東京で生きる女子たちをオムニバス形式で描くドラマ『明日、私は誰かのカノジョ』(MBS、TBS/毎週火曜深夜)の最終話が6月29日(火)の深夜に放送された。雪(吉川愛)を旅行に誘った壮太(楽駆)。

二人のやり取りを軸に明日カノ女子たちの1年後に迫る内容に注目が集まった。(文=於ありさ) ※本記事はネタバレを含みます。ご注意ください

■雪と壮太の恋の行方は?

 “レンタル彼女”としての顔を持つ雪と、雪の顔のアザを知った上で真っすぐに雪のことを思う客・壮太。以前の水族館デートで、距離が生まれてしまった二人だが、壮太が再び雪を予約。そこで壮太は、お店を通さずに雪と旅行に行きたいと伝え、「9日の13時に下田駅で待ってる。来るか来ないかは雪ちゃんが決めて」と言い残した。

 約束の日、待ち合わせ場所に現れた雪。来てくれたことに壮太は「プランを立ててきたから! 雪ちゃんに楽しんでもらうように、頑張る!」と舞い上がる。しかし、雪の反応は、そんな壮太とは対極的だった。「今回は2日間貸し切りありがとう」とシステマチックに話した。顔のあざを知られた上に、お店を通さずに会うのはあくまで仕事のため…と心の中でつぶやく雪。そうは言っても「壮太くんは、本当に手を出してこないはず」という理由だけで、2日間も一緒にいることを選ぶなんてそうそうできることではない。
やはり、雪も心のどこかでは壮太に思いを抱いているのだろうかと思わせた。

 そこから二人で観光地を巡り、露天風呂ではそれぞれが空を見ながら塀越しに会話を重ね順調と思われた旅行。お風呂上がりの雪の顔にあるアザを見て、旅館の人がぎょっとした顔をしたときに壮太が黙って手を握るのを見て「壮太なら、本当に雪を愛してくれるのではないか」とわずかな期待を抱いてしまった。

 また、以前のデートでお互いにプレゼントしあったストラップをスマートフォンに付け合う雪と壮太。「これは、いよいよ両思いのまま終わるのだろうか…」と視聴者が盛り上がっていたタイミングで、壮太は雪に「雪ちゃんのことが好き」「雪ちゃんを守りたいんだ」と伝えた。

 しかし、この言葉を聞いた雪の答えはNOだった。雪は誰かに守ってほしいだなんて思っていないからだ。どうして壮太の付き合いたい気持ちは、守りたいになってしまうのだろう。雪の抱える傷を一緒に背負うと言い、雪を肯定してくれる壮太。少々頼りないところはあれど、彼氏にするなら、なんの問題もないように思える。ただ、彼には欠けていることがある。それは、目の前の雪の気持ちに寄り添うことだ。
壮太の優しさは、雪の心に寄り添っているように見えて「おそらく雪はこう思っているだろう」という想像に寄り添っているだけなのだ。だから、1人で生きていく、自分のことは自分で守ることを決意して、前を歩んでいる雪に「守りたい」と告げるようなミスマッチが起きてしまうのだろう。

 この出来事もあり、雪と壮太の恋は終わりを迎えた。夢の中で顔にあざがない、雪にとっての“普通”の人生だったら、壮太を選んでいたかもしれないと考えていたがゆえに、この二人の恋が終わってしまったことは切ない。雪にとって、幸せとはなんなのか。幸せに向かうことはできるのか、いろんなことを考えてしまった。

■楓(高野洸)のトラックがSNSで話題に

 そこから月日が進んで1年後を描いたシーンで、雪の大学の友人のリナ(横田真悠)はモデルへと転身。寂しさを埋めることができなかったリナが居場所を見つけたのだ。このシーンにSNSでは「雪とリナの笑顔が見れて嬉しい」「明るい未来でよかった」と肯定的な意見が集まっていた。

 一方、年齢がネックでキャバクラを落ちて看板を蹴り、「次行こ! 次」と歩き出す彩(宇垣美里)や、新しい担当にハルヒ(藤原樹)の悪口をいうゆあ(齊藤なぎさ)は相変わらずな様子。

 そして、萌(箭内夢菜)は美容師になるために専門学校生として、新たに歩み始めていた。そんな萌が街を歩いていると、萌の後ろを「楓 No.1」と書いたアドトラックが走っていったのだが、このトラックがSNSで話題を集めた。
その理由はアドトラックの楓(高野洸)が、原作同様、二重まぶたになっていたからだ。1年の間にNo.1のポジションへと上り詰めた楓の努力ともいえる、容姿のマイナーチェンジ。原作の中でも多くの人が見逃しがちな変化を、しっかりと実写化に落とし込んだ演出に、このドラマがいかに丁寧に作られ、深夜の時間帯にも関わらず、多くの人から注目を集めていたかを感じさせた。

 「この窮屈な世界で、生きたいように生きていくために、私は私の足で歩いていく」ーー方法はさまざまだが、この言葉が“幸せになりたい”と願う視聴者の背中を押してくれる気がした。幸せになりたいなら、まずは自分にとっての幸せの軸を見つけたい、全編を通して、幸せとはなんなのかを考えさせられた。

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