児童文学作家・角野栄子に密着したドキュメンタリー映画『カラフルな魔女~角野栄子の物語が生まれる暮らし~』の公開日が2024年1月26日に決定し、本ビジュアルが解禁。併せて、角野、語りを務める宮崎あおい、宮川麻里奈監督のコメントも到着した。



【写真】自宅のいちご色の壁の前でイラストの執筆中に笑顔を向ける角野栄子を切り取った本ビジュアル

 本作は、「魔女の宅急便」の作者として知られる、児童文学作家・角野栄子の日常に4年にわたって密着したドキュメンタリー。2020年から2022年にかけて、NHK Eテレにて全10回にわたり放送された『カラフルな魔女~角野栄子の物語が生まれる暮らし』を、新たに撮影し再編集した内容となる。

 代表作『魔女の宅急便』は、野間児童文芸賞や小学館文学賞などを受賞し、さらに映画化&舞台化され、世界的ロングセラーに。2000年に紫綬褒章、2014年に旭日小綬章を受章し、2018年には児童文学の「小さなノーベル賞」といわれる国際アンデルセン賞・作家賞を日本人3人目として受賞するなど、世界的作家でもある角野栄子。

 鎌倉の自宅では自分で選んだ「いちご色」の壁や本棚に囲まれ、カラフルなファッションと個性的な眼鏡がトレードマーク。5歳で母を亡くし戦争を経験、結婚後24歳でブラジルに渡り、34歳で作家デビューするなど、波乱万丈な人生を歩みながら、持ち前の冒険心と好奇心で幾多の苦難を乗り越えてきた。“想像力こそ、人間が持つ一番の魔法”と語る角野栄子とは、どういう人物なのか? 88歳のキュートな“魔女”が、老いや衰えさえも逆手にとって今もなお、夢いっぱいな物語を生み出す秘訣とは―。

 語りは、俳優の宮崎あおいがレギュラー番組に引き続き担当。その温かい声で角野をアシストする。監督は、NHKでさまざまな人気番組をプロデュースしてきた宮川麻里奈。レギュラー番組でも構成・演出を担当し、角野との信頼関係を築きあげてきた宮川にとって、本作が映画初監督作となる。音楽は、ロンドンを拠点に活躍する作曲家の藤倉大。
藤倉は、15歳で単身渡英し、セロツキ国際作曲コンクールで優勝したほか、2017年ベネチアビエンナーレ銀獅子賞、尾高賞など数々の音楽賞を受賞。世界中のオーケストラや演奏家から新作依頼が殺到し、いま「世界でもっとも演奏機会が多い」と言われる気鋭の天才作曲家だ。本作で映画音楽を全編にわたり初めて手掛ける。

 本ビジュアルは、自宅のいちご色の壁の前で、イラストの執筆中に笑顔を向ける角野を切り取ったもの。本人お気に入りの眼鏡やアクセサリーといった小物が散りばめられ、ちょっとしたいたずら描きの時間から生まれたイラストも配置された、自由で見た目にも楽しいカラフルなデザインとなっている。

 映画化にあたり、角野栄子、宮崎あおい、宮川麻里奈監督からコメントも到着。角野は「私の暮らしの中で、一番大切にしているのは、気持ちが自由になること。食べるものも着るものも、シンプルで軽く、気持ちがいいもの。どこか気持ちが引っかかったら、できる限り避けたい。そう思いながら、自由で心地よいものを選び続けていたら、なんと『カラフルな魔女』になってしまったみたい」とコメント。

 宮崎は「角野栄子さんの透明感とチャーミングなお人柄、カラフルなお洋服、楽しい視点にいつも幸せな気持ちになっていました。角野さんの観ている世界をぜひ劇場で覗いてみてください。
今まで見ていた景色がちょっと違って見えるかも♪」とメッセージ。

 宮川監督は「角野さんの、何でもない日常の1コマ1コマを生き生きとさせる『ありかた』、88歳にしてあふれんばかりの好奇心と冒険心は、おのずと、見る人に伝染すると確信しています。角野さんという、地球上見渡しても稀有な『魔女』にスクリーンで出会い、そのハッピーオーラを浴びてください」と語っている。

 また、隈研吾設計による「魔法の文学館」(江戸川区角野栄子児童文学館)が11月3日に開館。江戸川区にゆかりのある角野栄子の世界観をイメージし、自ら選んだ約1万冊の児童書を揃え、子どもたちが豊かな想像力をはぐくむことができる場を提供する。映画の公開、文学館の開館と、88歳の今もなお角野栄子の世界は広がっていく。

 映画『カラフルな魔女~角野栄子の物語が生まれる暮らし~』は、2024年1月26日より全国公開。

 角野栄子、宮崎あおい、宮川麻里奈監督コメント全文は以下の通り。

<コメント全文>

■角野栄子(出演)

 子どもの頃、戦争があった。大変窮屈な時代だったから、そこから解放された時、この自由な気分はもう絶対放したくない!と思った。戦後も食糧は非常に乏しく、何もかもが足りなくて、我慢、我慢が続いた。

 でも、縛られていた糸がほどけるように、まわりの空気は変わっていった。
そして、本当にささやかなことから、自分の好きなものを自分で選ぶ自由が手に入るようになった。例えば、手ぬぐいの模様、下駄の鼻緒など……。好みのものを初めて選ぶことができたときの嬉しさは、今でも忘れられない。それが、「人と違ってもいいから、自分の『好き』を大切にする」という私のスタイルに繋がっていった。そして、世の中に合わせるのではなく、「自分がなりたい大人になろう!」と決意した。時にはわがままに見えたかもしれない。時には孤独だった。でも、悔いはない。自由はかけがえのないものだから。

 私の暮らしの中で、一番大切にしているのは、気持ちが自由になること。食べるものも着るものも、シンプルで軽く、気持ちがいいもの。どこか気持ちが引っかかったら、できる限り避けたい。
そう思いながら、自由で心地よいものを選び続けていたら、なんと『カラフルな魔女』になってしまったみたい。

■宮崎あおい(語り)

 ナレーションを担当させていただき、角野栄子さんの透明感とチャーミングなお人柄、カラフルなお洋服、楽しい視点にいつも幸せな気持ちになっていました。角野さんの観ている世界をぜひ劇場で覗いてみてください。今まで見ていた景色がちょっと違って見えるかも♪

■宮川麻里奈(監督)

 20歳になる娘が言うのです。「『魔女の宅急便』がなかったら、私は思春期をうまく通過できなかったかも」と。主人公キキと同じ13歳ごろの、友人関係や自分自身のままならなさに悩む時期、娘にとって『魔女の宅急便』シリーズは、折に触れて読み返す、いわば精神安定剤のようなものだったそう。私はそんなことはつゆ知らず(苦笑)、あるインタビュー記事で角野さんのことを知り、「こんなおしゃれで素敵な人なんだ!」「1950年代にブラジルに移住しちゃうなんて、ぶっ飛んでる!」と驚き、「いつかこの人を取材したい」と思っていたのです。

 コロナ禍の間をぬいながら撮影を続けて4年。角野栄子さんは、とことん「愉快」―愉しく快い―方でした。好奇心旺盛で頭の回転が速く、そして何よりも自由で。角野さんの精神の自由さ、のびやかさには、いまだに圧倒され続けています。

 角野さんの、何でもない日常の1コマ1コマを生き生きとさせる「ありかた」、88歳にしてあふれんばかりの好奇心と冒険心は、おのずと、見る人に伝染すると確信しています。
角野さんという、地球上見渡しても稀有な「魔女」にスクリーンで出会い、そのハッピーオーラを浴びてください。

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