およそ11年半、乃木坂46の1期生として活躍してきた秋元真夏。2月26日の卒業公演を控え、アイドルの彼女を見られる時間は残りわずかとなった。

メンバーとして最後のソロ写真集『振り返れば、乃木坂』(幻冬舎)は、キャプテンの大役も全うした彼女のアイドル人生を振り返る1冊に。「最後の1期生」である彼女が卒業を決断した理由、後輩メンバーやグループに向けた思いとは。写真集の撮影秘話とともに聞いた。

【写真】秋元真夏の卒業直前撮り下ろしカット 卒業記念写真集『振り返れば、乃木坂』より大人の表情見せる先行カットも

■海の撮影では「卒業」が頭によぎり涙

 秋元の卒業記念写真集『振り返れば、乃木坂』は、テーマにふさわしくさまざまな企画が盛りだくさんの内容に。メインの撮り下ろし企画では、レギュラー番組『乃木坂工事中』(テレビ東京系/毎週日曜24時)の企画「シングルヒット祈願」で2度登った富士山の周辺で“卒業旅行”をテーマに撮影。本人のリクエストによる2期生~5期生メンバーとの対談、自慢の腕前を披露する料理企画、ロングインタビューなどを収録している。

――乃木坂46の結成から約11年半。当初、学業優先のため芸能活動を休業し、実際の活動期間は2012年10月からの約10年4ヵ月です。アイドル人生の集大成となる本作の制作当時は、何を思っていましたか?

秋元:卒業がテーマなので「一生振り返ることになる大事な作品」と思いながら撮影していました。2泊3日で行った撮り下ろし企画のロケは最後の撮影が海で、水平線を眺めていたときに「本当に卒業するんだなぁ」と改めて実感したんです。急にメンバーや両親の顔、オーディション当時の思い出が蘇ってきて、涙が止まらなくなりました。

――秋元さんの卒業をテーマにした作品にふさわしく、各期の後輩メンバーと深く語り合う企画もあります。


秋元:メンバーが大好きで、後輩たちを毎日観察しながら生活していたんですけど、同じように後輩たちも私を見てくれていたんだなと思いました。1つ1つの細かい行動まで覚えていて、みんな「真夏さんはあのときどう思っていたんだろう?」という疑問をぶつけてくれたし、互いに同じ気持ちだったんだと感じました。

――秋元さんの卒業後はグループ内でのキャリアが最長になる、たった1人の2期生・鈴木絢音さんとの撮影はいかがでしたか?

秋元:絢音は後輩と感じないぐらい、乃木坂46での時間を一緒に過ごしてきたんです。大変な時期もくぐり抜けてきたので、2人とも強く、ドシッと構えている印象で。普段、後輩との撮影では「盛り上げなきゃ」と思ってしまうんですけど、絢音との撮影ではそんなことも考えず、ただただ2人の時間を楽しみ、目を合わせながら撮影できました。

――3期生は、岩本蓮加さんや梅澤美波さん、与田祐希さんと撮影。中でも、グループを二人三脚で支えてきた副キャプテン・梅澤さんと語り合ってみての印象は?

秋元:梅は、グループ初の副キャプテンに選ばれてから、「何をしていいか分からないけど、真夏さんのために何かをしなければ」と、すごいスピードでやるべきことを見つけながら必死にサポートしてくれたんです。後輩ではありながら、途中から「一緒に乃木坂46を引っ張る仲間」に変わりましたし、私たち1期生の意思も継いでくれているので、語り合った3期生のメンバーで一番”後輩感“がなかったです。

――後輩との意思を確かめ合う意味でも、写真集の撮影は貴重な時間だったんですね。ちなみに、秋元さんといえば「ハプニング」が付き物の印象もありますが…。今回の撮影では?

秋元:毎日がハプニングだらけで、忘れちゃうんですけど…。メンバーとして初参加したシングル「制服のマネキン」をオマージュしたセーラー服姿の撮影では、天気がハプニングでした。
野球場での撮影中、雨から雪に変わり、雪から晴れに変わるという3種類の天気をまたぐ珍しい経験をしたんです。いろいろな景色で撮影できたからよかったし、私らしいと思いました(笑)。

■「最後の1期生」になった理由 キャプテンだった影響は「すごく大きい」

――写真集のテーマにある卒業を決断した経緯を教えてください。

秋元:元々、同期が卒業するたびに考えることはあったんです。でも、それはぼんやりとした思いで、はっきり決めたのはキャプテンを全うできたからでした。就任した当時(2019年9月)は「私に向いていない立場」と思いながらも、自分の中で、何かをモノにするためには「3年は時間をかけないと」という気持ちもあったんです。昨年9月で3年が経過しましたし、後輩たちも育ち、みんなの活躍を外から見たいと思ったので決断しました。

――卒業発表後は「最後の1期生」のフレーズが話題に。最後まで残った理由も、やはりキャプテンとしての役割があったから?

秋元:すごく大きかったです。初代キャプテンの(桜井)玲香が卒業したとき、私の中で「乃木坂46は大好きだしずっといたいけど、私もそろそろ考えなきゃいけないかな」という思いもありました。でも、その思いがちらついた時期にキャプテンの大役を頂いて、不安とともに「役割を得たからまだいられる!」と思ったんです。グループに残る理由ができたというか。
キャプテンになったことで、胸を張って乃木坂46にいられました。

――そもそもなぜ、秋元さんが2代目キャプテンに選ばれたのでしょう。

秋元:何でだろう。理由は何も言われなかったんですよ。

――本人としては、どう考えていますか?

秋元:考えたことがなかった…。たぶん、ほかのメンバーより“乃木坂愛”が重めなので、ちゃんと引き継いでくれると思ってもらえたのかな。乃木坂46が大好きすぎて、自宅でもメンバーが「今何を考えているかな」と考えてしまうし、その気持ちがスタッフさんにも伝わって「こんなにグループが大好きな人なら、キャプテンをやらせてみようか?」と思ってもらえた気はします。

――ファンの皆さんにも、秋元さんの愛は伝わっているはず。そんな大役を全うして、得たものもありそうです。

秋元:たくさんあります。今は、大変さもあったけど、任せていただいてよかったと思っています。キャプテンになってからは、メンバーと会話する機会が増えて1人1人との関係性が深まったし、プレイヤーの視点だけではなく、客観的に乃木坂46を見るようになりました。
外からの視点で「乃木坂46をどうしたらよりよくできるか」と考えた経験は、これからの人生でも生きていくのかなと思っています。

■自身のラストステージで“やらかさない”自信は?

――現時点で思う、卒業後のビジョンは?

秋元:卒業後の1年目は、乃木坂46の看板がどれほど大きかったかを実感するでしょうし、勝負の年だなと思っています。任せていただけるならどんなジャンルにも挑戦する姿勢で、幅広く活躍していきたいです。キャプテンとしてメンバーを客観的に見る中で「人のいいところを引き出したい」と思うことが増えたし、楽しさもあるので、番組のアシスタントやレポーターのような仕事をしてみたいと思っています。

――写真集の料理企画では「結婚願望」に言及。レギュラーのラジオ番組『秋元真夏(乃木坂46) 卒業アルバムに1人はいそうな人を探すラジオ サンデー 』(文化放送/毎週日曜19時)では、「ママタレになりたいという夢がある」と、結婚後のタレント活動への意欲も語っていました。

秋元:今も変わりません。結婚後の理想像は、私の母です。母は、娘である私の活動をファンの皆さんと同じ熱量で応援してくれて。ライブに足を運んでくれるのはもちろん、CDショップでは、私のパネルを前に父と一緒に“3ショット”を撮るほどなんです。最近、卒業記念写真集のパネル展についても「全部見に行くから教えて」と連絡が来ましたし、私も同じように、愛に溢れたお母さんになるのが夢です。

――2月26日にはラストステージ「秋元真夏 卒業コンサート」を開催。
意気込みは?


秋元:過去に同期の卒業をたくさん見送ってきましたし、緊張が大きいです。10年以上もアイドルを続けてきたけど、自分の卒業コンサートは一度しか経験できないので。一度も経験していないものが突然最後に訪れるのはドキドキですし、当日の感情は読めません。きっと、今までのどのライブよりも緊張しているんだろうと思うんですけど、ステージで輝く後輩たちを同じ舞台で見られる最後のタイミングですし、大好きなメンバーが楽しんで踊る姿を見られればと思います。

――最後に。秋元さんといえばコンサートでの“やらかし”が有名。過去には、堀未央奈さんの卒業を控えた公演の「ダンケシェーン」で「やっぱ未央奈だな!」と締めるべきところ、「やっぱ乃木坂だな!」と通常通りに言ってしまい、やり直すハプニングもありました。自身のラストステージで“やらかさない”自信は?

秋元:転んじゃったりしたことも…(笑)。卒業のタイミングが近づき、いろいろなお仕事をさせていただく中で、思わぬところでボーッとしていることが増えているんです。“やらかし”に関しては、自分でも読めないというか…。何をしでかすか分からないので、怖いです。でも、頼もしい副キャプテンの梅がいますし、頼ろうと思っていて。
段取りを飛ばしちゃったりしたら、梅に任せたいです(笑)。

(取材・文:カネコシュウヘイ 写真:上野留加)

 秋元真夏 卒業記念写真集『振り返れば、乃木坂』は幻冬舎より発売中。価格は2300円(税込)。

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