東京で生きる女子たちをオムニバス形式で描くドラマ『明日、私は誰かのカノジョ』(MBS、TBS/毎週火曜深夜)の第9話が、6月7日(火)の深夜に放送された。ホスト楓(高野洸)との仲が徐々に縮まり、「少しでも長く会いたい」と思うようになった大学生・萌(箭内夢菜)の恋とは言えない恋の行方と、久々に登場した雪(吉川愛)とリナ(横田真悠)に注目が集まった。

(文=於ありさ) ※本記事はネタバレを含みます。ご注意ください

■楓の“シゴデキ”っぷりが炸裂

 「好きな人がいて……」と打ち明けてイメージチェンジした萌。これがもし恋愛ドラマだとしたら「すてき!」と賞賛されそうな場面だが、手放しで喜べない苦しさを感じたのは筆者だけだけではないはずだ。なぜなら、萌の好きになった相手はホスト。この恋が実る可能性なんて、ほぼないに等しいからだ。

 放送回を重ねるたびにSNSで話題になる楓沼の深さ。そんな楓の“シゴデキ”ぶりが今回も炸裂した。シャンパンを入れない萌を詰めるどころか「萌ちゃんは、シャンパンとか入れなくていいんだよ。そんなことさせたくない」と特別扱い。シャンパンを入れたら、それが店の中で1番安い価格のものだろうと「値段なんて関係ないよ」と笑顔で褒めて、「営業終わったら、一緒にご飯行かない?」と誘う。

 「こんなの落ちない方が無理…」そう視聴者に思わせる楓だが、一方であくまでもこの振る舞いはホストとしての営業であることを示唆するような表情を時々見せる。

 例えば、イメージチェンジした萌が楓に会いに行ったシーン。
楓はいつものように萌を全肯定。「前までの服装も似合ってたけど、すごいかわいいよ」と女の子扱いしたあとで「声とかかけられなかった?」と一言。萌がスカウトに道で話しかけられたと答えると、楓は「それで、そのスカウトの人はどうしたの?」と聞く。しかし、これに対して萌が「びっくりしたけど、ついていかなかったよ」と答えた後、楓は少しの間を置いてから「悪い人もいるから気をつけてね」と言った。その表情が心から心配しているようには見えなかった。

 これまでも「声、かけられなかった?」と繰り返し言っていた楓。もしかして、本音を言うと萌がスカウトから声をかけられること、それに萌がついていくことを期待しているのだろうか。そうだとしたら、もはや楓が策士すぎて怖い…。

 深夜にトマトパスタとリゾットを二人で分け合いながら食べる、初々しさと背徳感を感じさせたデートがすてきだったがゆえに萌のことを心配してしまう。すでに楓沼にハマっている萌だが、どうか必要以上に傷つかないことを願うばかりだ。

■ドラマだけのオリジナルシーンに反響

 萌のイメージチェンジを手伝ったことがきっかけで、久しぶりにご飯に行くことになった雪とリナ。久しぶりになったのは、雪がアザのことを暴露した時にリナから言われた悪気のない「かわいそう」にモヤついていたからだ。


 食事に行ったお店でリナは、雄大(井上想良)と別れた理由をお金のことだけじゃなくて、寂しい時に誰かで埋めたくなってしまうため、パパ活を辞められなかったからだと告白した。それに対して雪は「依存することは悪いことじゃない」「リナ自身が自分のことを嫌いにならないように、そんな考え方ができたらいいね」と返答したのだが、雪はそうやって自分のコンプレックスを乗り越えてきたのかと感じさせる一言だった。

 好きな人、大切な友達に対して「全てを知りたい」「全てを好きでいたい」とは思ってしまうもの。しかし雪のモノローグにもあったように「100%の関係になれなくてもいいのかもしれない」「その関係が自分にとって何よりも救いになることだってある」はず。

 雪がリナを許した理由を裏付けるだけでなく、お金ありきの関係だとわかっている萌が楓に恋をし続ける理由、ハルヒ(藤原樹)からうそをつき続けられても完全には突き離せないゆあ(齊藤なぎさ)にも通ずるもののように思えた。

 ちなみにこのシーンはドラマだけのオリジナルシーン。視聴者からは「雪とリナ、話せてよかった」「すごく心に響いた」との声が集まったほか、原作者のをのひなおも「とても良きなので皆さんぜひ見てください」と絶賛していた。

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