今春ヒットした『パリタクシー』はじめ、『グリーンブック』『最強のふたり』『探偵はBarにいる』などなど…、時代を超えて人気を集める鉄板ジャンル<バディムービー>。この初夏、そんなバディムービーの枠に留まらない、運命の出会いからはじまる物語を描く作品が続々公開! <ラッパーとオペラ教師>、<少年と犬>、<映画監督と艶やかな少年><少女とAI人形>、<辛い過去をもつふたりの男性>…。

バラエティーに富んだふたりの物語を、ジャンル豊かにご紹介!

【写真】スシを配達したラップ好き青年、一流オペラ教師と運命の出会い

■『テノール! 人生はハーモニー』(6月9日公開)

 パリ、オペラ座・ガルニエ宮。スシの出前でやってきたラップ好きのフリーターの青年アントワーヌが披露したオペラの歌真似がまさかの超美声!? アントワーヌに才能を見出した一流オペラ教師マリーは彼を猛スカウト。次第にオペラに興味を持ちはじめ“オペラ座とは住む世界が違う”と思いながらも、内緒でマリーとふたりのオペラ猛レッスンを始めるが――。

 オペラの楽曲とラップが入り混じり、見るだけで心も体も軽くなる本作。我流でラップに打ち込み楽譜もろくに読めないアントワーヌと、才能あふれる青年との出会いでその人生もまた大きく動き出すことになるマリーという全く異なるふたりが、出会うことでお互いのみならず周囲の人間をも変えていくことに。そして、この出会いを通じて、ラップとオペラという異なる音楽、アントワーヌが暮らすパリ郊外とフランス文化の象徴ともいえるオペラ座との出会いなど、さまざまなものを重層的に描き出しているのもポイントだ。また、数年がかりの説得のうえ、多くのシーンが舞台となったオペラ座内部で実際に撮影された。

■『少年と犬』(全国順次公開中)

 舞台は西暦2024年、第4次世界大戦により荒廃した地球。遺伝子変異により女性は生まれなくなり生き残った人類は地上と地下シェルターに分かれて暮らしていた中、テレパシーで会話できる少年ヴィックとブラッドという犬は、支え合いながら地上を放浪する日々を過ごしていたが…。

 主人公の少年とテレパシーを介して“犬が喋る”というユニークな設定により、愛らしい見た目と渋い声で発せられる時にブラックな発言がなんとも言えないギャップとユーモアを生む。『マッドマックス』シリーズに影響を与えたとも言われたカルト作が、物語の舞台である2024年を目前に控えてついに日本劇場初公開!

■『苦い涙』(6月2日より全国順次公開)

 著名な映画監督ピーター・フォン・カントは、恋人と別れて落ち込んでいた。そこへ、3年ぶりに訪ねて来た大女優で親友のシドニーが、美しい青年アミールを連れてやってくる。
艶やかな美しさのアミールに、一目で恋に落ちるピーター。彼はアミールに才能を見出し、自分のアパルトマンに住まわせ、映画の世界で活躍できるように手助けするが…。

 物語の舞台をアパルトマンの一室に限定し、映画監督として成功しながらもプライベートでは孤独と不安に苛まれている主人公ピーターの姿を通して、愛というものの本質をあぶり出していく。フランソワ・オゾン監督が鬼才ファスビンダーの名作『ペトラ・フォン・カントの苦い涙』の再創造に挑んだ、2022年ベルリン国際映画祭コンペティション部門正式出品作。

■『プチ・二コラ パリがくれた幸せ』(6月9日より全国順次公開)

 親子関係に恵まれず過酷な子ども時代を過ごしたサンペ。楽しい幼少期を過ごすも少年時代に親族をホロコーストで失ったゴシニ。夢を失い、再び夢を抱き、クリエイターとしての不遇の時期を経てふたりは出逢う。物語を通じて心躍らせる世界を創造しながら、激動の人生を思うふたり。ニコラの存在は、そんな彼らの友情を永遠のものにしていく――。

 フランスで50年以上愛され続け、世界30カ国で翻訳されている児童書「プチ・ニコラ」。その誕生秘話にして、原作者達の喪失と創造の人生に「プチ・ニコラ」の物語を交えて描く、子ども時代へのノスタルジーと創作の喜びに満ちたアニメーションだ。アヌシー国際アニメーション映画祭クリスタル賞をはじめ数々の映画賞を受賞。


■『M3GAN/ミーガン』(6月9日より全国公開)

 おもちゃ会社の研究者であるジェマは、子どもにとって最高の友達であり、親にとって最大の協力者となるようにプログラムした、まるで人間のようなAI人形<M3GAN(ミーガン)>を開発。両親を亡くした姪のケイディを引き取ることになったジェマは、ミーガンに「あらゆる出来事からケイディを守るように」と指示し、力を借りるが、その決断は想像を絶する事態を招くことに――。

 『ソウ』『死霊館』や『アナベル』シリーズなどで知られる鬼才ジェームズ・ワンと、ジャンル・ムービー界のトップブランド、ブラムハウスが再タッグを組み、すでに続編の制作が発表されている全米ヒット作。<“死ヌマデ”守ってあげる。>というミーガンの一途な思いが背筋を凍らせるキャッチコピーも、悪夢を予感させる。

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