2016年に公開された初主演映画『セーラー服と機関銃 ‐卒業‐』で俳優として歩んでいくと公言して以降、数々の作品に出演し、中でもしばしば賛否を呼ぶコミックの実写化作品では熱い支持を集めてきた橋本環奈。最新主演映画では、ハードボイルド・アクション漫画の実写化『バイオレンスアクション』に挑み、ピンクボブのゆるふわ最強ヒットガールのケイとして、本格アクションを華麗に魅せている。
【写真】デビュー時から変わらず透明感あふれる橋本環奈 撮り下ろしフォト
■ピンクヘアに「大丈夫かな」 日本映画初技術のアクションシーンには自信
ケイのピンクボブ姿は、2月3日、橋本の23歳の誕生日に解禁された。SNSでも、「再現度が高い!」「眼福」と話題を呼んだが、これまでの橋本といえば、天使の輪が光る、黒いサラサラヘアのイメージだった。
「ピンク髪は相当奇抜なので、正直『大丈夫かな』という心配もありました。でも実際ウィッグを付けてみるとハイトーンでかわいいので安心して撮影に臨むことが出来ました。普段は明るい色にするのも難しいので、ワクワクしましたし、楽しかったですね」とにっこり。そして何より、最強の“殺し屋”であることと、友達とBLの話で盛り上がったりといった、普通の専門学校生であるケイのギャップに惹かれたという。
そのギャップを生かすも殺すも橋本のアクション次第だ。本編では、冒頭から、ワイヤーを使ったアクションがさく裂する。「アクションに関しては相当こだわりました。
「『銀魂』で神楽を演じたときも大変でしたが、自分の力ではない動きによって体を動かされながら、自分で動いたように見せるのが難しいんです。ケイはすごく強い役なので余計に難しかったです。格闘技などで本当に強い人が、必ずしも派手に強く見えるわけではありません。映像では、派手にかっこよく、絶対的に強く見える必要があるので、アクション部の方とその都度、確認しながら作り上げていきました。何しろ“みちたかくん”と戦うわけですし」と苦笑い。
城田優演じる“みちたかくん”は、独自のルールを掲げた、相当にヤバい最狂の殺し屋だ。映画後半には、ガタイもまるで違うみちたかくんとケイのガチンコ勝負が登場する。数十台のカメラでキャストを360度撮影し、3Dデータに変換して縦横無尽なカメラワークでの映像を実現させた、日本映画初となる“ボリュメトリックキャプチャ技術”で生み出された革新的なシーンだ。
「全方位グリーンバックの、円柱状のスタジオの中で撮影しましたがすごく難しかったですね。どこが前なのか分からなくなってきて、アクションの手が分からなくなるんです。
■多忙な日々の癒しは愛犬との時間 目標は立てない
直近でも次々と出演作が発表される橋本。多忙な日々の癒しは「2匹の愛犬との時間」だという。
「ただ一緒に過ごしているだけなんですけどね。必要以上に構ったりもしないし、私、犬に赤ちゃん言葉で話しかけるとか、そういうことは絶対にしないんです。『お腹空いた?』『ご飯食べる?』『それ、やめな』とか、人と話すのと全く同じです。でもいつも隣にいてくれて、私が忙しそうにしていると察してくれたり。すごくいい“相棒”です」と穏やかな表情を浮かべた。
目まぐるしい毎日にも、プライベートを含め、非常にフラットに呼吸しているように映る橋本。
「先を考えて『ああしたい、こうしたい』といったことは考えていません。とにかく誠実に積み重ねていくだけです」と断言する橋本。「その時その時の、自分の100%を出し切るために下準備をすべきだと思っていますし、ひとつひとつの仕事に向き合うことで精いっぱいです。有難いことに、何かの作品に出たことで、新たなオファーを頂いたり、ご一緒させていただいた方にまた呼んでいただいたりしてきました。まずは目の前の事を一つ一つ大切にしているので」と思いを口にする。そんな中でも、大切にしていることがある。
「そのお仕事をやりたいのかどうなのか、きちんと自分自身で考えるようにしています。将来に関して無欲だからこそ、『これはやったほうがいいかな、これはやめておいたほうがいいかな』と、そのときの自分の直感を信じるようにしているんです」。将来への無欲は、今への100%。ひいては将来への懸け橋となる。
■「ファンからの言葉が私の“希望”」
さて、本作ではケイの「希望を持つのはいいことだ」とのセリフが心に残るが、橋本はどんなことに出会うと希望を感じるのだろう。
「このお仕事をしていると賛否両論、いろいろ言われることがあります。でもそれを気にしていたら出来ない仕事だとも思います。人の意見より、自分が何をしたいか、そこに信念を持ってできるかが大事になってきます」と信条をあげながら、自身の希望につながることについて明かした。
「私には、ファンクラブの方をはじめ、すごくすてきな言葉をかけてくれるファンの方がたくさんいます。SNSや手紙で気持ちを伝えてくれて、それが私にとって大きな支えになっています。このお仕事をしていて、見返りのようなものを求めているわけではありませんし、辞めたいと思ったこともないので、続けていくためのエンジンなどは特に必要としていませんが、そうしたファンの方から頂く言葉は、私自身の“希望”に繋がっています」。そう語る橋本はまだ20代半ばに差し掛かっていくところ。「先のことは考えていない」と言う橋本の、10年、20年と積み上げていく仕事が、こちらは楽しみで仕方ない。(取材・文:望月ふみ 写真:小川遼)
映画『バイオレンスアクション』は、8月19日より全国公開。