東京で生きる女子たちをオムニバス形式で描くドラマ『明日、私は誰かのカノジョ』(MBS、TBS/毎週火曜深夜)の第11話が6月21日(火)の深夜に放送された。原作でも人気のホスト編、そのフィナーレとあって、萌(箭内夢菜)と楓(高野洸)、ゆあ(齊藤なぎさ)とハルヒ(藤原樹)の関係性は激変。

そのやりとりに胸を打たれた視聴者が続出した。(文=於ありさ) ※本記事はネタバレを含みます。ご注意ください

■齋藤なぎさと藤原樹の迫真の演技

 ゆあは相変わらず、ハルヒにイラだっていた。これまでも衝突が多かった二人だが、今回の原因は、ゆあが同意していない高級シャンパンを入れるという約束を同僚のホストの七星(坪根悠仁)に確定かのように伝えたことだった。

 その怒りを伝えるもハルヒは相変わらず、響いていない様子。ゆあが電話越しで「でも、私無理だから!」と叫ぼうが、ため息混じりで「わかったから…」と流し「とりあえず今日も店、来るっしょ?」といつものごとく誘った。

 さて、今回のハルヒ、ここまでの振る舞いははっきり言って0点だ。「こんなのゆあから切られたらおしまいだぞ」と思った視聴者も多いことだろう。しかし、そんなハルヒが電話をつなげたままゆあの家に突撃訪問。突然の出来事に戸惑うゆあへの「出ないの?」「開けてよ?」…この言葉がずるい!

 さらに、ドアを開けるとハルヒは「ゆあが限界なら、もう終わりにする?」と一言。「いつものハルヒと変わらない、冷めた発言か…」と思った矢先、目を伏せて「まあ、俺は離れたくないけどね」と告げるのが、再びずるい。これは好きになっても仕方がないと感じてしまった。


 しかし、そんなゆあとハルヒの綱渡り状態の関係は、一瞬にして切れてしまった。下着姿の客とベッドに寝ている写真を掲示板に晒されたハルヒにゆあは激怒。「ちゃんと話をさせて?」と伝えるハルヒの指示通り、歌舞伎町のホテルで二人は会うのだが、ここでのケンカシーンがすごかった。実際SNS上でも「ゆあとハルヒの喧嘩すごい…」「見入ってしまった」などの声が多く集まっていた。

 開口一番「大丈夫なわけねぇだろ」と叫び「あのババアだろ!」「クソホストが」と暴言を吐きまくり、瞳孔をぐわっと見開きながらハルヒを詰めるゆあには、齋藤の本気を見た気がした。また、ハルヒを演じる藤原が「お前に何がわかるんだよ」と静かにつぶやいた後で「少女漫画のヒロイン気取ってんじゃねぇ」「俺らを人間扱いしてないのは、お前らの方なんだよ」と徐々に声量を上げていくさまも圧巻だった。

 そんなハルヒとゆあの関係は、担当を切ると宣言したゆあに対するハルヒの「てめぇ、掛けはちゃんと払えよ!」の怒鳴り声で終了。あまりにも切ない、不完全すぎる夢だった。

■夢から覚めた萌の涙に、視聴者もらい泣き

 楓のバースデーイベントのために、必死に風俗で働く萌。心をすり減らしながら、ぎりぎりの精神状態で働いている心情は、客の前で泣いたことだけでなく、以前は整頓されていた萌の部屋に大きなゴミ袋があったり、服が散らばっていたりと荒れていたりすることからも読み取れた。

 そんな状態ではあったものの、なんとか目標金額を達成した萌。必死で稼いだ130万円を手に店へと向かう途中、楓からは「桃花ちゃん 俺も早く会いたい」とメッセージが届いた。


 これを見て萌は「楓だって完璧じゃない、間違いくらいある」と納得。しかし、これまでの楓とのうれしかった思い出を振り返りながら「うれしい言葉をくれるのも、欲しかった居場所になってくれるのも楓が、ホストだから」という気持ちを受け入れることになってしまった。ずっと気付いていた気持ちを解放する萌のモノローグは、感情が高ぶるにつれ、少し早口でトーンが高くなっていく。それと合わせてテンポ良く切り替わる楓との思い出の映像は、萌へと感情移入させた。

 かりそめの居場所に気付き、「自分には居場所がないのではないか」と絶望する萌。そこにタイミングよく連絡を送ったのは、ホストに通う以前の萌の居場所のバー「TRAP」のみっこママ(品田誠)だった。ドアを開けて涙声で「みっこのいう通り、大恋愛してきたよ」と笑う萌。それに対してみっこママがなだめるのではなく「聞かせなさいよ! 何あったのよ~!」と明るく振る舞うのが、すごく爽快で温かい。ゆあとハルヒ同様、萌と楓の関係も終了。しかし、萌なら大丈夫、きっと前に進んでくれると思わせてくれたシーンだった。

 次週はいよいよ最終回。東京で生きる女子たちがどんなラストを迎えるのか、最後まで見届けたい。

編集部おすすめ