世頭は単独指名&外れのドラフト1位勢です。
青山学院大の吉田正尚はオリックスが単独で1位指名しましたが、その後の活躍については記すまでもないでしょう。レッドソックスの中心打者として活躍しています。
DeNAが単独で1位指名した駒澤大の今永昇太は「投げる哲学者」とも呼ばれるクレバーな姿勢でもファンに愛され、WBC日本代表としても活躍。昨季からはカブスへと戦いの場を移しました。
中日は高橋を外し、東海大相模のサウスポー・小笠原慎之介を外れ1位で指名。すると、ローテの一角として2021年からは4年連続で規定投球回数に到達。この春からナショナルズに移籍し、夢のメジャーで開幕へ準備を進めています。
阪神5位の帝京大・青柳晃洋(現・フィリーズ)、広島5位の西川龍馬(現・オリックス)ら、下位指名から中心選手が出ている点も、スカウトの慧眼と言えるでしょう。
今年のルーキーは近い将来、どんな評価をされるのでしょうか。活躍を祈るばかりです。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]