才木が身体をしならせ、投じた真っすぐはメジャーの強打者を翻弄した。(C)Getty Images
昨季のワールドシリーズ王者を圧倒した。
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東京ドームの観客はおろか、日米両球界のファンの垂涎の的となる投球だった。初回に先頭打者の大谷翔平に「狙った」というフォークで空振り三振に仕留めた才木は、その後も小気味いい投球でドジャース打線を翻弄。5回にマックス・マンシーに右前打を許したが、危なげなく投げ切った。
マウンドで異彩を放った背番号35。フォークとフォーシームを組み合わせた緩急自在のピッチングでとりわけ圧巻だったのは、その球質だ。
MLB公式のデータサイト『Baseball Savant』によれば、この日の才木のフォーシームの平均球速は、昨季のメジャー平均(94.2マイル=約151.6キロ)を下回る93.4マイル(約150.3キロ)。お世辞にも剛速球とは言い難いわけだが、ドジャースの打者たちが差し込まれる場面が目立った。
なぜ名うての打者たちは翻弄されたのか。それはボールの回転数に起因する。『Baseball Savant』に記録された才木のフォーシームの平均回転数は2617回転/分。
大谷との対戦でもボールはかなりキレていた。興味深かったのは高々と上がる中飛に打ち取った2打席目だ。
全6球のうち2球目のカットボールを除いた5球がフォーシームと力勝負を挑んだ才木だったのだが、なんと5球全てがメジャー平均を超える2700回転超え。球界屈指の強打者を相手に“真っ向勝負”ができ、そして打ち取れた証左であった。
才木のポテンシャルの高さには、米メディアも舌を巻く。試合を取材していた『The Athletic』のファビアン・アルダヤ記者は、ドジャースのデーブ・ロバーツ監督が「球は力強かったし、メジャーリーグ並みの実力がある」と認めたことを自身のXに投稿。その上で「阪神のヒロト・サイキは信じられないほどに印象的だった」と持論を記した。
強打者揃いのドジャース打線をねじ伏せた才木。レギュラーシーズンの開幕に向け、自信を深めたであろう右腕に期待せずにはいられない。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]