ブラッド・ピット最新主演作『ブレット・トレイン』でメガホンをとったデヴィッド・リーチ監督(『デッドプール2』)と、ブラッド演じる主人公と攻防を繰り広げる殺し屋を演じたアーロン・テイラー=ジョンソン(『キック・アス』シリーズ、『GODZILLA ゴジラ』)が来日を果たし、本作の撮影秘話を語った。
【写真】お茶目なデヴィッド・リーチ監督&アーロン・テイラー=ジョンソン
本作は、伊坂幸太郎の大ベストセラー小説『マリアビートル』を実写映画化したミステリー・アクション。
■現実逃避ができるクレイジーな旅を作りたかった
伊坂の原作を、ハリウッド超大作としてダイナミックにアレンジを加え映画化した本作。この意図について、「作品を観ていただいた時に、“現実逃避”ができるような世界観というか、ちょっとクレイジーな旅を2時間の映画にしたかった」と明かしたデヴィッド監督。「だから、セットはもとより、キャラクターにもすごくこだわりました。衣装とメイクに関しては、素晴らしい役者陣と一緒にコラボレーションしながら、何かアイコニックなものになればいいなと思って、少し誇張した形で作っていきました。ポップで楽しい部分もあるので、好きなキャラクターのコスプレなどしていただけたらうれしいですね」と笑顔を見せる。
一方、ブラッド演じるレディバグがゲットしたブリーフケースを狙う謎の二人組“タンジェリン&レモン”のタンジェリンを演じたアーロンは、オーディションで役を勝ち取ったそうだが、「自分は本当に幸運だった」と振り返る。「オーディションに受かったことはもとより、新型コロナウイルスによるパンデミックの最中もちゃんと撮影ができたこと、そして何より、憧れのブラッド・ピットと共演できたことは本当にラッキーだった。この作品を携えて、ずっと行きたいと思っていた日本へ来られたことが夢のようだよ!」と声が弾ける。
タンジェリンというキャラクターもお気に入りのようで、「脚本を読んでみると、キャラクターが飛び出てくるような、そんな印象がありました。
■制限のある中で“無限大”の可能性を見出した作品
新幹線をイメージした超高速列車“ゆかり号”の狭い空間の中で、殺し屋がひしめき合い、撃ち合い、殴り合う…。かなり難易度の高い撮影になったと思うが、アイデアを出し合いながら、意外と楽しく撮影できたというデヴィッド監督。「(『ファイト・クラブ』などで自身がスタントを務めた)ブラッドはもとより、真田さんも長年アクションをやられているし、実はアーロンも若手の時からアクションをやってきているんです。だから、制限があるということは、逆に強みになるということをみんな知っているんです。つまり、それだけクリエイティブになるわけだから、面白いシーンが絶対に撮れるというワクワク感があるんですよね」と目を輝かせる。
今回、箱のような形のセットで列車内のアクションシーンを撮影したそうだが、「この中でどうやったらアクションを作れるか」という解決策を模索するうちに、いろんな発想が生まれてきたのだとか。その1つがファミリー向けのモモもん車両。
この列車の中で、特にブラッドと激しい攻防を繰り広げたアーロンは、「いま、デヴィッド監督がおっしゃったことと同じになりますが、狭い空間の中は、いろいろ限界はありますが、そういう限界があってこそ創意工夫ができると思っています」と強調。「だから今回は、限界を意識するというよりも、車内に用意されたモノや環境を使って思いっきり暴れてやろうという気概でアクションに臨みました。また、その空間の雰囲気も伝えたかったので、閉所恐怖症的な圧迫感とか、列車のスピード感を出すために、セリフも素早く発したり、つねにアドレナリン全開の状態にしたり…。そういったものが観客の皆さんに伝わるとうれしい」と熱い思いを口にする。
また、アドリブの応酬もすごかったというアーロン。特にブラッドとの共演シーンは、時に笑いをこらえられず吹き出すことも。「主に食堂車でのバトルはすごかったですね。ワサビを相手の目にこすりつけたらどうだろうかとか、お箸を鼻の穴の中に突っ込んだらどうだろうかとか、ハンドタオルで相手を力いっぱい引っぱたくのはどうだろうかとか、もう危ないアイデアが出てくる、出てくる!(笑)。車外へ蹴り飛ばすシーンでは、 送風機を全開にして撮影に臨みましたが、もう死ぬかと思うくらい大変でした。
映画『ブレット・トレイン』は公開中。