趣味も好みも性格も正反対の「むく」と「えなぴ」によって結成された次世代YouTuberコンビ「むくえな」。女子が思わず共感してしまう「あるある動画」など、むくえなの二人が友達のように親近感溢れるトークで“等身大の女の子”を体現し、10~20代を中心に多くの女性から支持を集めています。
■深夜3時まで続いた執筆作業
――初のエッセイ出版にあたり、今の気持ちを聞かせてください。
むく:まさか自分たちがエッセイ本を出すことになるとは思ってもいなかったので、嬉しさとワクワクでいっぱいです。本を出すこと自体も嬉しいけれど、自分が考えていることを本にして、それをみんなに見てもらえる経験はなかなか無いので、そこが嬉しかったですね。
えなぴ:元々2人で本を出してみたいという気持ちはありましたが、まさかエッセイ本を書くことになるとは思っていませんでした。それこそ自分たちのメイクやファッションを写真で発信するほうがまだ想像がついていたので。でも友達と書いた本がこうして形になったことはすごく嬉しいです。こんな素敵な思い出の作り方はないと思います。
――本を出すと決まったときの周りからの反響はいかがでしたか?
むく:とても喜んでくれました。エッセイには家族のことも書いているので、うちの家族はそこも楽しみにしてくれているようです。友達にはプレゼントとして私から渡そうかなと思っていたのですが、本屋さんに行って自分のお金で買いたいと言ってくれたので、嬉しかったですね。
えなぴ:チャンネル登録者数100万人達成をしたタイミングで、友達が「むくえなマジですごい!」と一緒に喜んでくれました。
――旅館に3日間こもって原稿を書いたとのことですが、執筆にあたって苦労したことや逆に楽しかった、いい思い出になったということがあれば教えてください。
むく:基本的にはとても楽しく書けました。こういう書き方で合っているのかなという不安はありましたが、書いているときはすごく楽しくて。チャット方式でえなぴと交互に書いていくところは、いつもの動画の会話をそのまま文字にしたような雰囲気になっています(笑)。
えなぴ:言葉の表現が出てこなくて苦戦もしましたが、私も基本的には楽しかったです。旅館では隣同士に座って執筆を進めたりしていました。深夜3時くらいまでずっと2人で書いていたのですが、打ちこんだ文字がお互いにリアルタイムでわかる共有画面上で、突然むくが「私もう寝るね、おやすみ」と文字を打ってきたんですよ(笑)。すぐ側にいるんだから話せばいいんだけれど、私もそこで「わかった、おやすみ」と打ち返して返事をしたりして。そういうのも楽しかったですね。
■“等身大”だからこそ響くものがある
――動画では2人とも言葉に詰まることなく話しているイメージがありますが、文章となるといかがでしたか?
えなぴ:難しかったです…。
むく:私も正直あまり読書をしないほうなので…、文字での表現の仕方や言葉の言い回しを考えるのが難しかったですね。
――工夫して書かれた1冊なんですね。読者の方には、どこに注目してほしいですか?
むく:動画で話す感覚で書いているチャット方式のところは面白いので見てほしいです! あとは第2章で仕事のことについて書いていますが、普段あまり話さない真面目な話もしているので、ぜひそこにも注目してもらいたいですね。
えなぴ:“等身大”だからこそ、同じような仕事をしたくて頑張っている子たちの参考になる部分もあると思います。友達とのこと、ライフスタイル……読者の方それぞれに響くところ、好きなところは違うと思いますが、全部読んでいただけたら嬉しいです。自分たちで書いたイラストも入っているので、そこにも注目してほしいです!
■2人の仲良しの秘訣は「正反対だからうまくいく」
――ここからはむくえなさんのパーソナルな部分や、動画作りについて聞かせてください。むくさん、えなぴさんは幼なじみということですが、2人の活動が仕事に繋がっていくのをいつ頃から意識し始めましたか?
むく:高校1年生から「むくえな」として活動し始めましたが、2年生になったときにバイトを辞めて動画作りに専念することになったので、その辺りから意識したのかな。
えなぴ:私の場合、高校時代はまだ仕事という気はしなくて楽しい部活みたいな感覚でした。高校を卒業して学生じゃなくなったときに“動画一本”になったので、そのタイミングで意識するようになったかもしれないですね。
――幼なじみで親友同士の2人が仕事のパートナーになっていますよね。動画配信を始めてから、いつかは個人のチャンネルにしようとは考えませんでしたか。
えなぴ:それは考えたことがなかったですね。私たち2人はYouTubeをやるだけの関係ではなく、ベースに“友達”というのがありましたので。友達は絶縁でもない限り解散なんてありません。だから個々にやりたいことがあったとしても、それで「むくえな」がなくなることはないですね。これから先もないと思っています。
――すごいですね。実際には多くの方が友人関係に悩んだりしていると思います。2人で仲良く過ごすためにどうやってバランスをとっていますか?
むく:えなぴとは高校で学校が別々になり会う機会が減ってしまうから動画投稿を始めることにしました。
えなぴ:この本でも話していますが、私たちは“正反対”なのが逆によかったと思っています。仕事でも互いを補い合えるのでうまくいっているのかも知れません。お互い正反対ではありますが相手を尊重できているのでちょうどいい距離感でいられます。
――では人間関係で悩むことはありませんか?
むく:私は、友達に「いらんこと言ったな…」と思っちゃう方ですね。だからえなぴとの関係でも、今日は言い方を間違えていたなと思うときがあります。でも、それで仲が悪くなるということは全然なくて。
えなぴ:これだけ付き合いが長いので、悪い人じゃないというのがわかっているんですよ。そういう“信頼”がベースにあるので、普通ならギクシャクしちゃうところでも相手は悪気がないと理解できるんです。だから一つ一つのことが大ごとにならない気がします。
■2人の距離感は「今がちょうどいい」
――むくえなさんといえば等身大の女の子のリアルなトークや趣味やファッションが視聴者の心を掴んでいると思います。あえて等身大にフォーカスした動画作りをしているのにはどんな理由があるのか教えてください。
むく:意識しているというよりは、自分たちが楽しいことを優先していたら今の形になりました。動画作りに関しては元々、「自分たちが喋っているだけでも見てもらえる」ようになりたいという目標があったんです。その目標に向かって行くような動画作りを心がけています。“自分たちの素を出す=おもしろい”になるから、そこを意識している感じです。
えなぴ:あとは友達同士でやっているから、良く見せようと猫をかぶってもバレるじゃないですか(笑)。それに普段よりも良く見せることに恥ずかしさもあります。一緒にやっているのがガチの友達だからこそ、等身大になれるのだと思います。
――動画を拝見したところ一緒に住んでいた時期があったようですが、これからも一緒に住んでみたいと思いますか。
えなぴ:長めの旅行みたいで楽しかったから、また1ヵ月単位でシェアハウスはやりたいですね。
むく:今はお互いに住んでいる場所が近いんですよ。一人暮らしだけれど徒歩5分で行けちゃう距離にいますので。昨日も夜は一緒にスーパーに寄って、そのままウチで一緒にご飯を食べました(笑)。
えなぴ:今の感じがちょうどいいのかもしれません。元々、実家にいた時も今の距離と変わらないくらい近くて。だからもし結婚しても、お互いの家族同士で近くに住んでいたいですね。
――書籍で目標としていたチャンネル登録者数100万人突破おめでとうございます! 次の目標などがあれば聞かせてください。
むく:私たちのトークを届けられることが嬉しいので、ラジオなどの仕事もやってみたいと思います。ラジオには憧れがあるんです。自分たちの声が車から流れてきたら嬉しいですよね。
えなぴ:動画に関しては、もっとYouTuberっぽいこともしてみたいですね。ゆるい動画が多いのでたまには“ガッツリYouTuber”みたいなことをやってもいいんじゃないかと考えているところです。
――では、最後に改めて書籍の見どころをお願いします。
むく:本当に“普通の女の子”2人が書いている本です。でも、そういう本ってあまり本屋さんに並ぶことがないですよね。身近な人が言っている言葉だからこそ響くことや、参考にできることがあると思っています。
えなぴ:私たちの“出会いから今日まで”が載っています。2人の人生そのものが1冊の本になっているので、ぜひいろんな人に読んでもらいたいです。例え「むくえな」を知らない人でも、読んでもらえればなにかしらのヒントになると思います。そしてこのエッセイ本をきっかけに「むくえな」を好きになってもらえたら嬉しいです!
『おかしな友情 正反対のウチらが一生モノの友達になるまで』(宝島社)は、各ネット書店のほか、全国書店で発売中。