広瀬すずが主演する映画『遠い山なみの光』より、長崎の山なみを背にたたずむ悦子(広瀬)と佐知子(二階堂ふみ)、そして30年後英国で暮らす悦子(吉田羊)が幻想的な美しさで迫るメインビジュアルと、 “あの夏に隠された切なすぎる真実“をひもとく本予告編が解禁された。
【動画】ある女が語り始めたひと夏の記憶、その物語には心揺さぶる<嘘>が隠されていた『遠い山なみの光』本予告
本作は、1989年にイギリス最高の文学賞であるブッカー賞、2017年にノーベル文学賞を受賞し、二つの世紀を代表する小説家となったカズオ・イシグロの長編デビュー作である同名小説を、石川慶監督が映画化するヒューマンミステリー。
日本人の母とイギリス人の父を持つニキ。大学を中退して作家を目指す彼女は、長崎で戦争を経験した後イギリスへ渡った母の悦子の半生をつづりたいと考える。娘に乞われ、口を閉ざしてきた過去の記憶を語り始める悦子。それは30年前、戦後間もない長崎で暮らしていた頃に出会った、佐知子という女性とその幼い娘と過ごしたひと夏の思い出だった。だが、ニキは次第に母が語る物語に違和感を覚え始め―。
長崎時代の悦子を演じるのは広瀬すず、佐知子に二階堂ふみ、イギリス時代の悦子に吉田羊、ニキにはオーディションで選ばれたカミラ・アイコ、さらに悦子の夫に松下洸平、その父親を三浦友和が演じる。そのほか、日本パートには柴田理恵、渡辺大知、鈴木碧桜(子役)らが出演する。
メインビジュアルは、長崎の山なみを背に、りんとした表情でこちらを見ている悦子(広瀬)とミステリアスなたたずまいの佐知子(二階堂)、そして30年後にイギリスで暮らしている悦子(吉田)が印象的。
予告編は、「人間ははね、ときに他人を欺(あざむ)くためではなく、自分を騙(だま)し、困難な真実から目を背けるために嘘をつくんですよ」という原作者カズオ・イシグロの一節から始まる。
1980年代、イギリスに暮らす悦子は、娘のニキ(カミラ・アイコ)に「ここへ来る前の話を聞かせて、長崎のこと」と、問いかけられる。目の前の娘を見つめながら過去へ思いをはせる悦子の顔が、30年前、戦後復興期の長崎で暮らしていた頃の自分の記憶と重なってゆく。
「あんときは、1人で立ってられんかったんです」と戦争直後の自分を振り返る悦子。
そこから画面は一転。「私がついた嘘」という印象的な文字と共に、人が変わったかのような鋭い表情の悦子。「私、佐知子さんに言っとらんことのあると」という言葉が重なる。「きみにも、もう少し母親らしく振舞ってもらいたかよ」と言葉をぶつける二郎に対し、悦子は「母親らしく振舞うって何?」と静かに問いかけ、自由奔放に自らの人生を満喫する佐知子を、意味ありげな視線で見つめる―。それぞれの登場人物の感情が交錯し、次第に“あの夏に隠された切なすぎる真実”へと向かっていく。
そして最後に悦子がつぶやく「大丈夫ね、希望があるとやもん」。全てを包み込むその一言に込められた強い思いとは―。
映画『遠い山なみの光』は、9月5日より全国公開。