『おみおくりの作法』のウベルト・パゾリーニ監督最新作　『いつかの君にもわかること』本編映像

余命わずかなシングルファーザーが息子に＜新たな家族＞を遺そうとする姿を描く、『おみおくりの作法』のウベルト・パゾリーニ監督最新作『いつかの君にもわかること』（2月17日公開）より、本編映像とメイキング画像6点が解禁された。【動画】ジェームズ・ノートンの抑えた演技が胸を打つ『いつかの君にもわかること』本編映像 世界中の映画祭で絶賛され、異例のロングランヒットを記録した『おみおくりの作法』（2013年）。日本でも阿部サダヲ主演で『アイ・アム まきもと』というタイトルでリメイクされた、今もなお愛され続けているヒューマンドラマの傑作だ。 本作はその生みの親である名匠ウベルト・パゾリーニが、小さな新聞記事から着想を得て作り上げた待望の最新作。余命宣告を受けたシングルファーザーが、自分が亡き後に息子が一緒に暮らす“新しい家族”を探し求める姿を描く。第77回ヴェネチア国際映画祭オリゾンティ・コンペティション部門に正式出品されたほか、第36回ワルシャワ国際映画祭で観客賞を受賞するなど、力強く紡がれた父子の絆が世界中で多くの共感を集めた。 窓拭き清掃員として働く33歳のジョンは若くして不治の病を患い、残された余命はあとわずか。シングルファーザーとして男手ひとつで4歳のマイケルを育ててきた彼は、養子縁組の手続きを行い、息子の“新しい親”を探し始める。理想の家族を求め、何組もの“家族候補”と面会をするが、人生最大の決断を前に進むべき道を見失ってしまう。そんな彼は、献身的なソーシャルワーカーと出会い、自分の不甲斐なさに押しつぶされそうになりながらも、息子にとって最良の未来を選択しようとするが…。 このたび、ジョンとマイケルが公園で会話するシーンを収めた本編映像が解禁。マイケルは昆虫の死骸を見つけ、ジョンに「歩かせて」とお願いする。そんなマイケルに、「無理だ。死んでるから。死んじゃうと体は動かない。歩けないし、食べられないし、遊べない」と答えるジョン。なおも「どうして？」と聞くマイケルに、少し間を置いて「それはね…動物も植物も、全部こうなるんだ。生き物は、この世界に生まれていっぱい楽しんで、だんだん年を取って最後は死ぬんだ。あとは体だけが残る。昆虫の脚も頭も、おなかも空っぽなんだ。この昆虫はもういなくて、体だけが残ってる」と淡々と語る。 するとマイケルは「悲しいこと？」と問いかけ、ジョンは「悲しいことじゃないよ。もう、そこにいないだけ」と答える。その直後マイケルはアイス屋が来たことに気づき、無邪気に走っていく…。まだ“死”を理解することができない息子に父親が死んでしまうことを伝えなければならないジョンの複雑な想いが垣間見える、胸を締め付けられるような親子の会話シーンとなっている。 父親ジョンを演じたのは、映画『ストーリー・オブ・マイライフ／わたしの若草物語』や『赤い闇 スターリンの冷たい大地で』、英国のテレビドラマ『グランチェスター牧師探偵シドニー・チェンバース』シリーズなどに出演したジェームズ・ノートン。息子マイケルには、本作が映画デビューとなるダニエル・ラモント。 パゾリーニ監督は、本作について「主要な登場人物はそれぞれ非常にドラマチックな状況を抱えているものの、小津安二郎、最近で言えば、ジャン＝ピエール＆リュック・ダルデンヌ兄弟の作品に見られるような、ストーリーに対し非常に繊細かつ“控えめ”な手法を用い、メロドラマや感情主義とは最大限距離をおくようしました。このアプローチを取ることで、様式的な華やかさから放たれた直球的な映画製作のスタイルに反映されている」とコメント。続けて「監督として本作品に臨む上で課題だったのが、非常に幼い子どもと撮影することと、真実味がある感動的な父子関係を演出することでした」と明かしている。 映画『いつかの君にもわかること』は、2月17日よりYEBISU GARDEN CINEMAほか全国順次公開。