第157回直木賞を受賞した佐藤正午のベストセラー小説「月の満ち欠け」(岩波書店刊)が、大泉洋、有村架純、目黒蓮(Snow Man)、柴咲コウという豪華キャストを迎えて映画化されることが決定した。

【写真】原作は直木賞受賞 佐藤正午『月の満ち欠け』原作文庫書影

 1983年に「永遠の1/2」で第7回すばる文学賞を受賞し作家デビューしてから、「ジャンプ」「Y」「身の上話」ほか数々の名作を世に生み出し、昨年は第6回山田風太郎賞を受賞した「鳩の撃退法」が映画化されたことも話題を呼んだ作家・佐藤正午。

「月の満ち欠け」は、佐藤の最高傑作と名高い、時を超えた珠玉のラブストーリー。

 主人公・小山内堅は、愛する妻・梢と家庭を築き、仕事も順調、どこから見ても順風満帆だった。だが、不慮の事故で梢と娘の瑠璃を同時に失ったことで幸せな日常は一変。深い悲しみに沈む小山内のもとに、三角哲彦と名乗る男が訪ねてくる。事故のあった日、小山内の娘・瑠璃が面識のないはずの自分に会いに来ようとしていたという。そして、彼女と同じ名前をもち、自分がかつて愛した“瑠璃”という女性について語りだす。

 それは数十年の時を超えて明かされる、はかなくも鮮烈な、許されざる恋の物語だった。一見何の関係もない夫婦とかつての恋人たち。その二組をつなぐ、誰も想像もしえなかった数奇で壮大な愛の軌跡とは―。

 主人公・小山内堅を演じるのは大泉洋。俳優のほか司会など幅広く活躍する大泉が、幸せな日常から一転、数奇な運命に巻き込まれていく主人公の28歳から55歳を演じるという難役に挑む。

 小山内の娘と同じ名前を持つ謎の女性、正木瑠璃には有村架純。
昨年映画『花束みたいな恋をした』を始め6本の映画に出演して数々の賞を受賞した有村が、一番信頼を寄せる監督の一人だという廣木隆一監督のラブコールに応えて出演を快諾した。

 正木瑠璃と許されざる恋に落ちる大学生・三角哲彦には、Snow Manの目黒蓮。ソロでの映画出演は本作が初となる目黒が、一途に一人の女性を愛する20歳の大学生と、39歳の大人になった姿を演じる。

 小山内の妻・梢には柴咲コウ。大泉との共演は3回目、そして廣木監督とは映画デビュー作『東京ゴミ女』以来2度目のタッグとなる柴咲が、深い愛を持って家族を見守る理想的な妻を体現する。

 監督は、『ストロボ・エッジ』『余命1ヶ月の花嫁』『ナミヤ雑貨店の奇蹟』など、リアルな人間描写と圧倒的な映像美に定評のある廣木隆一。1980年から現在に至るまでの歳月を描き、その時代を象徴する名曲と共に丁寧に織り上げる。脚本は、『ビリギャル』『こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話』『そして、バトンは渡された』を手がけた橋本裕志が担当する。

 主演の大泉は「『月の満ち欠け』と言う作品は様々な人々の愛に溢れた映画です。辛いのに、幸せな気持ちになる、そんな不思議な体験を是非味わっていただきたい。どうか劇場でご覧になって、ご自身の大切な人に思いを馳せていただけたら嬉しいです」とメッセージを寄せている。

 映画『月の満ち欠け』は今冬全国公開。


※キャスト、監督コメント全文は以下の通り

<キャスト・監督コメント全文>

■大泉洋(小山内堅役)
今回演じた小山内堅という役は、同じくらいの娘を持つ父親として、今まで演じた役で一番感情移入しやすく、それだけに、今まで演じてきた中で一番辛い役でした。でも最後には、どこか希望を持たせてくれる不思議な作品だと思います。
 廣木組には初めて参加させていただきました。決して多くを語ってくれるわけではないのですが、こんなにも演じやすい場を与えてくれる監督も居ないと思いました。なんのひっかかりも、ストレスもなく、自然に役者がその世界に入れるように撮影してくれていたのだと思います。
『月の満ち欠け』と言う作品は様々な人々の愛に溢れた映画です。辛いのに、幸せな気持ちになる、そんな不思議な体験を是非味わっていただきたい。どうか劇場でご覧になって、ご自身の大切な人に思いを馳せていただけたら嬉しいです。

■有村架純(正木瑠璃役)
何度生まれ変わっても会いたいと思える人に一生涯で出会えるとしたら。ロマンさえも感じてしまう人生の壮大さを最初に脚本を読んだ時に感じました。
また、個人的な話にはなりますが、廣木監督の作品に参加させていただくのは三度目になります。廣木監督の前でお芝居をすることはいつも以上に緊張しますが、この空気感さえも懐かしく、どこか心地良さも覚えたように思います。
寡黙な廣木監督ですが、監督が持つピュアさを演出から感じられて、この物語全体がどのような紡がれ方をするのか楽しみです。
夢のような、現実のような不思議なことがもし起こったとしたら。自分は一体誰の生まれ変わりなんだろう、そんなことを想像できるのも作品の良さなのかもしれません。公開を楽しみにしていてください。

■目黒蓮(三角哲彦役)
お話を頂いてすぐに原作を読ませていただきましたが、演じる三角という役どころがとても重要なことに驚きと不安を覚えたのと同時に、人柄が自分と重なる部分があり、「自分がやるべきだ」と少し運命を感じました。
大泉洋さんとは初共演でしたが、現場での立ち振る舞いや作品に対しての向き合い方が素敵で勉強になることばかりでしたし、素晴らしい共演者、スタッフの皆様と、廣木組の一員となって作品を作り上げられる機会を頂けたことが本当に有り難かったです。
今後の自分の大きな宝になる作品と巡り会えたと確信しております。

■柴咲コウ(小山内梢役)
梢は一見すると、自己主張の強いタイプではなく、家族をフワッと包み込むような優しく朗らかな女性ですが、奥に秘めた、愛を貫く強い意思があります。
そんなキャラクターを演出してくださったのは20年ぶりにご一緒させていただくことになった廣木隆一監督。打ち合わせの段階からこちらの意見にも真摯に耳を傾けてくださいました。堅役の大泉洋さんとは、以前時を超えた親子役で共演。今回は夫婦役です。
役の汲み取り方、お芝居の足し算引き算、周りへの配慮、ブレない安定感…またもや大泉洋という人間としての魅力を、改めて感じました。
私も大好きな「月」がキーとなる作品。どのような仕上がりになっているのか私も今から楽しみです。

■廣木隆一(監督)
日本映画で憧れの曲が流れる映画です。
懐かしい高田馬場のオープンセットも見られてこんな素敵なキャストと原作と内容でいい映画になってほしいと思ってます、いやなってるはずです、きっと。
映画を見てくれた皆さんがある日何処かで月を眺める機会があったらもう一度この映画を思い出してくれたら嬉しいです。

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