「週刊少年ジャンプ」(集英社)で連載中の堀越耕平によるコミックス『僕のヒーローアカデミア(以下、ヒロアカ)』初の原画展「僕のヒーローアカデミア展 DRAWING SMASH」が、4月23日(金)から、東京・六本木にある森アーツセンターギャラリーにて開催中。今回クランクイン!トレンドでは、本展に潜入! 緑谷出久(デク)たちの激闘と成長の軌跡を感じる展示の数々の中から見どころをご紹介します。

(取材・文=河内香奈子)

■敵<ヴィラン>のアジトに潜入!

 本誌では最終章に突入、テレビアニメは第5期が放送中、今夏には劇場版第3弾が上映予定と、勢いが止まらない『ヒロアカ』。初の原画展となる本イベントは、前期・後期の2期制で開催され、前期は額数・約160点、原画数・約300枚が、物語の内容に迫るように5つのエリアに分かれて展示されています。

 中でも注目を集めていたエリアが「第3章:HEROES VS VILLAINS-宿命の衝突-」。敵<ヴィラン>のアジトをイメージしたという空間は、エイジング処理されたパイプや鉄骨、チェーンが至る所に使用されており、どこか退廃的な雰囲気が漂います。

 エリアの中央から上手にはヒーロー、下手にはヴィランの等身大パネル&原画が展示。両者がにらみ合うかのような構図に加え、薄暗い照明や、試験管がコポコポと鳴る音が合わさることで、まるで作中の激闘の中にいるかのような痺れる感覚を覚えました。


 そして、アジトを抜けた先には、オールマイトの等身大スタチューが出現。このスタチューは、作中で“神野の悪夢”跡地に建てられたオールマイト像を再現したものです。薄暗い空間で黄金色に輝き、拳を天高く掲げるオールマイトは、まさに希望の象徴。見上げる首が痛くなるほど大きなスタチューは、彼がどれだけ大きく、偉大な存在であるかを物語っているかのようでした。

■学校っぽい(ガッポイ)!1年A組の教室

 また、数多のヒーローを排出してきた、プロヒーロー養成学校の最高峰“雄英高校”のジオラマを配した「第2章:Days of U.A.H.S.―アカデミアの日々―」も見逃せません。1年A組の教室を模した空間には、授業風景や文化祭の原画、生徒たちが暮らす寮“ハイツアライアンス”を模した壁面造作などが並んでいます。


 その中でも、1年A組の担任であり、プロヒーローとして活躍する相澤消太が教べんをとる教卓は注目ポイント。よく見ると黒板には、デクや耳郎響香たちによる似顔絵イラストが描かれています。キャラによってテイストが異なるイラストは個性豊か! 特に“かっちゃん”こと爆豪勝己の似顔絵イラストは必見です。

 さらに、教卓横のモニターからは、アニメ声優陣による会場でしか聞くことのできない録り下ろしの音声が流れています。にぎやかな1年A組の音声を聞きながら会場内を歩いていると、彼らと学校に通っているような気分を味わえました。

 ちなみに、このエリアには、ヒーロー科NO.1のスケベ少年・峰田実をフィーチャーした展示コーナーがあります。
彼のスケベ心がさく裂するときは『ヒロアカ』の世界が平和な証拠。彼もまた、希望の象徴といえる存在なのかもしれません。

■印刷では味わえない!原画ならではの魅力

 世界観に没入できる工夫が凝らされた空間づくりはもちろん、今回の主役・原画を拝めるのも本展最大の魅力! 「第1章:Plus Ultra!!-ヒーローへ駆け上がれ!―」と「第4章:The Super Bout !!―“個性”×大戦―」は、原画がメインで構成されており、作品を浴びるように楽しむことができます。

 「第1章:Plus Ultra!!-ヒーローへ駆け上がれ!―」では、主人公のデクたちの前に立ちはだかってきた試練や脅威の数々を、6つのイベントに分けて展示。名シーンや名セリフとともにデクたちの成長の軌跡を振り返ることができます。

 一方、「第4章:The Super Bout !!―“個性”×大戦―」では、前期は“オールマイトVSオール・フォー・ワン”、後期は“エンデヴァー&ホークスVSハイエンド脳無”の原画が飾られています。
作中屈指のベストバウトと言える激闘は、それぞれ2話分をまるごと展示。作者の熱い思いが宿った原画は、見ていて鳥肌ものの迫力がありました。

 また、1枚1枚丁寧に描き込まれた原画をよく見て見ると、くり返し線が引かれた後や、修正ペンで直された後、小さく書かれたメモなどが残っています。いかにして心を動かすイラストが誕生していたのか、漫画に宿る熱意と魂が垣間見えるコーナーでした。

■ラストは描き下ろしイラストがお出迎え

 展示のラストを飾る「第5章:From the Origin, To the Future-ミライヲ救エ、ミライヲ壊セー」は、デクと死柄木弔にフォーカスしたエリア。因縁の間柄ともいる2人の原画が、白と黒に彩られた名セリフとともに展示されています。
ほかコーナーとは違い、見下ろすようにして原画を眺められることも特別感を演出する一因になっています。

 エリア内の下手側には、堀越耕平がデジタル作画で描いたイラストが大判で展示されるコーナーも設置。アナログ原稿とは異なるビビットなタッチのイラストは、まるで洋画のワンシーンを見ているかのようなインパクトがありました。色使いや線の太さなどに注目して見ると、さらに楽しめることでしょう。

 そして、出口付近には、エリア最大の見どころとなる「Kohei Horikoshi 無限100%Gallery」コーナーがあります。こちらには、本展覧会のために描き下ろされた全10点のイラストと、来場者へのメッセージイラストが展示。
残念ながらこちらはメディア撮影不可エリアとなっていたため、ぜひともその目でチェックしてください!

■コラボカフェ&音声レンタルも必見

 このほか会場内には、アニメの展示コーナーやコラボカフェ、グッズコーナーが登場。コラボカフェは、キャラをイメージしたフード&スイーツ&ドリンクがラインナップされており、ドリンクを注文するとランダムでスペシャルコースターがゲットできます。

 また、館内では“音声ガイド”のレンタルも実施。デクやオールマイトなどメインキャラが各エリアの見どころを紹介してくれるほか、集中してしまったタイミングで「早く歩け」と注意を促してくれます。楽しく密を回避できるアイテムは、ぜひとも観覧のお供におすすめです。

 最初から最後まで見どころ満載な「僕のヒーローアカデミア展 DRAWING SMASH」。迫力満点なイラストを是非ともその目で楽しんでみてはいかがでしょうか。

※本展覧会は全日日時指定制
※チケットはローソンチケットで発売。会場でのチケット、当日券発売はなし
※新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、中止・延期などの可能性あり。最新情報は公式ホームページで掲載

【「僕のヒーローアカデミア展 DRAWING SMASH」概要】
日程:4月23日(金)~6月27日(日) ※4月25日(日)~5月11日(火)まで一時休業
時間:10時00分~20時00分(最終入場19時30分まで)  ※会期中無休
場所:森アーツセンターギャラリー(六本木ヒルズ森タワー52階)