『西洋骨董洋菓子店』『きのう何食べた?』などを手がけた漫画家・よしながふみの代表作『大奥』が実写ドラマ化され、10日からNHK総合「ドラマ10」枠で放送される。この作品については2010年~2012年にかけて実写化された映画やドラマを覚えている人も多いハズ。
【写真】2010年~2012年の映画・ドラマ版と、2023年NHKドラマ10版『大奥』キャストたち<フォトギャラリー>
よしながふみの漫画『大奥』は、3代将軍・家光の時代から幕末・大政奉還にいたるまで、男女の立場や役割が逆転した“パラレルワールド”の江戸を舞台に、ジェンダー、権力、疫病といった現代人が直面している社会課題を大胆に問い直した異色時代劇。
今月からスタートするドラマは『JIN-仁-』(TBS系)シリーズや大河ドラマ『おんな城主 直虎』(NHK総合)、『天国と地獄~サイコな2人~』(TBS系)などで知られる森下佳子が脚本を担当することでも注目を集めている。
今回の『大奥』では、3代将軍・徳川家光と5代将軍・綱吉、8代将軍・吉宗といった3人の将軍とそれぞれの側室たちの愛の物語が壮大で豪華絢爛(けんらん)な映像世界で紡がれる。
■3代・徳川家光×万里小路有功編
男女が逆転する起点となるのが「3代・徳川家光×万里小路有功編」。この時代、赤面疱瘡(あかづらほうそう)と呼ばれる奇病が広がり、男子の人口は女子の4分の1にまで激減。本来の3代将軍家光も死亡してしまう。春日局は秘密裏に、家光の娘・千恵を将軍の身代わりに据える。そんな千恵こと家光に仕えることになるのが、公家出身の美しき僧・万里小路有功。彼はいつしか人生を奪われボロボロに傷ついた千恵と愛し合い、大奥総取締として男性中心の大奥世界を構築。千恵自身も女将軍・家光として全国を統治していく覚悟を決めるのだった。
今回のドラマ版で家光を演じるのは、大河ドラマ『鎌倉殿の13人』(NHK総合)で、主人公・義時(小栗旬)の2番目の妻・比奈を演じた堀田真由。
「3代・徳川家光×万里小路有功編」は、2012年に連続ドラマ『大奥~誕生[有功・家光篇]』(TBS系)として実写化されていて、家光役には多部未華子、有功役を堺雅人が演じた。この作品の演技で多部は「第75回ザテレビジョンドラマアカデミー賞」の助演女優賞を受賞。堺は「第50回ギャラクシー賞」のテレビ部門個人賞を獲得している。
■5代・徳川綱吉×右衛門佐編
「5代・徳川綱吉×右衛門佐編」は、唯一の世継ぎ・松姫が急死し、閉経を迎えてもなお子作りを迫られる綱吉を中心に物語が展開。江戸市中では赤穂事件や生類憐みの令も手伝って評判が下落し、善政を敷けず世継ぎも作れない自分はなぜ生きているのかと苦悩する綱吉を、大奥総取締・右衛門佐が献身的に支えていく。
今回、葛藤を抱える5代将軍・綱吉を演じるのは、宮藤官九郎と大石静が共同脚本を手がける2023年配信予定のTBS×Netflixのドラマ『離婚しようよ』にも出演する仲里依紗。悩める綱吉を助ける右衛門佐役を、『鎌倉殿の13人』やドラマ『クロサギ』(TBS系)などの作品でひと癖もふた癖もある個性派キャラを演じきった山本耕史が務める。
「5代・徳川綱吉×右衛門佐編」は、2012年に『大奥~永遠~[右衛門佐・綱吉篇]』のタイトルで劇場映画として公開。綱吉役には菅野美穂がキャスティングされ、同年のドラマに続いて堺雅人が1人2役として右衛門佐を演じた。菅野と堺は、本作での共演をきっかけに交際へ発展すると2013年4月に結婚。2人は2015年と2018年にそれぞれ男児と女児をもうけている。
■8代・徳川吉宗×水野祐之進編
「8代・徳川吉宗×水野祐之進編」では、貧乏旗本の息子・水野祐之進が幼なじみの薬種問屋の跡取り娘・信と添い遂げることがかなわぬなら…と大奥入りを決意。そんな祐之進は、紀州徳川家から将軍となった吉宗から、大奥で最初に声がかかる。しかし、将軍の最初の相手である「御内証の方」は死なねばならぬと知り、吉宗はある策を講じる。
今回、江戸幕府の逼迫した財政を大胆に再建しようと奮闘する8代将軍・吉宗を演じるのは、ファッションモデルとして国際的に活躍する一方で女優としてもキャリアを重ねている冨永愛。そして、大奥入りして吉宗の相手を務めることになる貧乏旗本の息子・水野祐之進役を主演映画『#(ハッシュタグ)マンホール』の公開も控えているHey! Say! JUMPの中島裕翔が演じる。
2010年代版『大奥』は、2010年に公開された映画『大奥』で「8代・徳川吉宗×水野祐之進編」が描かれていて、吉宗役には『Dr.コトー診療所』シリーズ(フジテレビ系)や『ガリレオ』シリーズ(フジテレビ系)でその人気を盤石のものにしていた柴咲コウ。水野祐之進を嵐の二宮和也が演じている。