俳優の本宮泰風と山口祥行がダブル主演でバディを組む、シリーズ累計60作を超える大ヒット任侠シリーズ『日本統一』。熱いファンに支持され続けた同作が、コロナ禍に配信で女性や若者など新たな層にまで人気を広げ、この春地上波キー局に殴り込みをかける。

シリーズ誕生から10年の節目を迎え、進化が止まらない『日本統一』を支える本宮と山口に、盛り上がる人気への思いを聞いた。

【写真】メイン写真とは真逆! 本宮泰風&山口祥行のお茶目な2ショット

◆地上波放送のハードルを乗り越え、変わらず攻めた内容に

 2013年に誕生した任侠作品『日本統一』は、不良少年・氷室蓮司(本宮)、田村悠人(山口)が「弱きを助け、強きを挫く」をテーマに、所属する侠和会で日本極道界の頂点を目指すサクセスストーリー。4月13日よりスタートする『日本統一 関東編』(日本テレビ/毎週木曜24時59分)では物語の舞台を関東に移し、さらにスケールアップ。とある事件をきっかけに交錯する「警察」と「極道」の前に、巨悪な組織が立ちはだかる。北代高士、舘昌美ら“山崎一門”のおなじみの顔ぶれに加え、シリーズ初参戦の青柳翔、藤原樹(THE RAMPAGE)が刑事役で侠和会と対峙する。

――今回の『日本統一 関東編』は地上波キー局での放送となります。最初にお話を聞かれたときはどんなお気持ちでしたか?

山口:もともと、そのうち民放さんとかにも行ければいいなっていう希望を持ちながらやっていたんです。本宮さんや『日本統一』の鈴木プロデューサーが頑張ってやってきてくれたっていうのもありますが、きっと配信でうまく行ってくれたおかげで、こういうきっかけにつながったのかなと思って…。やっと、できたかっていう感じでしたね。

本宮:民放キー局でやるとなった時に、今までやっていたのと同じ内容ではできないという問題にぶつかるだろうなって思っていました。考査とか規制の部分で、どう“日本統一らしさ”を失わずにできるのか、落としどころを探り、何回も打ち合わせを重ね、日テレさんもいろいろ戦ってくれた結果できた企画なので、正直にうれしかったっていうのはあります。

山口:いろんなプロデューサーさんや局の人、映画関係の人たちが観てくれた。
関係者の方が観てくれるようになったことも今回につながったきっかけの1つなのかな。

本宮:新しいコンテンツでってなったときに、業界内にどんどん仲間が増えていき、そういう人たちが力を貸してくれたっていうのはありますね。

――やはり、地上波での放送はかなりハードルがありましたか。

山口:ものすごい、ありますね(笑)。

本宮:今、ちょっと本当のところは話せないですね(笑)。でも、攻めた内容になっているので安心してください。

――今回の『関東編』には新たに青柳翔さんと藤原樹さんが加入されます。

本宮:2人とも好青年でしたね。もっと一緒にやりたかったなって思うくらい打ち解けて。レギュラーメンバーの山崎一門ともすぐに仲良くなってました。

山口:すんなり馴染んでましたね。僕らみんなでおそろいのスニーカーを買ったんですよ。
青柳なんて、次の日早速そのスニーカーを履いて現場に来てましたからね(笑)。

――山崎一門の皆さんは、今回エンディング曲を歌われるということで。この曲は秋元康さんの作詞なんですよね。

本宮:先日レコーディングがあったのですが、いい曲でしたね。(秋元氏による作詞は)今回2曲目なんですけど、1曲目の時は“世界観は大丈夫かな?”と心配があったんですが、ピンポイントで突いてくるような、やられたなーっていうくらいに曲と詩がマッチしていて。今回も外さず作っていただきました。

山口:秋元先生が楽しんでくれている感じもするよね。

◆女性ファン急増にも「そこを狙ってはいけない」

――コロナ禍に配信で『日本統一』の魅力を知ったファンも多いようですが、普段の生活の中で人気の高まりを実感されることはありますか?

山口:普段、僕ら声かけられないです(笑)。

本宮:僕らはそんな感じなんですけど、若い奴らはコンビニで囲まれちゃって、身動きとれなくなっちゃうみたいなことはあるみたいですね。

――この作品が多くの人に受け入れられた理由はどこにあると思われますか?

本宮:山口さんの男性としての魅力みたいなところだと思います。

山口:僕は、日本の俳優の枠を超えた、アジアの俳優のスタイルをしている本宮さんだと思ってます。

本宮:…そういうパターンで来ますか。


山口:(笑)。極道物やヤクザ物は、日本では最近ちょっと重たい感じの作品があったり、シリアスすぎる中で、肩の力を抜いてリラックスして観られるタイプの脚本を、泰風だったり制作陣が書いてくれている。昔っていう言い方もあれですけど、昭和でいう時代劇ドラマに近いものが、『日本統一』にはあると思っているんですよ。観やすいところが魅力なのかなって。

本宮:任侠作品は分かりやすくていいという思いがあって。そこにプラス、ちょっとコメディ要素を足すことで、観やすくなっているんじゃないかなと思って作っているんですけど。

――第1話の台本を拝見しても、随所にクスッとなる遊び心がいっぱいでした。

山口:いたずらっ子なんですよ(笑)。日テレさんへの忖度で、『太陽にほえろ!』と似たような曲を使おうかなって言ったら、それはダメだって(笑)。

――LINEスタンプやYouTubeチャンネルの開設、アパレルコラボなど、これまでのVシネマ作品、任侠物のイメージを変える挑戦も魅力だと思います。

本宮:山口さんの魅力で女性ファンが増えてきて、そういうファンになってくれた方に、さらに楽しんでもらうにはどうしたらいいか、いつもプロデューサー陣で考えていますね。

――本宮さんと山口さんが演じる氷室と田村のバディぶりに沼る女性も多いと聞きます。


本宮:そうですね。山口さんは普段女性とか意識しないので、かっこつけてモテよう!というところがないのが、女性ファンの心をつかんでいるんだなと僕はいつも分析しているんです(笑)。

でも、氷室と田村の関係性が受けているから、もっとシーンを増やしてやろうというのは、まったくないんです。あくまでも作品重視なんで。女性ファンが増えるのはうれしいことですけど、作り手として狙っちゃダメだなと思ってます。

◆50代を迎え心境に変化「ある程度、年を自覚しなきゃダメ」

――今年でシリーズ誕生10周年を迎えられます。

山口:こんなに長く続くと思ってなかったしね、はじめは10本くらいで止めようとしてたもんね。

本宮:だいたいそれくらいで終わるものなんですよね、シリーズって。いろんないい偶然が重なってここまで来れたんですけど、振り返ってみると長かったですね。

僕らも40歳から50歳になり、みんなそれぞれプライベートで変化があって、若い奴らも結婚したり子どもができたりして、あの頃に生まれた子どもがこんなになったんだとか、そういうことを考えたら、やっぱり10年って長いんだなって。監督も病気をされたり…。

山口:順風満帆じゃなかったもんね。


本宮:うん。共演した方も亡くなられたり、業界辞められた方もいますしね。

――今お話がありましたが、50代を迎えられて、何か心境の変化はありましたか?

本宮:ある程度、年を自覚しなきゃダメだなっていうところですかね。気持ちは若くいるんですけど、でも僕らってどう見られているかが大事なんで。自分の年を自覚せず、いつまでも若い子たちがやっているようなヒーローものを僕たちがやるわけにもいかないんで。この年になって初めて、そういうことを気にしていかないといけないのかなって思うようになったところはありますね。

『日本統一』でも、40歳くらいの時に始めたことと、今同じことをやっていちゃダメなんだ、それは視聴者の人が許してくれないんじゃないかなっていう気がしています。

山口:僕はなるべくアクションやりたくないですね(笑)。体も動かなくなってきたし、50歳になって開き直るようになりました。あとは、あんまり緊張しなくなりましたね。

本宮:もともとしねえだろ!(笑)

山口:自然体でいければいいかなと、年相応に。

――本宮さん、山口さんそれぞれのここは敵わないなと思うところはありますか?

山口:見た目もそうですけど、泰風は出会った時からずっとリーダー的存在なんで。
僕にはそういうことができないから、魅力的に感じますね。あと、こう見えて優しいんです! 表に出さないだけで。

本宮:山口さんの見習わなければいけないところは、後輩からアクションがしやすいところですね。コミュニケーションを取りやすいというか。僕に言えないことでも、山口さんになら相談できる。後輩にも愛されてるんですよ。

――では、最後に視聴者の皆さんにメッセージをお願いします。

山口:泰風が構成したテーマが“正義”なんで、表で動ける正義と、裏で動ける正義っていう2つの“正義”を楽しんでください。

『日本統一』を初めて見てもらえる方には、ヤクザと警察が共存する物語というのは今の日本のドラマではなかなかないと思うので、日本の深夜ドラマなんだけど、ちょっと海外物のストーリーみたいなところを楽しんでいただければ。

これまで応援してくださっているファンの方は、いつもの日本統一とはちょっと違った新しい風が吹いているので、そこに期待してください。

本宮:今回、今までになかった警察のバディ2人(青柳翔と藤原樹)が加わり、彼らの活躍もかっこよく撮ることができたので、楽しんでいただけると思います。

シリーズからのファンの方は、作品とは別になっちゃいますが、イベントだったり、いろんな企画を用意していますので、そのあたりも楽しみにしていてください。

(取材・文:編集部 写真:高野広美)

 ドラマ『日本統一 関東編』は、日本テレビにて4月13日より毎週木曜24時59分放送。4月6日0時よりHulu・U‐NEXT・Amazon Prime Videoにて『日本統一 関東編ノーカット完全版(特典映像付き)』配信中。

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