8月15日は終戦記念日。本日の『金曜ロードショー』(日本テレビ系/毎週金曜21時)では、高畑勲監督によるアニメ映画『火垂るの墓』が放送される。

同作は近ごろ、海外や日本のNetflixで配信が始まり、世界的に注目が集まっている。今回は、海外の視聴者のリアルな声を紹介する。

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 2024年9月16日より、『火垂るの墓』は日本を除く190か国以上のNetflixで配信を開始した。すでに『もののけ姫』『となりのトトロ』『千と千尋の神隠し』などを含む22本のスタジオジブリ作品が海外で視聴可能になっており、そのラインナップへの仲間入りを果たしたことで、再び世界中で作品が語られている。日本では、遅れるところの2025年7月15日より配信が始まった。

 本作は、海外の映画批評サイトRotten Tomatoesの「観客スコア」で95%という高評価を記録。観た人々の心に刻まれた忘れがたい体験として語られている。

 海外の視聴者は、「象徴的なアニメで、今なお観るのがつらい作品だ」「美しい物語だが、胸が張り裂けるような悲しさ。戦争の犠牲は最も無垢な人に…その現実を突きつけられる。強くおすすめするが、観る覚悟は必要」「アニメーションは素晴らしいが、ストーリーはかなり悲しく、アクション性には欠ける」「美しくも心に重くのしかかる悲しさ。本当に鬱状態になるほど…」「私がこれまで観た映画の中でも最高の一本」など、様々な意見を寄せ、映画としての技巧や映像の美しさだけではなく、戦争の冷たさと家族の絆があまりにも残酷に描かれるその印象が、人生を揺さぶる作品として語られている。

 また、映画レビュー投稿サイトIMDbでは、「勇敢で、過度な感傷に流されないが、現実という過酷さを容赦なく描く。
全ての高校で必ず観るべきだ」、海外の大型掲示板Redditでは、「ついさっき観終わったんだけど、悲しいというより清太の選択に怒りを覚えた。プライドが妹の命を奪わせたのか…理解できない」とのコメントが。

 イギリスのジャーナリスト、アレックス・デュドック・ド・ウィットは、本作を詳細かつ丁寧に分析した単行本を2021年に刊行。従来の感傷的な戦争ものという見せ方を脱し、「日本を“被害者”としてのみ描く傾向を読み解く」力作と評価している。

■清太の選択への賛否の声も

 海外の批評家・観客からは、「清太の選択(自尊心ゆえに叔母の元を離れる)」に対して批判的な声も多いという。一方、日本国内では「清太のプライドや子どもとしての葛藤が痛いほどリアリティを持って描かれている」と一定の理解もある。このような文化的背景の違いが、作品の受け止め方に多様性をもたらしている。

 Rotten TomatoesのTomatometer(批評家評価)でも、100%の評価を獲得。様々なメディアのレビューが掲載されているMetacriticでも94点という高スコア。アメリカを代表する映画評論家のロジャー・イーバートも「最も力強く、優れた戦争映画のひとつ」と称し、自身の偉大な映画リストにも含めている。

 『金曜ロードショー』という日常のテレビの中で映し出される『火垂るの墓』。そこには、戦争という非日常の中に閉じ込められた、普通の子どもたちの現実がある。
グローバル配信により、新たな世代がこの作品と出会い、深く共鳴し続けている今こそ、その悲しみに向き合い、語り合うタイミングと言えるだろう。

引用:「Netflix」インスタグラム(@netflixjp)

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