依然としてコロナ禍でうっ屈とした日々が続いた2022年も、さまざまな作品が公開されてファンを喜ばせた映画界。今回は、2022年に話題となった映画を振り返りたい。

あなたは何作を劇場で目撃しただろう?

【写真】“ルフィ”田中真弓ら総勢12人! 映画『ONE PIECE FILM RED』公開記念舞台あいさつの模様

■ やっぱり今年も強かった! アニメがトップ10を席巻

 例年と同様に今年もアニメ映画が強かった。中でも、人気コミック・テレビアニメ『ONE PIECE』シリーズの劇場版最新作『ONE PIECE FILM RED』が12月23日現在、187億円超えの大ヒットを記録。本作は、人気キャラクター・シャンクスの娘でオリジナルキャラクターの歌姫ウタが登場するオリジナルストーリー。ウタの歌唱パートは、2021年に「うっせぇわ」が大ヒットした歌い手のAdoが担当した。邦画の歴代興行収入ランキングでも『踊る大捜査線 THE MOVIE 2 レインボーブリッジを封鎖せよ!』(2003)を抜き、歴代9位に躍り出た。現在も公開中で、まだ順位を上げる可能性がある。


 「週刊少年ジャンプ」(集英社)連載作品の劇場版アニメとしては、昨年公開の『劇場版 呪術廻戦 0』、一昨年邦画の歴代ランキング1位を塗り替えた『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』と、3年連続で1位を飾っており、同誌作品の圧倒的な人気を印象づけた3年と言える。

 そのほか、今年のランキングでは人気漫画・テレビアニメシリーズ『名探偵コナン』の劇場版最新作で人気キャラクターの安室透にフォーカスした『名探偵コナン ハロウィンの花嫁』が3位、『君の名は。』(2016)、『天気の子』(2019)と大ヒットを立て続けに世に送り出した新海誠監督最新作『すずめの戸締まり』が4位、『ミニオンズ フィーバー』が8位につけるなど、12月23日現在でトップ10にアニメ映画が4作ランクインしている。

■ 「数十年の時間」「シリーズの垣根」を超えた復活にファン感動!

 古い洋画ファンを熱くさせたのがトム・クルーズ主演の『トップガン マーヴェリック』。本作は1986年公開の『トップガン』の36年ぶりの続編だ。
エースパイロットたちをもってしても絶対不可能な任務を成功させるため、伝説のパイロットである“マーヴェリック”(トム・クルーズ)が最後の切り札としてトップガンに戻ってくる。病気療養中だったヴァル・キルマーも前作のライバル的な存在“アイスマン”役として復活し、ファンを感動させた。

 全世界の興行収入では14億9000万ドル(約1967億円)を稼ぎ出し、トム・クルーズ史上最大のヒット作に。日本でも令和(2019年5月~以降)に公開された実写映画ナンバー1をまい進中で、130億円以上の大ヒットを記録している。

 洋画でもとりわけMCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)ファンを熱狂させたのが、日本では1月公開の『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』。トム・ホランドが主人公ピーター・パーカーを演じるMCU版『スパイダーマン』第3作にして、これまで別々のシリーズとして扱われてきたサム・ライミ監督版の『スパイダーマン』シリーズ(2002~2007)、『アメイジング・スパイダーマン』シリーズ(2012・2014)のヴィラン(敵キャラ)たちがシリーズの垣根を超えて集結。
おまけに、トビー・マグワイア、アンドリュー・ガーフィールドという過去2シリーズのピーター・パーカーがそろい踏み。ファンにとってこの上ないご褒美となった。

 全世界的にも歴代興行収入歴代6位の成績を叩き出し、MCU映画でも歴代3位の好成績。日本の年間ランキングでも、12月24日現在10位に入っている。

■ 公開前には不安の声が寄せられるも…ふたを開けたら大ヒット!

 今年下半期といえば、『THE FIRST SLAM DUNK』の話題を外すことはできない。本作は、「週刊少年ジャンプ」にて1990年から1996年まで連載されたバスケットボール漫画『SLAM DUNK』を原作とした映画。
高校バスケを題材に選手たちの成長を描いた原作者・井上雄彦自ら監督・脚本を担当した。

 公開前には、1993年から1996年にかけて放送され人気を博したアニメ版からの声優キャストの変更が発表されたほか、公開日まであらすじが一切明かされないという異例のプロモーションが行われ、SNS上には旧来のファンからのネガティブなコメントも少なくはなかった。

 しかし、今月3日の公開日を迎えると、主人公・桜木花道ではなくチームメイトの宮城リョータの視点から原作クライマックスの名勝負“山王戦”をとらえ直すストーリーに、観客からは絶賛の声が寄せられた。そのほか、公開前に発表され、不安視されていた3DCGでの試合描写についても、セルアニメでは表現しきれないバスケットボールの素早く激しい動きが臨場感たっぷりに再現され、熱心なバスケットボールファンでもある原作者・井上のこだわりが伝わってくる。

 公開から3週連続で1位を記録。累計では動員281万人、興収41億8900万円となっており、年間ランキングでトップ10入りも現実味を帯びてきている。