「わ~来てくれてありがとう!」「元気にしてた?」。店のドアを開けると今日が初対面のはずなのに、まるで昔からの友達のような親しみあふれる声がかかった。

4月22日(土)に、原宿にオープンした「友達がやってるカフェ」は、店名の通り友達がやってる店に遊びにきた感覚で楽しめるカフェ。その一風変わった世界観が話題を集め、連日SNSでは「楽しすぎた」「また行きたい」と動画や投稿がアップされ、Creative Groupが発表した「2023年上半期のZ世代トレンドランキング」では、モノ・コト部門で1位に選出されるなど、Z世代を中心に幅広い年代に親しまれています。今回クランクイン!トレンドは、開店から1ヵ月が経つ今、なぜ多くの人に親しまれるお店になったのか、プロデューサーでアートディレクターの明円卓代表に聞きました。

■80%で接客をするワケは?

 「友達がやってるカフェ」は、スタッフが来店者を“友達”として接客することで、自然とお互いの目線が同じ高さになる、新しい体験が味わえるカフェ/バー。接客するのは役者やモデルなどエンタメ業界で活躍するスタッフたちで、「いつも飲んでるやつ(ランダムでソフトドリンクが選ばれる)」など、“友達がやってるカフェで言いたくなる”名前のメニューが並ぶ、今までにない飲食店となっています。

 オープンから1ヵ月以上経ちますが、SNSで見かけない日はありません。ここまで多くの人に親しまれた理由を聞いたところ、「思ってたよりも反応がよかったというのが素直な実感」と意外な返答が。当初は「賛否両論あると思っていた」そうで、「こういうお店があってもいいんじゃないかな」というリアクションや、新しい選択肢の一つとして受け入れられていることに今は喜びを感じているそうです。

 また、友達として接客する上で大事にしていることを聞くと、「100や120%ではなく、80%のテンションでやろうと伝えています」とのこと。というのも、友達とリアルで話す際に毎回全力のテンションで話すことはなく、むしろ、ちょっと気が抜けたラフな状態で話すことがほとんど。だからこそ「80%くらいの少し気が抜けた温度感が、親しみやすい空気につながっていると思います」と語っていました。

 確かに、仲の良い友達と話すときに「絶対に楽しませなければ!」と毎日のように気負うことないものです。
この友達として居心地のよい距離感を、いつでも気軽に体感できることが、親しまれる理由の一つといえるでしょう。

 そんな本カフェの接客を実際に体験してみました。

■人見知りでも安心

 本カフェを楽しむ上で大事にしたいのが、“客側も演技をする”ということ。「友達がやっている」という世界観を踏まえて、こちら側も「友達のお店に遊びに来た」気持ちで受け答えをすると、自然と会話が弾みます。

 といっても、頑張って演技をする必要はなし! 基本的にスタッフ主導で会話を進めてくれるため、こちら側は「ちょっと友達ノリでいってみよう」というラフな気持ちで話せばよいのです。

 実際スタッフから「そういえば昨日は仕事? お疲れ様~」「最近大変そうじゃない?」と積極的に話をふってくれるので、「これを話そう、あれを話そう」と会話のネタを考えていかずとも、まるで昔からの友達と話しているような雰囲気で楽しむことができました。人見知りでも安心。

 中にはスタッフの友達ノリを上回る強者もいたそうで、「急に『そういえばミスドで働いてたよね?』って言われたときはびっくりしました(笑)」という例もあったそうです。このくらい世界観に入り込めるようになりたい…!

 そんな本カフェの狙い目の時間帯は、バー営業をしている夜。日によってはお客さんとスタッフが恋バナで盛り上がっていることもあるそうです。また、テイクアウトも比較的スムーズに案内されるそう。いずれも昼間のイートインと同じく“友達感覚”で楽しめるため、さくっと気軽に友達との会話を満喫したい人におすすめです。

編集部おすすめ