映画やドラマでさまざまな役柄を演じ分ける俳優たち。学校卒業後、すぐに演技の道を志した者ばかりではない。

中には元々は俳優どころかエンタテインメントと関わりのない職業から、華やかな芸能界に飛び込んだ存在も。今回は人気俳優の中から、意外な前職をもつ人物を紹介しよう。

【写真】バーテンダーをしていたときにスカウトされた人気イケメン俳優 「人気俳優の意外な“前職”」

■向井理/バーテンダー

 最近では人気シリーズの舞台版『ハリーポッターと呪いの子』でハリー・ポッター役を演じたことでも話題の人気イケメン俳優・向井理。大学卒業後、実はバーテンダーをしていたと『人生最高レストラン』(TBS系)で語っている。タレント・YOUは偶然にも当時の向井を知っており、番組では、今もバーなどで飲んでいると向井がカウンターに入ってカクテルを作ってくれることがあると明かしていた。なお、イケメンの一般人として掲載された雑誌が今の所属事務所関係者の目に止まり、向井はスカウトされることに。


■ 佐々木蔵之介/広告代理店

 数々のドラマ・映画に出演している佐々木蔵之介だが、実は俳優デビュー前は広告代理店のサラリーマンをしていた。就職して2年半後に退職し、以降俳優の活動に専念する。代理店に入ったのは家業の造り酒屋を継ぐことが念頭にあった。佐々木は「代理店をやめるということは、つまり家業を継がないという判断をした。それは僕が父の立場でも怒る。けど、芝居をまだやめられない気がしたんです」と取材でその当時の心境を振り返っている。
なお、お笑いコンビ・ますだおかだの増田英彦は代理店時代の同期だ。

■ 役所広司/区役所職員

 ヴィム・ヴェンダース監督の映画『PERFECT DAYS』に主演し、先月のカンヌ映画祭で最優秀男優賞に輝くなど、今や日本が世界に誇る俳優・役所広司。実は東京・千代田区役所の職員として土木工事課に勤務していた。友人と観に行った仲代達矢主演の舞台『どん底』に感激し、俳優になることを決意した役所は、難関とされる俳優養成所「無名塾」の試験に合格して、芸能界に飛び込む。“師匠”仲代がつけた芸名の「役所」は、「役どころが広くなる」という意味のほか、役所勤めだったことをもじっているという。役所は仲代の自宅を訪れてカンヌ受賞を報告したそうで、「玄関で拍手をしてくれた」と明かしている。


「Vシネマの帝王」はリーゼントヘアで窓口に立つ銀行員だった

■ 竹内力/銀行員

 『ミナミの帝王』シリーズなどで知られる「Vシネマの帝王」こと竹内力だが、高校卒業後に銀行マンとして働いていたという驚きの経歴の持ち主だ。かつてイベントでこの件に触れた竹内は、高校の推薦で入行したことを明かし、「普通の銀行員は七三分けか、刈り上げてましたが、自分の場合は16のときからずっとパンチパーマとかリーゼントだったので、それでも入れた。昔はいい時代だった」としみじみ。実際、リーゼント頭で窓口にも立っていたそうで、「会社ではスーツらしきものを羽織ってますが、ネクタイもしてなかった。袖もめくってやってました」と当時を懐かしんでいた。

■ 阿部サダヲ/家電量販店

 コメディ・リリーフからサイコな殺人鬼まで自在に演じ分ける阿部サダヲだが、俳優を志す前は家電量販店で働いていた。
高校の教師に言われるがままに就職したというが、仕事があまりに嫌すぎて「会社と違う方向の電車に乗っちゃったりしてて。基本的には、在庫整理のおじさんとばっかり話してたんで、店にはほとんどいなかったんです」と、『ノンストップ』(フジテレビ系)に出演した際に当時を振り返っている。そうした阿部の雰囲気を察知したのか、上司から「阿部くん、辞表の書き方っていう本があるからそれ見て(辞表)書いてみてよ」と伝えられたそう。退職後、阿部はトラック運転手などの職を転々としたのちに「大人計画」のオーディションを受け、芸能界に飛び込むことになる。