不器用な若者たちが織りなすヒューマンラブコメディー『ファイトソング』(TBS系/毎週火曜22時)。本作は、空手の日本代表を目指していたスポ根ヒロイン、木皿花枝(清原果耶)が、“人生最初で最後の恋”を見つけていく物語。

花枝が最後に選ぶのは、落ちぶれた一発屋ミュージシャンの芦田春樹(間宮祥太朗)か。それとも、一途な幼なじみ・夏川慎吾(菊池風磨)なのか。恋の三角関係が、火花を散らしていくことになりそうだ。2月22日(火)に放送された第7話は、花枝がついに秘密を明かすことに。芦田と慎吾の切ない対比にも注目が集まった。(文=菜本かな) ※本記事はネタバレを含みます。ご注意ください

■ついに、病気のことを明かした花枝

 つらい出来事に直面した時。その事実を口にすることを、躊躇(ちゅうちょ)する人は多いと思う。誰かに言ってしまえば、その瞬間に現実味を帯びてしまうから。周囲に心配をかけたくない、いつも通りに接してほしい。「かわいそう」と同情されたくもない。そんな思いから、つい心を閉ざしてしまう。
本作のヒロイン花枝も、そうだった。聴神経腫瘍を患っていることを、“家族”にも芦田にも言わず、たった一人で抱えてきたのだ。第7話では、そんな彼女が一歩を踏み出す姿が描かれた。

 芦田の歌声に背中を押された花枝は、家族の前で病気のことを明かす決意をする。慎吾、萩原凛(藤原さくら)、磯辺直美(稲森いずみ)、迫智也(戸次重幸)の4人がいる前で、「どうせ、私にはいいことなんて起きないと思ってた」と涙ながらに語る花枝。「芦田との出会いは、病気になってから起きた唯一のいいことだった」とも。その姿を、家族たちは優しく見守っていた。

 そして、すべてを聞き終えたあとにガラリと空気を変えるのは、慎吾だ。「罰ゲームは、免れないな。黙ってた罪は重いでしょ!」と彼なりの温かさを見せる。この機転の良さには、「あんなふうに重い空気を変えられるやつ、絶対いいやつ」「ここで笑って空気帰られる慎吾ちゃんの存在はありがたいよ」「罰ゲーム! って言ってくれる慎吾ちゃんの優しさすごいな」と絶賛の声が上がっていた。

■芦田と慎吾の対比に「両者とも切ない」

 病気のことを知っている慎吾と、知らない芦田。
客観的に見れば、慎吾の方がお似合いなようにも思える。だが、花枝が心から“現実”を忘れられるのは、芦田といる時間なのかもしれない。2人でいる時間は、非現実でありたいからこそ、「(病気のことは)言わないで終わりにする」と決めたのではないだろうか。

 2016年放送のドラマ『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』(フジテレビ系)に、こんなセリフがあった。「時に人生は厳しいけど、恋をしている時は忘れられる」――。花枝と芦田は、まさにこの言葉を体現している2人だ。目の前の“恋の取り組み”に一生懸命になっているうちに、未来への不安なんて消え去ってしまう。「キスしてもいいですか? しますね」と言ってした初めてのキス。手をつなぐことも、自然になってきた。芦田といる時間の花枝は、恋をする普通の女の子でいられるのだ。手術のことも、進行していく病気の存在も忘れて。

 しかし、現実はそう上手くはいかない。
芦田が出演するラジオの公開収録を見ている最中に、花枝は倒れてしまう。窓ガラスを挟んでいる芦田には、倒れた花枝の姿は見えない。駆けつけて手を差し伸べたのは、慎吾だった。近いのに遠い芦田と、遠いのに近い慎吾。この2人の対比には、「花枝ちゃんのために歌う芦田さん。花枝ちゃんのために近くにいてる慎吾ちゃん。両者とも切ない」「芦田が気づいてなくて慎吾が助けるのが…」「物理で支える慎吾! 歌声を届ける芦田! この対比よ! 天才!」との声が上がっていた。

 次週の予告には、「あんたは本当に(花枝のことが)好きなわけじゃないんだよ! そうなんだよ!」と、芦田に発破をかけにいく慎吾の姿が…。「どこまでいい奴なんだ!」とツッコミたくなるほど優しい慎吾。ただ、花枝が好きなのは芦田なのだろう。たしかに、時折見せる可愛さに心惹(ひ)かれてしまうのも分かる。

 両者ともすてきなキャラクターなだけに、どちらが傷つく姿も見たくない。
しかし、選ばれるのは一人だけ。最後に花枝の隣にいるのは芦田か。それとも、慎吾か。ここにきて、どちらも選ばれない可能性も見えてきた。これは、最後まで目が離せない展開になりそうだ。

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