女優を本業としながらも、演技の世界のみならず、バラエティー番組やラジオ、モデル、YouTubeと、多分野に活躍の場を広げている高橋ひかる。多忙な日々が想像されるが、自身の“仕事観”を語る表情は明るい。
自分を取り巻く環境に高橋は何を思うのか。出演映画『おそ松さん』の話とともに、多才な彼女へ「自分の“肩書き”を選ぶなら何?」と問いかけてみた(高橋の高は正式には「はしごだか」)。
【写真】背中の開いた美しいドレス姿の高橋ひかる
■“移動中の音楽”で仕事のスイッチを切り替える
――多分野で活躍中の高橋さんですが、パーソナリティーを務めたラジオ番組『高橋ひかるのオールナイトニッポン0(ZERO)』(ニッポン放送/2月19日放送)では、自ら「いろんな戦場を作っております!」と熱く語っていました。なぜ、その思いを持っているのでしょうか?
高橋:私、元々はアイドルになりたかったんです。芸能界へ入ったきっかけは、学生時代に通っていたダンススクールの先生に「芸能事務所へ入るオーディションを受けてみたら?」と勧められたからで。当時はアイドルやモデルに憧れていて、女優に憧れたのはもっと後でした。そんな思いで芸能界へ入ってから、バラエティー番組をきっかけにお仕事の幅も広がり始めて。皆さんが私のことを知ってくださったきっかけを温めていきたいと、より考えるようになりました。
――仕事間での意識の切り替えも大変そうです。自分なりに工夫していることはありますか?
高橋:お芝居の仕事では、現場への移動中に聴く音楽で切り替えるようにしています。例えば、映画『おそ松さん』の撮影当時は、共演したSnow Manさんの曲やアニメ版『おそ松さん』のオープニング曲を聴いて現場へ向かっていましたね。移動中に気持ちを切り替えて、現場でのメイクなどでさらにスイッチを切り替える感じです。
反対に、お芝居の仕事からバラエティー番組へ向かうときの工夫はありません。役から解放されて自分に戻れるので、素直な思いを口に出せるし楽しませてもらっています。
――お仕事が途切れない印象の高橋さんですが、活躍するにはスタッフさんたちから愛されるのも必要かと思います。日々、スタッフさんたちとのコミュニケーションで、心掛けていることはありますか?
高橋:あまり意識していることはないです。でも、スタッフさんからは「明るいね」とはよく言われます。体力的に朝から元気が出ない日もあるけど、そんな日の仕事終わりに「今日はすみません…」と恐縮しながら帰ろうとすると「いつも明るくて元気もらっていたんだけど」と驚かれるときもあります。
――元気さはイメージ通りですね。ちなみに、『オールナイトニッポン0(ZERO)』では「自称・人見知りの陰キャ」とも語っていました。今のお話からするとコミュニケーションに苦手意識があるように思えませんが、実際はどうなんでしょう?
高橋:自分がそうだとバレたくないから、明るく振る舞っている部分もありますね。本当は、うまくしゃべれているのかと不安もあります。心を許してくれた方とは会話できるけど、自分から距離を近づけるのは苦手なんですよ。でも、芸能界でのお仕事を通して、人との関係性を築きたい気持ちが強くなりましたし、変われたのかなと思います。
■MC業にも意欲 自分の“肩書き”を選ぶなら何?
――活躍の裏では、苦労や大変さもあるかと思います。それでもなお、頑張り続ける高橋さんの“仕事の原動力”は何でしょうか?
高橋:誰かに評価されることです。評価があると競争心が生まれますし、自分の中で「もっともっと」と貪欲さが出てくるので。肯定か否定かにかかわらず、いろいろな言葉を頂けるのが一番の原動力になっています。
――人からの評価が、成長と飛躍の鍵でもあったわけですね。すでにさまざまな活躍を見せていますが、さらに飛び込んでみたい分野のお仕事はありますか?
高橋:メインMCの方を支えるサブMCですね。以前は、自分がどう立ち居振る舞うかを考えるのに精いっぱいでしたが、周りを見る余裕が生まれてからは、スタジオの空気を作る側に回ることへの憧れも湧いてきて。チャレンジする機会が増えればいいなと思っています。
――今後もますます幅を広げていくと思いますが、多分野で活躍する中で、あえて自分の“肩書き”を選ぶなら何でしょうか?
高橋:え~、難しい。何だろう(笑)。でもやっぱり「女優」という肩書きは、すべての分野に通じるのかなと思います。お芝居はもちろん、素を出すバラエティー番組であっても、どこかで演じながらトークやコントに臨んでいるので。
見てくださる皆さんに、もっともっと“いろいろな高橋ひかる”を知ってもらえたらうれしいです。
■『おそ松さん』ではクセのあるヒロイン、トト子に
――本業の女優として、高橋さんが出演する映画『おそ松さん』が公開されます。劇中では、男性アイドルグループ・Snow Manのメンバーが演じる“親のすねをかじるクズで童貞のクソニート”な6つ子たちが憧れるヒロイン、トト子を演じています。原作は人気アニメですが、元々、作品自体にはどんな思い入れがありましたか?
高橋:アニメを見ていましたし、好きでした。でも、ハチャメチャな展開の作品なので、実写化と聞いた時は「どんな展開になるんだろう…」と思って(笑)。トト子は好きなキャラクターだったので、オファーには運命を感じました。私自身も出演しているバラエティー番組『スクール革命!』(日本テレビ/毎週日曜11時45分)で“キレ芸”(※高橋が出演者に関西弁でキレるというお約束の流れ)を話題にしていただき、キャラクターとしても似ていたので、親和性を感じましたしうれしかったです。
――トト子はかわいらしい女の子ながら、劇中では「うるっせえよこのゴミ野郎ども!」と6つ子にまくしたてたりと、クセのあるキャラクターです。彼女を演じる上での楽しさや苦労はいかがでしたか?
高橋:人に激しい言葉を浴びせる機会はないので、撮影前日は心がザワザワしていました(笑)。本番前のテストでは「こんな感じでやっていこうか」と周囲と話し合いながら作っていくので、どこまでやるべきかというドキドキ感もありましたが、思いっきり演じさせていただきました。演じるうちに「何だかんだで好きだな、面白いな」と感じてもらえるキャラクターになればと思いましたし、スクリーンを通して彼女の愛らしさが伝わればいいなと思います。
――辛らつなセリフを受け止めてくれた相手、Snow Manの皆さんには現場でフォローなどされましたか?
高橋:アドリブで「バカ!」とか「アホ!」ととっさに出てしまうときがあり、「ガチで思ってたんじゃない?」と言われたときもありました(笑)。
でも、Snow Manの皆さんは「ガンガン来ていいよ」とおっしゃってくださって。カバンを振り回してぶつけるシーンでも「どんどん当てていいよ」と快くおっしゃってくださったので、頼もしいお兄さんたちだなと思いました。
――映画『おそ松さん』への出演も飛躍のきっかけになりそうですね。今後も、笑顔を届けながらパワフルに活躍される高橋さんを期待しています!
(取材・文:カネコシュウヘイ 写真:松林満美)
映画『おそ松さん』は全国公開中。
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