TikTokのフォロワー数が52万人を超える美少女・“るーるる”こと小此木流花が人気を博している。散らかった部屋とパジャマ姿という“怠惰”な発信スタイルが親近感を感じさせるだけでなく、愛くるしいルックスからは想像もつかない笑いのセンスも持ち合わせており、知らぬ間にとりこになってしまう不思議な魅力を持つ。

そんな小此木は、今年の2月から、有吉弘行や指原莉乃、生田絵梨花らがいる太田プロダクションに所属。4月16日(日)には楽曲「無敵ヒーロー」をリリースするなど、活動の場をめきめきと広げている。そんな小此木に今回クランクイン!トレンドがインタビュー。“バズ”を生み出す秘けつや動画制作の裏にある孤独な一面など、さまざまな話が浮かび上がってきた。(取材・文=阿部桜子/写真=小川遼)

■怠惰スタイルは“引きこもり"がきっかけ

ーー小此木さんはTikTokで人気になる前は、アイドルとして活動されていましたよね? そもそも芸能活動を始めたきっかけは何だったのでしょうか?

ずっとアイドルが大好きで、いいなって思っていて…。あと、ちやほやされていろんな人に愛されたいっていう気持ちがあったので(笑)、活動し始めました。渡辺麻友さんに憧れていたんです。

ーー2018年にアイドルを卒業されて、YouTubeを再開されたのが、2021年の9月でしたね。一念発起したきっかけは?

その時はフリーだったので、自分にできることをとりあえずやろう! と思って、目の前にあるできることとしてYouTubeを始めてみました。

ーーいくつか投稿を拝見したんですけど、昔は、今の“怠惰”なスタイルと少し雰囲気が違っていますよね。おめかししているというか…。そこからパジャマ姿になったのは、何かきっかけがあったんですか?

そうなんです! 部屋もちゃんと片付けていました(笑)。
あの頃はまだ大学生だったかな…。結構社会と関わっていたんですよ(笑)。アイドルも辞めたばっかだったから、外の人間とたくさん絡む機会があって、周りに合わせなきゃいけないっていう意識がありました。人の目を気にしてたっていうか、みんなと合わせて普通のことをしなきゃいけないって思っていて…。

だから、YouTubeを撮影する前は一生懸命片付けて、服もしっかり着替えていたんですけど、その後、引きこもりになって、自分の世界がSNSだけになると、外の世界の人と関わらなくなって…。自分だけの世界になったら、人にどう思われてもいいやって思えるようになりました(笑)。

SNSの中の“るー”のことが好きな人は、わたしのことをなんでも肯定してくれるじゃないですか。だから全部をさらけ出しちゃおうって。実はアイドル時代も、見えないところでは、外出する時もダル着&すっぴんの時があったんですけど、それを今はもう全部そのまま出しちゃいました。そしたら、こんなことになりました(笑)。

ーーなるほど(笑)。その方向転換に反響はありましたか?

昔からのファンの人はどう思ってるかわからないですけど、新しいファンの方々がアイドル時代の何倍もついてくれました。
でもアイドルの時からも好き勝手やっていたので、昔からのファンの方々も「また好きなことやってんな」って思ってくれていると思います。

ーー良いファンの方たちに恵まれましたね。新しいファンも獲得し、TikTokでは、2000万回以上再生・360万を超えるいいねを獲得した大バズリ動画も生まれました。エフェクトを活用して、マッサージをしたら顔が三角になったという想像の斜め上の展開でしたが、どうやって生まれたのでしょう?

■TikTokでバズった裏側

もともと海外の人の素材があって、「こう撮ったらおもしろいかも!」と思って、ノリでぴょんって3秒くらいで撮影しました。でも撮影当時は「なんかつまんないな」って思って、2ヵ月間載せなかったんです。下書きに眠っていて、載せる気もなくなっちゃったんですけど、ある日動画のストックがなくなってしまって、「これでいいや」と思ってアップしたらバズって、「え~! なんで~!」っていう感じでした(笑)。

ーー偶然の産物だったんですね。そもそも小此木さんは、なぜTikTokを始めたんですか?

アイドルの時からSNSにとても力を入れていました。あの時いた環境から1つ飛び抜けるには、自分でどうにかするしかないと思い、そこで目の前にあるできることがSNSだったんです。当時は、とりあえずなんでも飛びついてやっていたので、その流れでTikTokも始めました。

ーーそこから初めてバズった動画は?

質問返しを始めたころかもしれません。TikTokをやり始めた頃は、まだみんなに合わせなきゃいけないっていう意識があったので、かわいい服を着て、はやっているダンスを踊っていたんですけど、死ぬほどバズんなかったんです。
1000いいねもつかなくて…。でも悔しいから、「なんで?」って思いながらも毎日投稿してました。

そうしたらある日、また動画のストックがなくなっちゃったんですけど、「ダンス踊りたくない。めんどくさい。でも動画は投稿したい」「適当にしゃべろう」と思って、ダル着のまま3秒くらいで質問返しの動画を撮って「これでいいや」と思って載せてみたら、次の日バズってました。「え、これなの」って(笑)。そこからそれだけをやり続けたら、動画の再生回数も伸びてくれましたね。

ーー回答のセンスが光りまくってて大好きです。そんなおもしろ回答もある一方で、リスナーの悩みに答える真面目な動画もありますよね。いつも大喜利っぽいからこそ、真摯(しんし)に向き合う小此木さんにとても感動したんですけど、なぜ撮ろうと思ったのですか?

TikTokだけを見ている人は、るーのことを、めっちゃ元気でいつも脳天気な子なんだろうなって多分思っていると思うんですけど、本当は全然そうじゃなくて、病み気質っていうか…。動画は「い~」って元気に撮るんですけど、「るーって本当に孤独だ。友達にはもっと仲のいい友達がいるから一人ぼっちだ」って思う一面もあって…。


多分画面の向こう側の方々にも、ちょっと引きこもったりとか、色々ネガティブに考えちゃってる子とかたくさんいると思うんですけど、その子たちは、るーやインフルエンサーの人たちの動画を見て、「人生楽しそうだな」って思っているんじゃないかなと思います。でも、実際インフルエンサーの人たちに会って話してみたら、いろんな悩みを抱えていたりで、みんな頑張っていて大変なんだなって気付きました。それを伝えてあげて、みんなの励みになったらいいなって思って、その思いを動画にしてみました。

ーー楽しそうに見えるTikTokですが、やっぱり動画制作はつらいこともあるのでしょうか?

■ファンは「心の友」

あります! やっぱりめっちゃ孤独。画面開いてる時は、「わあ! みんな見てくれてうれしい!」ってなるけど、みんなに届くバズった動画の何倍もバズっていない動画がたくさんあって、そういう時は「やっぱり、るーってダメなのかな」って思っちゃいます。「ほかのお友達はこんなにすごいのに、るーだけ置いてけぼりだ」とか…。

ーーなるほど。それでは昨年行われた1st配信シングル「不幸になっちゃえ」のイベントで、ファンの方と直接会えたのは、励みになったのではないでしょうか?

そうですね! アイドルを辞めてから、ファンの人と会う機会がなかったから、画面越しで言葉では感じられるけど、どんな年齢なのかとか、どんな層の人たちがるーのことを見てくれているんだろうって全然わかんなくて。だからこそ会えて、存在を実感できて、とてもうれしかったです。こんなに愛してもらえてるから、もっと頑張らなきゃって思いました。

濃いファンの人は、るーの楽しい部分だけじゃなくて、どんなことを悔しいと思っていて、どんなことがつらいかわかってくれていて、だからこそ「今、困ってるよね。でも頑張ってるんだよ~」って声をかけてくれるんです。
心の友だと本当に思います。

ーー本当に良いファンの方たちですね。今年2月から太田プロダクションに所属され、今後、もっともっと活躍する小此木さんが見れるんじゃないかと期待しています。最後に今の目標を教えてください。

今は多分SNS上にいる子っていうイメージだと思うんですけど、わたしは“SNS上だけの子”にはなりたくなくて、群馬にいる家族とか、 同級生の子とかにも、「るーちゃん、すごいじゃん!」って思ってもらえるまで頑張りたいです。メディアに出てるタレントさんになるとか、雑誌の表紙を飾るとか、それくらい有名になりたいっていうのは、ずっと持っている目標です。

あと、コロナの時期とかがあったので、ダラダラしちゃうとか、家で引きこもって寂しさを感じる人も多くなったんじゃないかなと思っています。だから怠惰でも、「こんなに楽しく生きられるよ、悪いことじゃないんだよ」っていうことを伝えていけるような人間になりたいです!

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