1984年、世界中で大ブーム巻き起こした傑作SFコメディ『ゴーストバスターズ』。『ゴーストバスターズ2』(1989)まで作られたシリーズの続編が、なんと30年の時を経て誕生した。

最新作『ゴーストバスターズ/アフターライフ』で監督を務めたのは、シリーズ2作品を手掛けたアイヴァン・ライトマンの実息子で、アカデミー賞ノミネート経験を持つジェイソン・ライトマン。物語の主人公が元祖ゴーストバスターズの孫世代に受け継がれたのと同様、親子でバトンをつなぐことになったジェイソン監督に、本作にかける熱い思いを聞いた。

【写真】ミニマシュマロマンがかわいすぎる! 『ゴーストバスターズ/アフターライフ』のゴーストたち

●娘のための映画を作りたかった

 「父のためであるのはもちろんのこと、僕の娘のための映画を作りたかったんだ」と口を開いたジェイソン監督。「主人公フィービーの母親は2人の子を持つシングルマザーで、その子どもたちは自分のアイデンティティを知らずにいるが、実はとても特別な存在であることに気づくという、世代を超えた家族のストーリーを伝えたかったんだ」と本作のテーマを説明する。

 科学に詳しい内気な天才少女フィービーが、祖父がかつてニューヨークで活躍したゴーストバスターズの一員イゴン・スペングラー博士であることを知り、祖父が遺したメカを手探りで扱いながらゴースト退治に乗り出していく展開。これには、ジェイソン監督のストーリーテリングならではのエモさがある。

 監督にとって父が手掛けた元祖『ゴーストバスターズ』は、幼いながら“映画製作の魔法”を体感したかけがえのない作品でもある。当時6歳のジェイソン少年がセットに行くと、「ひげ剃りクリーム入りの巨大な袋が裂けられ、マシュマロマンのようにそのクリームが男の上に落ちてきた。ジャンプスーツを着たゴーストバスターズとECTO‐1が角を猛スピードで曲がったのも覚えている。エルマー・バーンスタインの指揮でオリジナルのスコアの録音を生で聴いたこともね」とうれしそうに思い出を明かす。「僕はセットでストーリーテリングと映画製作をしている人たちを見て育った。その影響で、自分もいつか映画監督をやりたいと思ったんだ」。


●かわいすぎるミニマシュマロマン&ECTO‐1でカーチェイス!

 今作での監督のお気に入りのガジェットを聞いてみると、監督のスイッチが入り、マシンガントークがさく裂!

 「まずは撮影現場でゴーストを見たときのことを話させて! というのも、(CGではなく)プラクティカル・アニマトロニクスやパペットを使ったから、実際にテラードッグ(破壊神ゴーザの番犬)と相対することもできたんだ。1984年当時に僕がテラードッグの前に立ったのと同じようにね。

 パペットたちに命を吹き込んだのは、当代一のパペッティアたちだ。テラードッグの脚を動かしているのは、『ジュラシックパーク』でT‐レックスの脚を動かした人なんだよ。役者たちは、目の前で命が吹き込まれていくパペットを相手に演じることができた。感動するよ。そしてスクリーン上で見るミニマシュマロマンときたら! なんでもかんでも壊したがる、よちよち歩きの小悪魔たち。なんとも愛らしいカオスだ。すべてのシーンに出したいと思うほどだよ」とあふれる思いが止まらない。

 さらに「僕は昔からカーチェイスをやりたかった。コーナーを猛スピードで曲がっていくECTO‐1とかね。今回、あの車を作りなおして、ドリフトができるようにコルヴェットのエンジンを入れたんだ。
あの車を使ってのカーチェイスは、僕が子どものころから見てきた映画そのものなんだ。『スター・ウォーズ』のスピーダー・バイクや『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のデロリアン。子どものころに見ていた映画のようなシークエンスを作ることができて、その中で僕らのヒーローたちが時速80マイルでゴースト退治をしているんだ」と目を輝かせる。もちろん不安もあったそうで「考えているときには、うまくいくという確信はなかったけれど、ニューヨークのコミコンで3000人の観客が彼らに声援を送っているのを見て、うれしくてゾクゾクしたよ」と確かな手ごたえを感じた様子。

●ゴーストバスターズは常にアウトサイダー

 『ゴーストバスターズ』は「常にアウトサイダーを描いた映画だ」と監督は言う。「ゴースト退治を通じて、英雄的な瞬間を見つけるアウトサイダーたちの物語なんだ。祖父母の家の地下室や屋根裏部屋に行って、何か特別なものを探す時の気持ち。もしかしたら自分たちが特別なんじゃないかって感じられるような気持ちは、誰にでも分かると思う。それが映画の始まりなんだ。それを観客に感じてほしいし、それがこの映画の体験であってほしいと願っているよ」とメッセージを寄せた。(取材・文:編集部)

 映画『ゴーストバスターズ/アフターライフ』は公開中。

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