松山ケンイチが主演を務め、長澤まさみが共演する映画『ロストケア』より、連続殺人犯・斯波(松山)と事件の真相を追う検事・大友(長澤)が対峙する緊迫の特報映像、2人のアップを捉えたティザーポスターが解禁。併せて、本作の主題歌が森山直太朗の新曲「さもありなん」に決定したことも発表された。

同曲は、特報の最後で一部披露されている。

【動画】森山直太朗による主題歌「さもありなん」が流れる映画『ロストケア』特報

 本作は、42人もの人間を殺めた連続殺人犯とその事件を担当する検事が取り調べを通じて対峙し、なぜ彼が大量殺人を犯したのかという真相に迫る社会派エンタテインメント作品。主人公の心優しい介護士・斯波宗典を演じたのは松山ケンイチ、斯波と対峙する検事・大友秀美を演じたのは長澤まさみ。本作で初共演を果たす2人が、鬼気迫る対決を繰り広げる。

 そのほか共演には、鈴鹿央士、坂井真紀、戸田菜穂、峯村リエ、加藤菜津、やす(ずん)、岩谷健司、井上肇、綾戸智恵、梶原善、藤田弓子、柄本明といった豪華俳優陣が脇を固める。監督・脚本は、映画『こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話』(2018)、『そして、バトンは渡された』(2021)の前田哲。さらにドラマ『砂の器』(2004)、映画『四月は君の嘘』(2016)などの龍居由佳里が、前田監督と共に脚本を担当した。

 早朝の民家で老人と介護センター所長の死体が発見され、捜査線上に浮かんだのは死んだ所長と同じ訪問介護センターに勤める斯波宗典(松山)。彼は献身的な介護士として介護家族に慕われる心優しい青年だった。そして検事の大友秀美(長澤)は、斯波が勤める訪問介護センターで老人の死亡率が異常に高いことを突き止める。この介護センターでいったい何が起きているのか? 大友は真実を明らかにするべく、取り調べ室で斯波と対峙する。

 「私は救いました」。
斯波は、自分がしたことは「殺人」ではなく「救い」だと主張する。斯波の言う「救い」とは一体何なのか。なぜ、心優しい青年が未曽有の連続殺人事件を起こしたのか。斯波の揺るぎない信念に向き合い、真相に迫る時、大友の心も激しく揺さぶられる。

 特報は、斯波(松山)と大友(長澤)が取調室で対峙する場面を収めたもの。白髪でただならぬオーラを放つ斯波が「僕は42人を“救いました”…」と語るところから始まる。そんな彼に対し、大友は「あなたが殺した方たちの、ひとりひとりの人生の何が、あなたに分かる、っていうんです?」と鋭い視線で問い詰める。

 すると斯波は「あなたみたいに、安全地帯からきれいごとを並べる人間が、穴の底を這う人間を余計に苦しめるんです!」と言い放つ。感情が高ぶった大友は「あなたがやったことに正義などない!」と机を叩いて立ち上がる…。最後は「『救う』とは 『正義』とは」という言葉が映し出され、森山直太朗が本作のために書き下ろした主題歌「さもありなん」が情感豊かに流れて締めくくられている。

 主題歌「さもありなん」は、アコースティックギターのやさしく繊細な音色が印象的なバラード。同曲について、森山は「普遍の優しさから生まれた一曲」とコメントを寄せている。


 映画『ロストケア』は2023年3月全国公開。

 コメント全文は以下の通り。

<森山直太朗・前田哲監督・有重陽一プロデューサー コメント全文>

■森山直太朗(主題歌担当)

 前田監督からお話をいただき「さもありなん」という曲ができました。介護という一つのテーマでも生きている人の数だけ無数の問題と途方もない答えがあって、何が善で悪なのかはそれぞれ倫理観、置かれている立場によって異なります。

 大切なのはその「異なり」を寄り添い見守ること。是が非か、ありか無しかを問い合うより無意識の視点で相手の想いを感じること。「さもありなん」はそんな普遍の優しさから生まれた一曲です。泡と化す宇宙の言葉。境のない世界になることを願いながら。

■前田哲監督

 森山直太朗さんに、映画のイメージを掴んでもらうため編集前の一部の映像をご覧いただきました。森山さんは映画のテーマを深いところで感じとられ、私が思い描いていたものからさらに飛躍させた素晴らしいアイデアを提案してくれました。森山さんが映画と真摯に向き合ってくださった結果。
映画を大きく包み込んでくれた、真の意味での映画主題歌を作ってくれました。

 私は初めて聴いた時の、心にゆっくりと沁みていき魂が解き放たれる感覚を一生忘れません。森山さんに出会えたことは、映画にとっては必然であり、私にとっては感謝とともに貴重な同志を得た気持ちです。ありがとうございました。

■有重陽一プロデューサー

 2025年、団塊の世代と言われる800万人が75歳以上となり、国民の4人に1人が後期高齢者となる日本は超高齢化社会を迎えます。そんな時代だからこそ 介護、親子という題材を真正面に見据えた映画を製作したいと思いました。

 映画では答えの見えない問題を描きつつ、それでも生きてゆくという希望を感じてもらいたい。そんな話を監督とする中で主題歌は森山直太朗さんに是非お願いしたいと思いました。森山さんに書き下ろしていただいた楽曲「さもありなん」は我々の理想の楽曲であり、ラストに流れるこの曲が必ずや観客の心を癒してくれるだろうと思っています。

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