10月21日より公開される、大ヒット作「バーフバリ」シリーズを手掛けたインドのS・S・ラージャマウリ監督の最新作『RRR(アールアールアール)』。インド映画史上最大のヒット作を生み出したラージャマウリ監督の華麗なキャリア、最新作『RRR』にかけた思いなどについて、監督自身の言葉も交えながら紐解いてみよう。
【写真】インドの独立運動の英雄を描く 最新作『RRR』の激熱な場面写真
■インド映画を代表するヒットメーカーに上り詰める
「バーフバリ」シリーズで全世界に“バーフバリ旋風”を巻き起こし、『アベンジャーズ』シリーズのルッソ兄弟をはじめ、ハリウッドの著名な監督たちからも支持され、今や世界中から注目を浴びるS.S.ラージャマウリ監督。
インドのテルグ映画界のベテラン脚本家で監督作もある父親を持つラージャマウリ監督は、CM製作やテレビ・ドラマ演出を経て、青春ロマンチックアクション映画『STUDENT NO.1』(2001)で監督デビュー。主演は、最新作『RRR』でも主人公を演じるN・T・ラーマ・ラオ・Jr./通称N.T.R Jr.。同作は100日を超えるロングラン・ヒットを記録し、一躍“エース監督”としてその名を知らしめた。
その後、ほぼ毎年のペースで新作を発表し、テルグ語映画界のヒットメイカーとして常に次回作が期待される存在となった。その独創性と斬新なアイデアはとどまることを知らず、『RRR』のもうひとりの主人公を演じるラーム・チャランを主演に迎えた『マガディーラ 勇者転生』(2009)、日本で熱狂的なファンを獲得したハエが主人公の『マッキ―』(2012)などを手掛け、いずれも大ヒットを記録した。
そして、キャリアの集大成として臨んだ「バーフバリ」シリーズ(2015~17)は、2作合計ですでに世界興収3万7000万ドル(約418億円)を記録し、まさにインド映画史上最大のヒット作に。ラージャマウリ監督自身も「『バーフバリ』は並外れた規模の戦争アクションを作るという私の長年の野望を叶え、全ての人を満足させインド映画の限界を押しのけた」と語るとおり、インド国内外を問わず数多くの賞に輝き、日本でも2年以上に及ぶロングランヒットを記録。インド映画の新たな夜明けを創造した。
■インド国内の初日興収約28億円! 最新作『RRR』
そんな数々の偉業を成し遂げ、「次の野望はインドの物語を世界に届けることです。私のワガママですが、その最前線に立ちたいです」と語るラージャマウリ監督の最新作が、2人の英雄が愛と友情のために命をかけて闘う姿を、パワフルで壮大なアクションの連続で描いたスーパー・エンターテインメント巨編『RRR』だ。
インド映画史上最高の制作費7200万ドル(97億円)をかけて描かれた本作の舞台は、1920年、英国植民地時代のインド。
本作は本国インドで爆発的な大ヒットとなり、本年度のインド国内の興行収入No.1の座を獲得。世界でもオープニング興収(3月25~27日)5400万ドル(約74億円)をたたき出し、北米では公開当時、ハリウッドのメジャー大作を超える快挙を達成。本年度のハリウッド批評家協会賞でインド映画初となる最優秀作品賞にノミネートされた。さらにインド国内の初日興収は約16億ルピー(約28億円)を記録し、この成績は『バーフバリ 伝説誕生』『バーフバリ 王の凱旋』を超えて初日興収歴代第1位となっている。
『RRR』の主人公2人は、これまでの『マガディーラ 勇者転生』や「バーフバリ」シリーズなどで描かれた架空の英雄とは違い、どちらも実在したインドの独立運動の英雄。インドの国民から絶大な尊敬を集める人物をモデルにし、且つ最大のヒット作「バーフバリ」シリーズに次ぐ最新作という事で相当なプレッシャーもあったようだが、ラージャマウリ監督は「バーフバリが大成功を収めた後、プレッシャーを感じていましたが、インドの自由のために戦った2人の伝説の活動家を一緒に描くというアイデアが浮かび、実に刺激的で面白いと思いました」と振り返り、本作をもって新境地を切り拓いたと自信たっぷりに語っている。
近年ブームとなっているダークヒーローとは異なる、120%の正義漢がスクリーンで大暴れする様は、観客に興奮と爽快感を与えるだろう。
映画『RRR』は、10月21日より全国公開。