『ハリー・ポッター』シリーズの世界が体験できる「ワーナーブラザース スタジオツアー東京 ‐ メイキング・オブ・ハリー・ポッター」(以下、「スタジオツアー東京」)が、2023年夏、東京・練馬区にある、としまえん跡地に誕生する。イギリスのロンドンに続き、2番目となる「スタジオツアー」だが、なぜ数ある国の中から日本が選ばれたのだろうか? 「ワーナーブラザース スタジオツアーロンドン‐メイキング・オブ ・ハリー・ポッター」(以下、「スタジオツアーロンドン」)のプロジェクト構想から携わるサラ・ルーツ氏(ワーナー ブラザース ワールドワイド ツアーズ アンド リテイル デスティネーションズ エグゼクティブ バイス プレジデント)に話を聞いた。

(取材・文・写真=阿部桜子)

■なぜ日本が選ばれた?

 「スタジオツアー東京」の開発と立ち上げも監督するルーツ氏は、「スタジオツアーロンドン」のほかに、ワーナー作品の小道具、セット、衣装を紹介する「ワーナー・ブラザース・スタジオツアー・ハリウッド」や、9と4分の3番線グループを含むリテイル、アメリカの新たな旗艦店「ハリー・ポッター・ニューヨーク」などに携わってきた人物。

 そんなルーツ氏に日本を選んだ理由を聞くと、「日本は完璧な場所でした」と、うれしい答えが返ってきた。「最初は、撮影に使った衣装や小道具、セットを体験していただくことにフォーカスを当てたかったので、『スタジオツアーロンドン』だけをメインに計画を進めていたのですが、規模が大きくなり、人気が出てくると、『次の場所はどこ』ということを考え出しました。『スタジオツアー』は、ファンのためのホームで、ファンのために作っている場所。そこで挙がったのが、一番ファンが多く、人気も高い日本でした」

 しかし、まだまだ謎に包まれた「スタジオツアー東京」。ルーツ氏によると、“東京だけにしかない機会”も作る予定だという。

■“日本ならでは”の体験も

 「オープンから10年間、進化し続けてきた『スタジオツアーロンドン』の経験を生かし、『スタジオツアー東京』では、フォトスポットを増やしたり、セット自体に入り込めたりするような企画を練っています」とルーツ氏。

 「スタジオツアー東京」でセットを組み上げるのは、『ハリー・ポッター』シリーズの製作に携わったフィルムメーカーたちで、人が入っても問題ない、しっかりとした土台作りなどが行われているという。

 また、「スタジオツアー東京」では、インタラクティブな体験も検討中とのこと。「スタジオツアーロンドン」に、一部がグリーンスクリーンになった肖像画の展示エリアがあるのだが、「スタジオツアー東京」では、ゲストが実際に肖像画になれる企画が考えられていると語る。

 時代に沿った新たな楽しみを取り入れつつ、ルーツ氏は「『スタジオツアーロンドン』で見たものは日本でも制作されます」とし、本場のクオリティーそのままに楽しめることもアピール。

 特に驚くのが、その再現度。
例えば「ダンブルドアの校長室」は、グリフィンドールの剣や組分け帽子など“目に見えるもの”だけでなく、ゲストが触ることのできない引き出しの中にある、ダンブルドアの収集品も用意されていると話す。

 ちなみに、ルーツ氏の「スタジオツアーロンドン」の中の好きな場所は「ダイアゴン横丁」とのこと。「色彩やお店1つ1つの細部までこだわっているところが、本当にお気に入り。ゾンコの『いたずら専門店』も大好きです」と語る。

■ファンにとっての“ホーム”を目指して

 泣き出すだけでなく、床にキスまでするゲストもいたほど、訪れた人を魅了する「スタジオツアーロンドン」。「スタジオツアー」についてルーツ氏は、「ファンにとってのホームであってほしい」と思いを語る。

 「この施設は、映画の世界に入り込める機会を提供したいと思って作った場所です。 セットを見ると、どうやってその映画が作られたかがわかり、作品への理解が深まると思います。映画や制作秘話を楽しむことで、『ハリー・ポッター』の世界に近づけることでしょう。日本のファンの方も、ぜひ細部まで見て、楽しんでほしいです」

 「『スタジオツアーロンドン』では、2019年に「グリンゴッツ銀行」のエリアが新オープンしました。日本でも何かが起こると思います。日本の方がスケールが大きく、さまざまな企画を予定しているので、もう少し待っていてください」

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