心ときめくロマンティック・コメディの名作『プリティ・ウーマン』(1990)が、視聴者のリクエストに応え、今夜の金曜ロードショーに登場。世界中で大ヒットした本作では、ジュリア・ロバーツ演じるヴィヴィアンと、リチャード・ギア演じるリッチでハンサムなビジネスマン、エドワードのロマンスだけでなく、ヴィヴィアンが美しく洗練されていく過程で魅せるファッションに心奪われた人も少なくないはず。

映画史に輝く本作のアイコニックなファッションをチェックしよう。

【写真】帽子からつま先まで美しい ジュリア・ロバーツのポルカドットのワンピース姿

■ポルカドットのワンピース

 ふとしたきっかけで知り合った娼婦のヴィヴィアンとやり手ビジネスマンのエドワードのロマンスを描く本作。ビジネスのための1週間だけのパートナーとして契約を結んだ2人は、一緒に過ごすうち、それぞれ仕事のために築いていた高い壁を取り除き、次第に心を開き始める。

 そんな2人にとってビッグステップとなったのが、ビジネスの関係者が集まるポロの試合。ヴィヴィアンにとっては、初めてのリッチな人が集まる社交の場で、かなりナーバスになる。そんな彼女をファッション面で支えたのが、ブラウンのポルカドットワンピースだった。

 シンプルなAラインのワンピースを同色の極太ベルトでウェストマークし、共布のリボンがあしらわれたレディライクなハットとグローブ、ハンドバッグでエレガントなスタイルにコーデ。ヘアはすっきりとアップにまとめてパールのピアスをプラスし、会場にいるイジワルでお高くとまったお姉さま方にも負けないパワーを彼女から引き出した。

 本作の衣装デザインを手掛けたマリリン・ヴァンスは、女性として初めてアクション映画の衣装デザイナーを務めたレジェンドで、「ダイ・ハード」シリーズや『ジャック・サマースビー』、『マザーズ・デイ』など、映画のジャンル、時代背景を超えて活躍。『アンタッチャブル』でアカデミー賞にノミネートされ、本作でも英国アカデミー賞候補に。2009年には、衣装デザイナー組合賞功労賞を受賞している。

 彼女のデザインした衣装の数々はアイコニックとされ、ポップカルチャーにも大きな影響を与えた。
このドレスも、彼女を代表する作品の一つとして人々の記憶に残り、ポロの試合×ポルカドットはもはやアイコンに。ジュリア自身も、2019年にカリフォルニアで開催されたポロの大会にポルカドットのアンサンブルをチョイス。ファンに『プリティ・ウーマン』のウキウキした気持ちを再びもたらした。

■真っ赤なイブニングドレス

 エドワードとヴィヴィアンがビジネスを離れ、デートで訪れたオペラの舞台。エドワードはこの夜のために、高価なジュエリーやプライベートジェットを用意し、演目も裕福な男性と恋に落ちる娼婦のお話『椿姫』と、これ以上ないほどにロマンティックなシチュエーションを演出。映画の中でも最高にうっとりさせてくれるシーンのひとつだが、ここでヴィヴィアンが纏うのはオフショルダーの真っ赤なイブニングドレスだ。

 今も記憶に残る美しいドレスだが、実現にはひと悶着あったようだ。ヴィヴィアンの赤毛との相性に不安を覚えたスタジオ側は、当初黒いドレスを希望し、マリリンの提案を拒否。それでも衣装デザイナーのマリリンは、赤こそこのシーンにふさわしいと意見を曲げず、3着のドレスを作成し、テスト撮影を繰り返した結果、見事このドレスが採用された。マリリンはこの時の様子について、「かわいそうなジュリアは、このドレスのために何度も写真撮影やカラーテストをしたの。おかげで、ついにふさわしい色合いを見出し、皆に私の方向性を理解してもらえたわ」と述べている。

 このドレスは映画史に残るアイコニックなドレスと位置づけられ、これまで、ロンドンのヴィクトリア&アルバート博物館やロサンゼルス・カウンティ美術館など、さまざまな博物館、美術館に展示されている。


 ちなみに、このシーンでエドワードが用意したネックレスは実際に高価なもので、撮影中は銃を携帯したセキュリティが張り付いていたそう。ジュエリーのケースでヴィヴィアンの指先をパクっとはさむシーンは、長い撮影で疲れていたジュリアの気分をアップさせようとリチャードがアドリブでしたもので、彼女の笑顔はまさに本物!

 この他にも、ヴィヴィアンが初めてのビジネスディナーで身に着けた黒いカクテルドレスや、イジワルな店員に一泡吹かせた時に着ていた白いワンピースなどなど、本作には公開から30年以上経つ今も色褪せないファッションがたくさん登場。ハロウィンコスチュームとしても今だに人気があるのは、皆に愛されている証と言えそう。(文:寺井多恵)

 映画『プリティ・ウーマン』は、日本テレビ系『金曜ロードショー』にて今夜3月3日21時放送。

編集部おすすめ